2006年9月アーカイブ

とある商品について某図書館の方から
「大変貴重な出物」という声をいただく。
当店にとってはたまたま入手したものですが、
見る人が見ると「出物」なのですね。
月の輪さんの「ないものを探すのではなく、
あるものを扱うのが古本屋なんです」というのは
こういうことでもあるのかな。

市場に足を運び何かないかなと探している瞬間は、
宝探しのよう。
支払いのことが頭をかすめつつも、私にとってひじょうに楽しい。
めったに見ないものを買取させていただくときも同様です。
苦心してどうにか得たものをお客様にお届けして
お喜びいただくと、古書店をやってよかったとつくづく思います。
お客様のお声を披露することは控えておりますが、
お喜びのメールをいただくたび、
古書店をもう1日続けよう、もう1週間続けてみようと思う連続です。
苦しいながらもまだどうにか続いているのは、
お客様、そして、周囲の方々のおかげです。
ありがとうございます。

過去ブログへのスパムトラックバックが依然としてひどい。
新しくしたブログのテンプレートを調整しても、
過去ブログにスパムが来るたび、
この新ブログまでフォントがやたら大きくなってしまいます。
被害続行中、善処対応中。
お見苦しい点、お許しください。

スパムメールのようなトラックバックが多くて、
サーバー担当の友人(お世話になってます)に相談。
ご覧のとおり、ちょっと模様がえしました。
カレンダー、最新のコメントなど、
どうやったら出せるのか、まだわからず。
暫定的ですが、まずはなんとか。
自転車で出掛けたら、初夏のような陽射し。
洗濯物がよく乾きそうです。

11時すぎ、またしても遅刻だが南部古書会館の振り市へ。
昨夜寝たのが遅かったため、これでも精一杯。
出品量が多いため、2時すぎまで、たっぷり3時間過ごし、
たっぷりたっぷり本を買うことができた。

いいなと思う本の束は迷っているうちに
先輩書店がすばやく買っていく。
これと思ったら、間髪入れずに声をあげないといけない。
表紙や内容を知っている本なら迷わずに声をあげられるが、
中を見たことがない本に関してはカン頼り。
たまたま落札した束に、生原稿や名刺がはさまっていた。
北海道とスイスの架け橋となり、著書を多数遺した方の旧蔵書。
顔写真が掲載された冊子まで含まれていた。
お顔まで拝見すると、ますます商品として大事にしなければと思う。

ほかに絵雑誌、古い絵本、古い児童文学関係の雑誌、
さらに、ついつい欲しくなって洋雑誌、古い雑誌の束をどさどさと購入した。
古い雑誌は、資料として必要なことがあっても、
単行本よりさらに手に入りにくいと実感しつつあり、
さまざまな雑誌のカラーを知っておく必要に駆られているため。
本の散歩展も近づいているので、ちょっとは意識しないと。

束の一部を処分するべきかどうしようか悩んで相談したら
「うちだったら売れるから、うちが買いますよ」とS書店さん。
いつも頼もしいです。
花椿、宇宙大博覧会パンフを譲ってくださった古書Iさん、ありがたいです。
ずっと欲しかった雑誌と、うちが欲しいだろうと踏んだ本を
持ってきて適性価格で販売してくださったT堂さんに感謝。

それにしても、振り市でこれほど買ったのは初めてかも。
相変わらず身銭を切って(貯金を崩して)本を買っているので、
さすがにきびしいですなあ。自分の給料なんて出るわけがない。
じゃあ、何、私はなぜこんなことをやっているんかいな(笑)。

神保町へ行くのを辞めようかとも思ったが、
いや、ひょっとして探しているアレが出るかもと思うと、
見に行かずにはいられない。もはやビョーキです。

南部をあとに、胃を満たしてから神保町へ。
目的は、「一新会大市」の下見。
古書会館の4階から地下までぎっしりぎっしりの本の山。
最低入札単位は1万円から。
買えすぎても支払いが大変だし、すでに五反田で買いまくったし。
3つだけ控えめの額で入札。
1つは友人から頼まれていたことだし、ぜひ欲しいのだが、
まったく高すぎ。たぶん落札は無理だろうと思う。
本と資金がどんどん回転している他店が羨ましい。
肩を並べて張り合おうというほうが土台無理なのだ。
出品量が半端ではないので、
階段をあがったりさがったりでクタクタになる。

最寄り駅からの帰り道、自転車の前輪に傘を巻き込んでしまった。
前輪の間にはまりこんだ傘は、なかなか抜けない。
困っていてもだれも助けてくれない。
きれいなおねえちゃんだったら、絶対「大丈夫ですか」と
素敵な若者に声をかけられるところだ。
本日買ったばかりの傘はぐんにゃり、ぼっきりでオジャン。
ようやく乗ろうとペダルを漕ぎ出したその瞬間、自転車ごと倒れる。
ペダルが回らなくなってしまったのだ。
それが自転車のチェーンがはずれたためとも気づかず、
重たい本を肩にさげたまま自転車をひいて20分の道のり。

帰宅後、猫の散歩。我が家の建物まわりだけ。
ポストを見たら、岡崎武志さんから封書が届いていた。
先日お願いしたことに対応していただき、恐縮です。
こんな場を使ってお礼を言うのもどうかと思うが、
タイミングを逃すといけない。
ご本人に伝わる伝わないはともかく、とにかくお礼を言いたくて。
お忙しいところ、どうもありがとうございました。

注文本をとりに倉庫(トランクルーム)へ。
ひょんなことから、そこが本の収納に不向きだということが判明。
大事な商品をあのままにはしておけない。
動揺して某(仮にAとする)書房さんに電話。
某(仮にBとする)書店さんの倉庫に少しゆとりがあるので、
一時的に本を置かせてもらえるかもと。
すぐさまB書店さんに連絡をとってくれた。
まったく面倒見がよくて、動きが速い人なのだ。見習いたい。
B書店さんに電話したら、同じ悩みを抱えたことがあるそう。
グチりあって、それだけでずいぶん気が楽になった。
Aさん、Bさん、すんません&ありがとうございます。

