人肌のお湯割りもいいかもね

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南部古書組合の振り市へ。
欲しい本が出ないかなあ。
20日締め切りの「本の散歩展」目録、
まだ行が埋まっていない。
今日は何か出るかもしれない。
遅刻してでも、行く。
遅刻すると恥ずかしいが、行く。
遅れたからといって行くのをやめると
駄目すぎる自分に押しつぶされそうだ。
とにかく向かう。眠い目をこすりながら。

トランクルームが満杯になりつつあるので、
南部に出品する本を運ぶため車で。
多摩川沿いの道路をひた走る。
大型トラックが多い。
渋滞。

中原街道も渋滞。
あああー、ふだん1時間強で着くはずなのに、
すでに1時間半、運転し続けている。
南部古書会館がある五反田は、まだまだ遠い。
渋滞は本当に疲れる。

もたもたしていると、振り市にますます遅れてしまう。
毎回遅刻しているが、遅れれば遅れるほど部屋に入りにくくなるから。
環七手前で車をコインパーキングに入れて、
長原駅から池上線で五反田へ向かう。

いろいろ終えてから、電車に乗って
コインパーキングに駐車してある車をとりにいく。
再び、五反田の古書会館にとって帰す。

南部の振り市に出品する本を束ねて
台車に乗せていく。
帰りにカラの車で帰るのは無駄なので、
ロッカーに入れっぱなしの本を整理。
車に乗せられるだけ持ち帰ることにする。
来月「本の散歩展」がある。
出品する本をどんどんロッカーに入れていきたい。
そのためには、まず、ロッカーを整理しなければ。

本の山を整理しながら半分ほど振り市に出品することにして、
残り半分は車に積み込む。
先週の入札市で落札した絵本・児童書と一緒に持ち帰ることにする。

持ち帰る本も、南部振り市に出品する本も
とにかく束ねる、束ねる、束ねる。
縛りが苦手。
この作業は、私のよわっちい背筋にきく。

南部の経営員がおしゃべりしている。楽しそう。
みんな仲がいいなあと、遠くに皆さんの声を聞きながら作業する。
私も、おしゃべりの輪に入りたいなあ。
だけど、早く帰って発送・受注作業をしなくちゃ。
「至急」のご要望の人がいると、そのたび胃が痛くなりそうだ。
できないことはできない。
しかし、人にはそれぞれ事情があるのだから。
急ぎの人には急ぎの理由があるのだろうから、
できる範囲で応じようと思う。

帰り道は、多摩川沿いはやめて
中原街道から環七、目黒通りから環八、世田谷通りへ。
また渋滞。

ようやく帰宅して、発送作業。
本の整理をした日は、どうにもこうにも眠くてたまらない。
明日締め切り仕事があるのに、何も手につかない。
睡魔に負ける。

久々にかなり、いろいろご注文をいただいた。
力を振り絞るようにトランクルームから持ってきた本をチェックして
受注メールを何通かようやく書いた。
残るは、あと1通だ。
連れ合いは今夜もお出かけ。私はひとり。
メールを1通書いたらビールだ。
飲んで、お風呂に入って寝てしまおう。
肌寒いので、毛布をかけて寝ようと思う。

本の重さと格闘した夜は、本当に起きていられない。
「明日から頑張ろう」が最近の口グセ。

寝る前にちょっとだけ本を読んで眠りに落ちよう。
ささやかな幸福。

ちなみに、夕方、図書館に立ち寄って借りてきた本。
「小さなしょうぼうしゃ」
「小さなローラー」
「小さな乗り合い馬車」
グレアム・グリーン・文
エドワード・アーディゾーニ絵
阿川弘之・訳

「なかよし特急」(阿川弘之)という本をこの夏、目録に掲載した。
抽選した結果、お買い上げいただいた方に
「究極の探求書だった」と大変、喜んでいただいた。

古書店としては、お世話になっているご近所の方から
お譲りいただいた本をご紹介して、
あの人からこの人へと橋渡ししたに過ぎない。

前に酒席で、月の輪書林さんに
「やはり、自分のテーマを持って本を選ばないといけないんですよね。
自分なりにテーマがないと、明治古典会(金曜の市場)に行っても
何も買えませんよね」と質問してみた。
すると、月の輪さんは
「それは違うよ」ときっぱり。
しばらく、下を向いて言葉を探していた。
「古本屋は、無いものを探すのではないんです。
自分のテーマに沿った本を探すのではないんです。
在る本を売るんです。説明が難しいけど…うーん」…。
飲んだ席で、面倒な質問を向けるなんて配慮がなかったなあと反省。
それでも、とても大事なことを示唆してくれたような気がした。
話を聞いたその場では、意味がよく飲み込めず、
わからない自分が腑に落ちなかった。
その後、月の輪さんの言葉を反芻し、
自分のあほっちぃ頭なりに考えてきた。

「なかよし特急」は縁あって、
大事な人からお譲りいただいた本を
大事な人にお売りしたのだった。
本がすべてなのであって、
そこに介在する私の意志など、さして必要なかった。

おそらく、本がすべてなのだと思う。
ただ、本は自分で歩けない。
そこに在る本に気づいて、あちらからこちらへ動かす人がいなければ、
本ーーあえて言うなら古書ーーは人から人へ、
時代から時代へと渡っていけないのだろうと思う。
買取でも市場でも、そこに在る本の貴重さに気づけるかどうか。
「在る本」の良さに気づき、発掘していけるかどうか。
イメージどおりの理想の恋人を絵空事で探すのではなく、
実在する人と出会うこと。実在する人と会話をして、良さに気づくこと、みたいな?
やれやれ、という月の輪さんのため息が聞こえてきそうだが、
さて、この先、私は月の輪さんの含蓄ある言葉を
どこまで理解していけるのだろうか。

そんなこんなもあって、絵本・児童書作家としての阿川弘之が気になっている。
むろん、アーディゾーニの絵をゆっくり眺めるのは至福。

以下、絵本にあった阿川弘之プロフィールより抜粋。

子どものころからの乗りもの好きとしても有名で、
絵本「きかんしゃやえもん」(昭和34年、岩波の子どもの本、岡部冬彦絵)は
古典的評価を与えられている。
昭和35年、「なかよし特急」で
サンケイ児童出版文化賞受賞。

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