うう、至急、三鷹・調布に格安のアパートもしくは
格安倉庫もしくは格安店舗(そんなのないよ)を探すか。
連れ合いからは、まず不動産会社に苦情を言うようにとのお達しだが、
文句を言うにもエネルギーがいりまっせ。
他店のように市場で買ってきたものをすぐ商品化していきたい
と思ったのだが、受注メールを何通かどうにか書いただけでもうダウン。
某図書館からご注文をいただいたが、
経年劣化がありすぎる雑誌なので図書館蔵書に使えるのかどうか、
お伺いをたてる。黙って送ってしまう勇気はない。
良心的というのでなく、ただ単に気弱なのだ。

弱気で、そのくせ変なところで負けず嫌い。
経済観念、経営感覚なし。重たいものもホコリも苦手。
そんな人間が本当にどうして、やってるんでしょうねえ。

倉庫の件は、眠ってから対応策を考えよう。
明日は在宅デーのつもり。
新着本は何にしようかな。
あの人がお好きそうな本をお出ししたいものです。

こんな雨の日は

雨。自転車置き場においてきた自転車が気になりつつ、自宅で過ごす一日。
チェコ動物の絵本、とりあえず2冊アップしました。
新着本はまたあとで何か更新したいと思います。何にしようかな。

発送と本の整理、買取査定にとりかかる予定。
買取の全集をお送りいただいたので、置く場所を考えないと。
そういえば、いつだったか2間続きの書庫を借りた夢を見たんでした。
「こうすれば、ここにも書棚を置けますよ」と
夢の中でお客さんに教えてもらっていました。
のどが痛いので、お客様から送っていただいた飴を舐めています。

一昨日の出来事がいまだに後をひいているような。
ご本人がまだ意識のあるうちに印象的な言葉を発せられたので
感心していたところ、
「ブログに書くなよ」と笑顔で脅されました。
カッコいい言葉だったのに忘れてしまったのが残念。
心配されると困るので書くけれど、Kさんのことじゃないですよ。

しかし、あの人にも読まれているのか。怖いなあ。
書くの辞めようかなとも思うのですが、仕方がないんです。
だれかが読んでいる読んでいないに関わらず
書かずにいられない人種って確かにいると思う。
かつては活字にして発表していくのが大変だったのに、
こんなにポンポン、ブログに書き込めてしまうのだから。
せめて実名は出さないでおこうと思うのだけど、
出したくなるときは出してしまうし、
伏せないで大丈夫な場合に限って出しているつもりですが、
ご本人はイヤなときだってあるかもしれない。
どなたかを傷つけてきたようなら申し訳ありませんでしたと
ただもう、頭を垂れるのみです。

あと、親戚から相談事があり、夢を壊しては申し訳ないと思いつつ、
知っていることをありのまま伝えてしまいました。切ないなあ。
お気楽なことばかり言っておいて、
のちに本人やご家族が嫌な思いをするといけないのではないかと
私としては葛藤していたのに。
連れ合いには「そのまま書いちゃえばいいんだよ」と簡単に言われて、
「あのねー、あんたの親戚でしょ」と言いたくなったけど。

うーむ、社会と折り合いをつけながら
生きてくってのは大変なことですね。
さほど苦心していないはずの私でさえ思うのだからなあ。
1920年代に素晴らしいロシア絵本を残した画家たちも、
2006年、この世に今生きているすべての人も、
丹波哲郎さんも、それぞれにスゲエナアと思ったりするのです。
さあさ、仕事仕事。

昨夜、同業者どうしの飲み会で、まあいろいろあったのだが…。
飲みすぎた余韻もあり、体に力がうまく入らないまま
本の散歩展用の値つけ、発送作業など。

夜、Zepp Tokyoでくるりライブ。友人がチケットをとってくれたのだ。
オールスタンディング。
揺れる人波の狭間から岸田くんが遠方にちらちらと見える。
背が低いと、スタンディングライブは不利だなあ。
しかし、くるりはやはりライブがいいと思った。
終了後、友人らと食事。

帰宅したら、とある方から古い「窓」(ナウカ)など
田中かな子さん関連の資料が届いていた。
沼辺信一さんがブログで推薦なさっていた記事をぜひ読みたかったので、大変ありがたい。
ナウカ社に関連するものは時間をかけて
じっくりと蒐集していきたいと思っている。
もちろん買取大歓迎です。

台風接近…のはずだが、晴れ間が出ていた。
少しずつ風が強くなった。
北風なので涼しい。爽やか。

リンク希望のオンライン古書店さんからメール。
久々に精神的余裕があり、
珍しく、アドバイスなど書いてみた。
相互リンクを希望してきてくださっても、結構じき辞めてしまう店があるように思う。
明日の自分を見るようでさびしいので、
共存共栄していきましょうよという気持ち。
それにしても、アドバイスだなんて偉そうになあ。
ひとつひとつ、自分は果たして出来ているのだろうか。
自問自答しているような気持ちで書いた。
神奈川の人なので、神奈川の頼もしい店主さんたちに
話を聞きにいってみるといいですよと、何店か推薦しておく。
神奈川の店主さんたちに私、最近とてもお世話になっている。

連れ合いと二人三脚で掃除機をかけた。
二人三脚といっても、足を紐で結ぶわけではない(まさかね)。
我が家は物だらけなので、掃除機をかけるにも
物をどかしながら、延長コードをひっぱったり、からまるのをほどいたり。
今日は私がこの役をつとめ、
連れに掃除機をかけてもらった。
ひとりでやろうとすると結構大変。
部屋がきれいになると気分がいい。

ずっとバタバタしていたのだが、
ようやく書庫を整理しながら、少し新着本更新。
人からは決してそうは見えないと思うが、ほぼ一日がかり。
HPを更新できたというだけで、勝手ながらささやかな達成感(ただのジコマン)。

来月、本の散歩展に出品する本は、早めに少しずつ値つけして
まとまった分から南部古書会館ロッカーに運び込んでしまおうと思う。
値つけの作業まではいかなかったが、
トランクルームを探したら、あ! あんなところに!
ご注文いただいて、なかなか探せずにいた古雑誌が見つかった。
ああ、よかった。のど元につかえていた骨がとれたよう。
ようやくこれでお客様に受注メールを出すことができる。ふぅー。

夜、吉祥寺・百年へ。
長期間に渡ってコツコツ集めようと思っていた
関連資料を快くお譲りいただく。
百年さんのご商売の邪魔になることを恐れたが、
開店1か月とはいえ、書店経験もあるらしい。
とてもしっかりしているので、安心して甘えさせてもらう。
南部の振り市に関心があるご様子。
強敵現る、ですな。
しかし、南部の出来高は上がるでしょうね。
南部の皆様、百年さんを見かけましたらよろしくお願いいたします。

探し物が見つかって、親切にしてもらって、
気分がいい。思わず、帰り道、ワインを購入。
コンビニの中に、ワインの品揃えが特別にいい店があるので助かっている。
同じ銘柄で、2004年、2003年、2002年と3種類揃っていた。
3種類の中で、いちばん高い(といっても2004年のと
200円程度の差)2002年のにした。

親切にしてもらってこんなに気分よくなれるのなら、
人類皆、お互い親切にしあえればいいのに。
そうならない、そうできないのは何故だろうかと
女子高校生のようなことを考えながら帰る。
I’m a dreamer.人は夢追い人だと僕のことを言うけれど。
ジョン・レノンも“Imagine”で歌ってましたっけ。

とか言いながら日ごろ、要領の悪さゆえ事がスムーズに進まず、
眉間にシワよせてるの、誰だっけ。
イライラして、人にあたってるのは誰だったっけね。
あたいでございます。
あなたにとって、明日、気分よく過ごせる一日でありますように。

午前2時すぎ追記。
もうひとつ良いことがあった。
我が家のねこ5匹めが生まれて初めて
我が膝にのって、きちんと座った。
ひざにのるようになったのはごく最近。
警戒心の強い、神経質な彼女。
のってきても、つねに緊張がち、前足を立てたまま、
細い爪を立てたままだったのだ。
先ほどは、ひざの窪みにポカッとおさまって、きちんと座ったのだった。
私個人にとっては歴史的な瞬間であり、
連れ合いに「写真撮ってー。そっとね」と頼み込む。
ねこに関心がない人には、まったくどうでもいいことだろうけれど。

ひとつ苦言を呈しておく。
好きな店だからこそ言っておこう。主観に過ぎませんが。
吉祥寺ヴィレッジ・ヴァンガード、久々に立ち寄ってみたら
ドンキホーテみたいになっていた。
雑貨の割合が増えた?
あれ、雑貨のある書店じゃなかったんだっけ?
吉祥寺だからと若い人にターゲットを絞り込んでいるように思うが、
その方向性でいいのだろうか。
以前はもうちょっと欲しい本が見つかったような気がするのだが。
結果として大人(お金を落とす層)を敬遠させていないだろうか。
少なくとも、今の私は吉祥寺ヴィレッジ・ヴァンガードより、
PARCO LIBROのほうが欲しい本がたくさんあるなあ。
「百年」で中平卓馬をちらりと見かけて、あ、欲しいなと思ったのだけどなあ。
ヴィレッジ・バンガードがドンキ化しているのは、
吉祥寺店だけかなあ。六本木店や神保町の店が同様だったら哀しいなあ。

ああ、他店の心配をしている場合ではなかった。
心配すべきは、自店だ。Oh,my god!

印象的な出来事が3つあった。

●その1● 市場で大事なものを落札した。
毎週金曜は、市場(明治古典会)の日。
今日は意外なものが出品されていた。
この2月に急逝したデザイナーがお持ちだったもの。
このデザイナーとは、年代こそ多少違えど
同時代を歩んできたという思いがある。
雑誌のグラビアを通して憧れてきた人。
我らが世代のファッション・リーダー。
私たちの代表。
直感的に、欲しいと思った。

ドローイングやら海外ファッション誌のスクラップやら
本の装丁のダミーやら何やら・・・。
元所有者の思いが、そこにしっかりあった。

だけど……
万一、これを買うことができたとしても、どうするんだ、私。
ただ買うだけじゃダメなんだぞ。
古書店は買ったら、売らないといけないんだぞ。
売るためには、どうやって売るか考えないといけないんだぞ。
元所有者がこれらをどのようにしたいのか、
しっかり汲まないといけないんだぞ。
何をどう紹介していけばいいのか、
皆さんが欲しているものも読み取らないと。
わかってるのか、自分? 

入札するかどうしようか躊躇した。
扱えるのかどうか自信がなくて。
思わず日月堂さんに
「あの…○○○○さんのお持ちだった一式が出てるんですけど」と言いにいくと
日月堂さんは「え、本当?」とスタスタっと歩いていく。
一通り商品を見たあと日月堂さんなりの推察を語って
「やったほうがいい。
これをもとに肉付けしていけばK.K氏みたいなものができますよ。
大変だよ。
でも、買っちゃえばそのままにしておけないから。
イヤがおうにも自分でやらなくちゃいけなくなるから(笑)。
苦しいよ。苦しい。
でも、楽しいよ」
私がああだこうだと説明せずとも、
新人古書店の私が考えていることなど、日月堂さんにはお見通しなのだ。

「やってみます、入札してみます」
と即座に言うほど度胸がなくて
「でも、ほかにも出てるんですかね。
もっとほかにもあるはずですよね」とモゴモゴつぶやく自分に
日月堂さんはパキパキっと
「~かもしれない」「~かもしれない」と、その可能性について、
みごとに推察してみせたのだった。

日月堂さんのウェブ版特集目録「机上のK.K氏」のすばらしさに打たれたのだった。
感銘を受け、どうしても「机上のK.K氏」目録の一部を手にしたくなった。
恥ずかしながら生まれて初めて目録の抽選に応募してみたのだ。
恥ずかしながら自分なりに
日月堂さんのやろうとしていることに、
そして、K.K氏のやってきたことにちらりとでもカスリたかったのかもしれない。

その出品には、すでに札がかなりたくさん入っていた。
そのうち、本気で入札している人はどれぐらいだろうか。
買ったら、もう逃げられなくなると思った。
取り組もうとしたら、一筋縄でいかないのは見えている。
しまいこんでさいなら、とはいかない。
やらないほうが楽なのに、かかわらないほうが楽なのに。
CMのオダギリジョーでなくても「どうするどうする、私…」状態である。

札がたくさん入っていたが、結果、
下札で落札した。
本人のサインが入ったものが少ないので、
他店はかかわりあうのを敬遠したのかもしれない。

「買ってしまったけれど、どうしよう」
まだ弱気なことをつぶやく私に日月堂さんはパキパキッと言い放つ。
「おもしろいと思うけどな。
いろいろ肉づけしていけば、おもしろいと思う。
市場に来るモチベーションになりますよ。
(何が欲しいか考えやすくなるから市場に来ても)
圧倒的に買いやすくなるよ。
しばらく市場に通い続けないとね」

「印刷解体Vol.3」(9月29日~10月16日 
澁谷PARCO ロゴスギャラリー)を控えていて
お忙しそうな日月堂さんに甘えさせていただき、すみません。

さて、どうしよう・・・。
帰りに図書館で著作をかたっぱしに借りてきた。
ネットでいろいろ検索してみた。
その人の関連雑誌を集めるだけじゃなあ。
そういうのは、とうに大宅文庫がやってるしなあ。
何をどう肉づけしていけばいいのか。
大きな宿題を抱えこんでしまった子どもみたいな気分だ。
いずれにしても長期戦だろうなあ。
一年後、形にできているのだろうか。心配。
でも、少しずつやっていかないとと思う。
海ねこにとってすばらしきターニング・ポイントになればいいのだが。

●その2● ゴージャスな顔ぶれによるお茶 in 古書会館
なぎさ書房さんにお茶に誘っていただく。
古書会館の8階は休憩できるようにつくられている。
なぎさ書房さん、お茶をご馳走さまでした。
やがて、豪華な顔ぶれが三々五々と集ってきた。

私の左側にいた方から順に時計回りで、
股旅堂さん、なぎさ書房さん、石神井書林さん、
ポラン書房さん、古書りぶる・りべろさん。
股旅堂さん、石神井書林さんとお話したのは初めて。
石神井書林の内堀弘さんが当店HPをご覧くださっていて、
しかも、新聞記者にHPをご紹介してくださっていたとのこと。
さすが古書組合の広報ご担当だけある。
(正式な役職名はすみません、忘れました)

内堀さんは、古書店の店舗が持つ可能性について
いろいろお考えの様子だった。
古書会館を使って企画中のイベントもおもしろそうだ。

さて、組合の「古本屋になるための1日講座」が10月9日に開催される。
まったくずうずうしくも早速応募した私。
一応、控えめに「組合員です。古本 海ねこと申します。
一般の方優先でしたら、そのようにお願いします」とコメントを添えて申し込んだ。
内堀さんに「ダメダメ」と言われたらお詫びして諦めるつもりだったのだが、
逆に「どうぞどうぞ」と快く参加を許可していただいた。

まだまだ参加者募集中です。皆様、お気軽にいかがでしょうか。
以下、詳細。

「古本屋になるための1日講座」
10月9日(月・祝)
 午後2時~4時 東京古書会館
 入場無料(要事前申し込み)
 出演
 芳賀健治(うさぎ書林)
 樽見博(日本古書通信編集部)
 山崎有邦(オヨヨ書林)+南陀楼綾繁(ライター)
 主催・東京古書組合
詳細、お申込は「古本屋になるための1日講座」特設ホームページ

●その3● ナウカ最後の日
沼辺信一さんのブログをご覧ください。
9月13日、ロシア絵本を知るための参考書が紹介されたばかりだ。
長年かけて集めてきた情報をご紹介いただき、ありがたいと思う。
その中に「窓」66号(1988年9月)田中かな子さんの記事が入っていた。
かねてより田中かな子さんにひじょうに関心があるのだが、
沼辺さんがご推薦とあらば、この記事はぜひ見てみたい。
早速、都立図書館ほか、どこで見られるか検索してみた。

図書館に行く前に、ナウカへ立ち寄ってみることにした。
「窓」のバックナンバーがあれば購入したい。
ないとしても、ナウカの宮本立江さんに相談してみようかな。
宮本さんとは長いお付き合いとは言えないが、とてもお世話になり、
ロシアの本についてやりとりをさせていただく約束もさせていだいた。
あれはいつだっただろう。つい最近のことのような気がする。

倒産のニュースを聞いてからなんとなく足を向けにくく、
久々にナウカに立ち寄ったのが今日だった。
古書会館を辞したのがすでに遅かったため、
ナウカに着いたのは5時半頃だっただろうか。

「こんにちは」とご挨拶したところ
宮本さんは意外なことを口になさった。
「今日までなんです」
優しい目の中に、どこか残念そうな、どこかさびしそうな表情。
「え、そうなんですか!」と驚いてしまった。
「ご存知なかったですか?」と聞かれて
「(倒産のことは新聞記事で見て)知っていましたけど、
お店が今日までとは知りませんでした」と自分。
「海ねこさんのHPは、ときどき見せてもらってますよ」とおっしゃっていただく。

ナウカ最後の日、それも閉店まであと30分なのだ。
そこにたまたまブラリと立ち寄った私に、
いったい何が言えるのか。
言葉が見つからない。
「ご挨拶することができて、よかったです」と、ただ頭を下げる。

シャッターを閉めていろいろ整理をしたあと、
本はいったん倉庫におさめるそうだ。
そのあとのことは何も決まっていないとのことだった。

「窓」のバックナンバーは新しめのものしか残っていないため、
コピーをとって郵送してくださるとおっしゃってくださった。
「窓」66号(1988年9月)田中かな子さんの記事は
宮本さんも大好きだとおっしゃった。
宮本さんの蔵書についても少しお話しなさっていた。

「窓」のバックナンバーを販売する先は未定とのこと。
「立候補させてください」とお願いしておく。

本を見せていただく。
「ごゆっくりどうぞ」と宮本さん。
「何時までですか?」
「6時までです」
ナウカ終焉まであと、わずか20分? あと、15分?

ロシア絵本作家に関する本を1冊購入。
「私も、こういったものが好きなので。
何かないかしらとHPを拝見させていただいて、
注文させていただくかもしれませんしね」と笑顔の宮本さん。

沼辺さんとはしばらくお会いしていないとのこと。
「連絡をとると思いますが、何かお伝えしますか」と聞くと
「ナウカ最後の日に行ったとお伝えください。
またご連絡します、とお伝えください」と。

あと10分。
ぎりぎりまで粘っているのはいけないような気がして、
店をあとにする。
「お疲れさまでした。今後ともよろしくお願いします」と頭を下げる。
店の入り口で会釈したら
宮本さんは深々と腰を折り
「ありがとうございました」と心をこめておっしゃった。

宮本さんは
これまでナウカを訪れてきた大勢のお客さんに
「ありがとうございました」と伝えたいのだろう。
店内に残っていたのは、あとふたり、あるいは3人。
宮本さんが最後のお客さんを送り出して、
さらに深々と頭を下げられる姿を思った。
ナウカの看板をどのような気持ちで仕舞うのだろう。

「ナウカ最後の日に行ったとお伝えください」
「ナウカ最後の日に行ったとお伝えください」
「ナウカ最後の日に行ったとお伝えください」
ーーーーー神保町の裏道をしばし徘徊しながら、
言葉を反芻して宮本さんのお気持ちを思った。

「窓」133号(2005年10月)に
「この号をもって「窓」を閉じなければなりません。
長い間、お読みくださった皆様に御礼申し上げます。
…復刊される日が遠くないことを願っています。さようなら」
と記した宮本さん。
市場で落ち込んだときであっても、私は
ナウカを訪れて宮本さんの穏やかなお人柄に触れるたび、
ほっとしたのだった。
大勢の方がそのように感じていたのではないだろうか。

店舗がなくなったとしても、ナウカの歴史はけっして消えない。
宮本さん、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

ナウカの思い出は宮本さんにぜひお書きになっていただきたい。
ナウカについてはいつか、
沼辺さんが何かお書きになるのではないでしょうか。

 

同志・Kさんからからメールが届いていた。
今度、Kさんの店に行く予約をした返事。
ここでいう「同志」とは、しょっちゅう二日酔いになって
苦しんでいる(Kさんのブログを読む限り、どうやらそうらしい)、
お互い困ったもんだね、という程度の意味です。

「××さん(注・私のこと)って、真面目なんだねえ」
とご感想をいただく。
ぐぎっ。
真面目すぎてつまんねえなと言われているように感じた。
そうなんだよ、つまんないやつなんですよ。
つまんないやつで、ごめんなさい。

メールの文章には、その後
「噛みしめるようにそんなことを思っていましたよ。」
とついていた。
どう噛みしめたんだろうと思ったけれど、
Kさんの温かみが感じられ、ちょっと救われた。

昨夜、肌寒い晩、ひとりぼっちで、ねこも寝ていて、
さびしくて
だれに話すともなくだらだら書いた文章(前のブログ)。
だれかに読んでいただいたのかと思うと、顔から火が出そう。
穴に潜り込みたい。
読み返してみたら、本当にクソつまんなくて死にそうになった。
だったら、書くなっつうの。公開するなっつぅの。
さびしがりやのアマエンボなんですよ。人生に甘えてるの。

読まれると恥ずかしいのに、
読まれないのもさびしいの。変なの。

Kさんはコメントに「飲み会もしましょうね。」とも書いてくれていた。
よかった。
Kさんもブキッチョで、そう見せないようにしているけど
とても真面目だと思いますよ。
もがっきぷりが真面目。
しかし、真面目って何だろうね。
私は「真面目」って言われると、ああ、やだなあと思うんだけど、
Kさんはどうですか?

今日こそ締め切り仕事しなくちゃ。
雨がやんでいるなら、車に積んである本の整理も少しはしないとね。
発送もします。
受注の返事も書きます。
今日は朝から13冊まとめ買いのご注文をいただく。
ありがとうございます。倉庫に在庫確認しにいかなくては。
しかし、やはりあの本は人気なのですよね。
つい先日、市場に状態のよさそうなものがまとめて出ていたんだった。
しまった。お金がないからなんて言わず、補充用に買っておくんだったなあ。
古書店は本を売るばかりでなく買うのが仕事。
本の整理が仕事。飲むのが仕事!? 
さあ、良い一日を過ごしましょう。

月の輪さんの言葉、起き抜けも考えていたんだけど、
ぐだぐだ言わずとも
「はじめに本ありき、なんだよ」ってことなんでしょうかね。

南部古書組合の振り市へ。
欲しい本が出ないかなあ。
20日締め切りの「本の散歩展」目録、
まだ行が埋まっていない。
今日は何か出るかもしれない。
遅刻してでも、行く。
遅刻すると恥ずかしいが、行く。
遅れたからといって行くのをやめると
駄目すぎる自分に押しつぶされそうだ。
とにかく向かう。眠い目をこすりながら。

トランクルームが満杯になりつつあるので、
南部に出品する本を運ぶため車で。
多摩川沿いの道路をひた走る。
大型トラックが多い。
渋滞。

中原街道も渋滞。
あああー、ふだん1時間強で着くはずなのに、
すでに1時間半、運転し続けている。
南部古書会館がある五反田は、まだまだ遠い。
渋滞は本当に疲れる。

もたもたしていると、振り市にますます遅れてしまう。
毎回遅刻しているが、遅れれば遅れるほど部屋に入りにくくなるから。
環七手前で車をコインパーキングに入れて、
長原駅から池上線で五反田へ向かう。

いろいろ終えてから、電車に乗って
コインパーキングに駐車してある車をとりにいく。
再び、五反田の古書会館にとって帰す。

南部の振り市に出品する本を束ねて
台車に乗せていく。
帰りにカラの車で帰るのは無駄なので、
ロッカーに入れっぱなしの本を整理。
車に乗せられるだけ持ち帰ることにする。
来月「本の散歩展」がある。
出品する本をどんどんロッカーに入れていきたい。
そのためには、まず、ロッカーを整理しなければ。

本の山を整理しながら半分ほど振り市に出品することにして、
残り半分は車に積み込む。
先週の入札市で落札した絵本・児童書と一緒に持ち帰ることにする。

持ち帰る本も、南部振り市に出品する本も
とにかく束ねる、束ねる、束ねる。
縛りが苦手。
この作業は、私のよわっちい背筋にきく。

南部の経営員がおしゃべりしている。楽しそう。
みんな仲がいいなあと、遠くに皆さんの声を聞きながら作業する。
私も、おしゃべりの輪に入りたいなあ。
だけど、早く帰って発送・受注作業をしなくちゃ。
「至急」のご要望の人がいると、そのたび胃が痛くなりそうだ。
できないことはできない。
しかし、人にはそれぞれ事情があるのだから。
急ぎの人には急ぎの理由があるのだろうから、
できる範囲で応じようと思う。

帰り道は、多摩川沿いはやめて
中原街道から環七、目黒通りから環八、世田谷通りへ。
また渋滞。

ようやく帰宅して、発送作業。
本の整理をした日は、どうにもこうにも眠くてたまらない。
明日締め切り仕事があるのに、何も手につかない。
睡魔に負ける。

久々にかなり、いろいろご注文をいただいた。
力を振り絞るようにトランクルームから持ってきた本をチェックして
受注メールを何通かようやく書いた。
残るは、あと1通だ。
連れ合いは今夜もお出かけ。私はひとり。
メールを1通書いたらビールだ。
飲んで、お風呂に入って寝てしまおう。
肌寒いので、毛布をかけて寝ようと思う。

本の重さと格闘した夜は、本当に起きていられない。
「明日から頑張ろう」が最近の口グセ。

寝る前にちょっとだけ本を読んで眠りに落ちよう。
ささやかな幸福。

ちなみに、夕方、図書館に立ち寄って借りてきた本。
「小さなしょうぼうしゃ」
「小さなローラー」
「小さな乗り合い馬車」
グレアム・グリーン・文
エドワード・アーディゾーニ絵
阿川弘之・訳

「なかよし特急」(阿川弘之)という本をこの夏、目録に掲載した。
抽選した結果、お買い上げいただいた方に
「究極の探求書だった」と大変、喜んでいただいた。

古書店としては、お世話になっているご近所の方から
お譲りいただいた本をご紹介して、
あの人からこの人へと橋渡ししたに過ぎない。

前に酒席で、月の輪書林さんに
「やはり、自分のテーマを持って本を選ばないといけないんですよね。
自分なりにテーマがないと、明治古典会(金曜の市場)に行っても
何も買えませんよね」と質問してみた。
すると、月の輪さんは
「それは違うよ」ときっぱり。
しばらく、下を向いて言葉を探していた。
「古本屋は、無いものを探すのではないんです。
自分のテーマに沿った本を探すのではないんです。
在る本を売るんです。説明が難しいけど…うーん」…。
飲んだ席で、面倒な質問を向けるなんて配慮がなかったなあと反省。
それでも、とても大事なことを示唆してくれたような気がした。
話を聞いたその場では、意味がよく飲み込めず、
わからない自分が腑に落ちなかった。
その後、月の輪さんの言葉を反芻し、
自分のあほっちぃ頭なりに考えてきた。

「なかよし特急」は縁あって、
大事な人からお譲りいただいた本を
大事な人にお売りしたのだった。
本がすべてなのであって、
そこに介在する私の意志など、さして必要なかった。

おそらく、本がすべてなのだと思う。
ただ、本は自分で歩けない。
そこに在る本に気づいて、あちらからこちらへ動かす人がいなければ、
本ーーあえて言うなら古書ーーは人から人へ、
時代から時代へと渡っていけないのだろうと思う。
買取でも市場でも、そこに在る本の貴重さに気づけるかどうか。
「在る本」の良さに気づき、発掘していけるかどうか。
イメージどおりの理想の恋人を絵空事で探すのではなく、
実在する人と出会うこと。実在する人と会話をして、良さに気づくこと、みたいな?
やれやれ、という月の輪さんのため息が聞こえてきそうだが、
さて、この先、私は月の輪さんの含蓄ある言葉を
どこまで理解していけるのだろうか。

そんなこんなもあって、絵本・児童書作家としての阿川弘之が気になっている。
むろん、アーディゾーニの絵をゆっくり眺めるのは至福。

以下、絵本にあった阿川弘之プロフィールより抜粋。

子どものころからの乗りもの好きとしても有名で、
絵本「きかんしゃやえもん」(昭和34年、岩波の子どもの本、岡部冬彦絵)は
古典的評価を与えられている。
昭和35年、「なかよし特急」で
サンケイ児童出版文化賞受賞。

COME BY CHANCE

| コメント(7)

内容が良いのに、すぐには売れない本があります。
次の本も、長らく当店の倉庫にしまいこまれたままでした。
しっかり見つけていただき、
本日、お客様のもとに旅立っていきます。

ストーリーと絵が良いのです。

ひとりぼっちの女性が歩いて歩いて歩いて・・・
たどりついたのは、長年置き去りにされていた廃屋でした。
彼女は、たったひとりでおんぼろ家に手を入れます。
こつこつと修繕していくうちに季節がめぐって。
ようやく完成した家に
"COME BY CHANCE"というプレートを掲げます。
厳冬の晩、やってきたのは牛。
風の吹きすさぶ晩、やってきたのはねこ。

荒天から逃れるように次々、動物が訪れて…。
家は動物たちでにぎやかになります。
もう彼女は孤独ではありません。

春がきて、動物たちは出ていきます…
「また来てね」と笑顔で送り出したあと、
がらーんとした部屋で放心する彼女。
しかし、そこには、居残りを決めたねこのぬくもりが…。

この本を手にすると、
店舗を手作りしている友人や、
ひとり暮らしをしている叔母など、
さまざまな人のことを思い出します。
わが未来に思いを致します。
大人のための寓話と読めなくもありません。

本をお買い上げくださった方は、
ご家族が療養中とのこと。どうぞお大事になさってください。
本が少しでも安らぎをもたらしてくれますように。

なお、こちらの本はすでに品切れです。
当店在庫分は一切ございませんので、ご了承のほどお願いいたします。

COME BY CHANCE
MADELEINE WINCH
ISBN: 051757666X

日記・ブログを書き続けるというのも案外エネルギーがいるもので。
毎日、書かなければいけないと思うと、
ときにしんどくなって辞めたくなるので、
書きたいときだけ書くことにします。
前も書きましたが、自分に言い聞かせるため、また上のように書きました。

ふだん、だれも読んでいないかと思って
のんきに書きたいことを書いています。
ときどき、人から指摘され、
ああ、読まれているのねと気づいて、はっとします。
商売人として書くべきでないことも書いてしまうし。
手のうちをあかすようなことなど書かなければいいのに、
ついつい書いてしまうのは、サガなのか何なのか。
私は自分の古本屋体験を、
もうひとりの私が体験取材して記録し公開している気持ちもあり、
自分の取るに足りぬ体験でも、
どなたかの参考になるなら良いのではないかと書いてしまいます。
しかし、ああ、書かなければよかったのにと悔やむこともあり、
もう本当に、いっそ書くのを辞めようかと何度も思います。
8月後半からは海ねこのトップに書きたいときだけちょちょっと書くだけにして、
ある程度の量書いたときだけ、こちらにコピー&ペイストする作戦も考えました。

しかし、吉祥寺にできた「百年」という店のブログを読んでみたら、
おもしろい。刺激を受けました。
読んでないと思うけど、ありがとう、「百年」さん。

自分の体験が、どなたかの参考になることがあるなら、
いや、あまり参考にならないでしょうけれど、でもまあ。
自分の体験、自分のことなど勿体ぶるほどのことでもなく、
タダなんですからいくらでも公開します。
あくまで、自分の書きたいときに書くので、いいんです。
書きたくないことを決められた条件下で書くのは大変です。

ああ、もう何でも書きたい気分になってきました。
ついでに書いておきます。

以前、ご注文をいただいたのに、ここ最近、
音信がないなあと思っていたお客様から
突然、ご注文をいただくことが何度かありました。
音信がなくなると実はとてもさびしくて、
しかし、やりたい店をやり続けている以上、
離れていくお客様がいらして、また新たにやってくるお客様がいらして、
ということで仕方がないのだと思っていました。
とうに当店のHPなどご覧になっていらっしゃらないのだろうと
半ば哀しく、半ば諦めてもおりました。
すると、出し惜しみしていたような本を掲載すると
リアクションをいただくので、
ああ、HPをご覧になっていてくださったのな、と、ドッキリ。
ご覧いただいても、欲しい本が見つからなかったのだなと。
実店舗だったら、そこでもう足を運ばなくなるところです。
HPだからこそ、何か良いものが出たかもしれないと、
ダメもとでご覧くださるのですね。
その方にとって欲しい本をご紹介できずにいたのですね、
もうすみませんすみませんすみませんと、
100回ぐらい謝りたい気持ちです。

心を入れ替えて更新していかないとと思います。
ご注文いただけるような本を更新していかないと。
出し惜しみしたくなるような本を売っていかないと
買っていただけないのだな。
あちらこちらにしまいこんである本を
えいやっと出していかないといけません。
まだまだ、好きな本はそっととっておきたいという
変な執着心が私の中にあります。

この仕事を続けると、手に入る本と
本当に手に入りにくい本というのが少しずつわかってきます。
かえって執着心が増し、出し惜しみしたくなる気持ちに拍車がかかります。
Rという店の店主さんは
「惜しい本はものすごく高くつけて出しておけばいいの」とおっしゃっていましたが、
ものすごく高くつけるといってもねえ…。
葛藤の連続です。
プロになりきれない証拠でしょうか。
いやもう、本当に素人くさくてすみません。

いい本を出しなさいよ、と。
お客様から叱咤されているように思いました。
他店のブログを読んで、人ごとのように感心しているばかりでなく、
自分を変革する必要を感じました。

今すぐお出しできない本でも、
時間をかけていいやと思えたら手放していくようにします。
こう書いたからといっても、たいしたものを持っているわけではありません。
あくまでも、自分にとって持っておきたい本といったレベルです。
私が突然命をおとしたとしたら、
海ねこの倉庫にある本も、とっておいた本も何もかも、
いずれだれかの手を通じて市場に出ることでしょう。
なんだ、この程度の本しか持っていなかったのかと
皆さんにあざ笑われそうです。

長々とお読みくださった方、貴重な時間を使っていただき、すみません。
私も仕事しなくちゃ。どうぞ良い一日を。

9月12日は、業者の市場(中央市会)へ。
最近は買うばかりでなく、毎回何かしら出品するように心がけています。
HPへの更新が追いつかず、
買う一方だと、貯金がどんどん減っていく一方なので。
そう、業者の市場には"売り手"として、本を出品することもできるのです。

渋滞することが多いので、眠い目をこすりつつ早めに出発して神保町まで運転。

実は、今日、運転のミスをおかしました。
ゆっくりバックしていて、ちょっとこすってしまったのです。
(どこにこすったかは、先方があることですので、ちょっと伏せておきますが、
結果としては大きな問題にならなかったようです。
一日中、電話がなるたびびくっとしたことだけ書いておきます)
周囲の方から「大丈夫だよ」と言われても、本人はすっかりしょげきって…。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
当店の定番商品を含んだ束を買ってきたところ、
束をほどいて1冊1冊見ていったら復刊希望が多い
絶版本が何冊も含まれていました。
昭和のある時期、ひじょうに時間とお金をかけ、
存分なる人材を投入して
良質の児童書が編纂されていたころのものです。

この束を市場に出品した店主さんとは顔は知っていて、
ご挨拶はする関係。
その人は、この本にさほど思い入れがなかったようで
止め札(いくら以上でなければ売らないという意志表示をする札)も
入っていませんでした。
それで、当店は運よくひじょうにリーズナブルに入手することができ、
静かに深く感謝しております。
時代や傾向から、おそらく同じ人の持ち主だったものが
何かの理由から売りに出されたものと思われます。
あるいは、どこかの古書店の店主が集めてきたものなのかも。
良質の児童書を買い集め、大事になさっていた方。
人となりを想像しました。
男女の性別さえわからないけれど。

ほかにも今日は久々に良い買い物をすることができました。
他店が買わないけれど、自分の店は買うというものがないと、
市場ではそうたやすく買い物ができません。
本当に一瞬、自分をほめてやりたい気持ちです(うぬぼれるな)。

組合に入れば、良い本を入手できるという図式はありえません。
自分が欲しい本は、他店も欲しいわけで、
買いたいものを買いたい値段で入手できることは稀です。
先輩書店の教えに従って、
毎週3日も4日も市場に通い続けてきて、
ようやくたまにチャンスにめぐり合うということです。
行くたびに何かしら買っておくかと思うものとは出会うため、
昨年秋から組合に支払いを重ね、いまやすっかり貧乏店です。
しかし、飲み込みが悪い私は身銭を切り、
市場で買い続けて体で覚えこまないとダメみたい。
「ただのバカ」「計画性がない」ともいう。
しかし、苦心してこれまで払い続けてきた"授業料"も、
たまには生きるってことで、ふふ(安心するな、うぬぼれるな)。

海ねこHPか、あるいは10月公開の「本の散歩展」目録か
11月公開の「月曜倶楽部」目録か。
いつかごらんいただけると思いますので、お探しの方がいらっしゃいますように。

運転にバテて、ほんの1冊だけですが、チェコのねこ本を更新。
大好きな本です。画像をごらんになるだけでもどうぞどうぞ。
左の欄にある「古本 海ねこ」をのぞいてみてください。

すっかり秋の風。季節は確実に変化していますね。

ふちがみとふなとCDが最近の定番BGM。
しかし、ライブが圧倒的によかったです。
船戸博史さんが気持ちよさそうに奏でるベースが好き。
渕上純子さん、どこもかしこも好き。
最近、日本語の歌詞がきちんと聞き取れないライブが多いので、
私はてっきりPAが悪いためかと思っていました。
渕上さんほど日本語をきちんと歌い届けられる歌い手が
いることに希望を抱いています。
おそらく、どんなに大きなホールで歌っても、
会場のすみずみまで、ひとりひとりの聞き手にしっかり届くはず。

それにしてもライブの日、テーブルをともにした方々が、そうそうたる面々。
緊張症の自分はカチンコチンでろくにご挨拶もできず失礼しました。
ありがとうございました。

だらだら書くのもなんなので、昨夜読んでいた本より
好きだった部分を引用して終わろう。
「いい天気。泣きたいばかりのいい天気。
存分に泣け、と天の方から声がすれば、
私は眼の下に唾をつけ、ひッと嘘泣きするだろう」
(武田百合子「犬が星見た ロシア旅行」より)

買取のため、市内のお宅へ。
本を束ね、手伝っていただきながら車に積んだあと、
お茶をご馳走になる。
多趣味で、さまざまな人の集いに積極的にご参加なさっているご様子。
「最近、出不精になっちゃって」と話したところ、
「若いのに勿体ないわよ」とハッパをかけていただいた。

ところで、夜9時40分以降、突然、注文が多数入ったのだった。
男子皇族誕生景気?かと思ったら、
すべて「MOE」の同じ号へのご注文。
日が改まってから倉庫に行き確認しないとわかりませんが、おそらく在庫1冊。
最初にご注文くださった方にしかお分けできません。
今からご注文いただいてもお分けできませんので、ごめんなさい。
それにしても、なんでしょう? テレビの影響ですか? 
すでにご注文いただいた方には、お分けできる場合も、
そうでない場合も7日にメールをお送りします。

昔ながらの八百屋さん。

店頭にいでます、看板ねこ。
いい気持ちでお昼寝してるのに邪魔せんでよ~。

買取の問い合わせで、初めてメールを書いたという青森のお客様にお電話。
うちよりよほど良い店がたくさんあると思うのに、
そのジャンルに強い店と思っていただいたようで、うれし恥ずかしです。
旅好きの私としては、資金が無尽蔵にあれば、どんどん遠方にもとんでいきたい気持ち。
しかし、そうもいかないので残念無念。
ここで一句。ドラえもん、私にちょうだい「どこでもドアー」。
くだらなくてすみません。

仕事の都合で、録画しておいた「マイ★ボス マイ★ヒーロー」に続き、
遅ればせながら24時間テレビ ドラマスペシャル
「ユウキ~頭蓋骨が溶ける病気と闘う青年と仲間の絆~」を見る。
亀梨くんの演技がナチュラル&リアルすぎ。
脚本(水橋文美江、山岡真介)がよく、
病人に周囲がどう接すればよいのかというテーマもきちんと描かれていた。
ドラマが終わっても現実に戻れず、しばしぼーっとしてしまう。

本が届いたということで、お喜びいただき、
ご丁寧にメールをくださいました方々、ありがとうございます。
買取のご依頼をいただいている方々も、ありがとうございます。

課題山積ですが、店としてもうちょっとでも向上していけますように。
ただいま、古いロシア絵本、買取強化中。よろしくお願いいたします。

他店のことながら、
古書日月堂
ウェブ版特集目録「机上のK.K氏」9月1日23時、ついに公開されました。
目録の終わりに-「机上のK.K氏」の始まりの話ーーまで、
ぜひごらんいただきたいと思います。

最後までごらんになりますと、
文章がよく書けていることも手伝って、
K.K氏に近しいものを感じる方も少なくないことでしょう。

古書店っておもしろい。
日月堂さんは、いつもいろいろ気づかせてくれます。
古書店を続けていくって楽じゃないですが、
おもしろい仕事です。
本を通して、大変さまざまな方とつながっていく仕事のように
感じています。
あの人とも、この人とも、
日本中・世界中のあの人とも、この人とも、
あの世の人とも、この世の人とも。

2012年8月

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