2007年3月アーカイブ

市ヶ谷で仕事。
外濠公園の土手も、靖国通りも、
桜は早くも散り始めている。
花吹雪が舞い、葉桜になりつつある木もあった。

週末、友人と会う予定があるため、
夜半ひとりで、かたかたパソコンに向かっている。
本日仕事をしてきた分のテープ起こし。

当店は、会社員の家族が生活を支えてくれているうえ、
上記のようにあれこれやりながら。
本当におかげさまで、今のところは続いている。
もっとも、終身雇用制など今は昔。
いつまでもこの状態が続くとは、
家族も私も思っていないはず。
当方の経営状態は、春夏秋冬を通して陽炎の彼方である。
市場に本を買いにいきたいが、
市場へ売却のほうに力を入れないとまずそうだなあ。

先日のコクテイル対談では、
なかなか聞くことができない広瀬さんの苦心談を聞くことができた。

すばらしい品揃え、リーズナブルな値段で
提供し続けるのが、楽なわけはない。
想像以上のものを感じた。
いつだれが来てもなんとか満足してもらえるように、
広瀬さんをもってしてもギリギリの感じで、
なんとか棚作りを維持し続けているのだということ。
100円均一が名物だが、
苦肉の策であるという話は意外だった。

催事に参加しないで、ネットもやらない。
何よりも店が大事だと言い切って、工夫し続けている。
奇跡の書店だと拍手喝采ではあるのだけれど、
薄利多売を少人数で続けていくのは、どれほど大変だろう。
火曜定休と決めるのに、さぞかし決断がいったことと思う。
市場にいるときも店舗にいるときも、
広瀬さんは真剣な眼差しだ。
広瀬さんとご家族の方、
体だけは大事にしてくださいねと祈るばかり。

ブック・ハンティングは面白いでしょうけれど、
少しでも続いていってほしい古書店には
なるべくお金を落としてあげてくださいね、
あるいは、良書を売ってあげてくださいね。
続いてほしい店はあちらこちらにあるので、
そういった店のために祈ります。
古書店が次々姿を消していく社会は楽しくないもの。

3月28日のエントリーに
ナンダンナさんからコメントの書き込みをいただいた。
私から見て、
今現在もっとも高い志を持つ編集者のひとりだと思う。

思想と経済活動…の兼ね合い。
つねに、自分にもついてまわる問題だ。

桜が散り急ぎそうなので、
週末、新着本は休みます。
メール対応、少々お待たせします。

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仕事を終えてから、生まれて初めて生の落語をみにいく。
同業者の友人にお誘いいただいたため。

西武多摩川線「多摩」駅近く。
永福寺というところで「松丘亭」という名前の会が
毎月1回、第四水曜日に行われている。
なんとすでに200回以上続いていて、
おそらく20年以上?

家から自転車で行くことができる距離。
しかも、木戸銭500円以上とリーズナブル。

最近は前座(の若手たち)は多忙だそうで、
出演した5人全員が真打。

瀧川鯉昇が何人もの登場人物を語り分けるのを
聞いていたら、
江戸時代の吉原の様子、
女郎屋の様子がいきいき脳裏に広がる感じ。

お寺の一室なので、いわゆる寄席とは
だいぶ雰囲気が異なる。
畳敷きに椅子が置かれていて、
高座は一段高く設けられ、紫色の座布団。
三々五々、会場に集ってきた人の大半は
地元民なのかどうか、ほとんどは年配の方ばかり。
おひとりで来ているらしき常連の女性もいて、
おじさんおばさんが楽しそうにうなずきながら
噺を聞いている光景が面白かった。

お誘いくださったNさん、ありがとうございました。

多磨駅近くに店などなければ帰ろうかと話していたら、
若いご夫婦がやっている居酒屋を発見。
古書店話などする。
Nさん、終電にきちんと乗れましたか?

自転車で帰宅して、なんとなくさらに飲む。

WOWWOWで放送していた「かもめ食堂」を
とりだめてあったので、見始めたらやめられない。

「いいわねー、やりたいことをやっていて」
「やりたくないことをやらないだけです」

「この国の人はどうしてゆったりしているんでしょうね」
「…森があります」
「森に行ってきます」
(映画「かもめ食堂」より)

連れが、界隈に花開く桜を画像アップしました。

植木等さんがお亡くなりになった。
1926年12月生まれ、80歳とのこと。
たまたま、何度か植木さんをお見かけしたことがある。
頭脳明晰、かくしゃくとしていて、
とてもそれほどご高齢の人には見えなかった。

「かがくのとも」100号から199号までをまもなく更新予定。

昨日たまたま、
三鷹光器株式会社についての番組を見た(テレビ東京・カンブリア宮殿)。
三鷹光器という会社は、器用さを見るために、
焼き魚を食べさせて箸が使えるかどうか確かめるような
ユニークな採用方法をとっているとか。
社長さんは、界隈の小学生の見学歓迎と話していた。
最近の子供は理科の力が落ちている、日本人はもっと
科学の力を伸ばしていかないと惜しい、といったことも。

「かがくのとも」をぱらぱら見ながら感じるのは、
科学のシンプルでいながら大変奥深い面。
「かがくのとも」は28ページという限られた誌面だが、
ストーリー展開がひじょうによく練られている。

とある絵本編集者と最近、交わした会話を思い出した。
「大手出版社は絵本1冊を半年で作るっていうけど、信じられない。
自分は作家とああでもないこうでもないと相談に相談を重ねて、
作家にうるさがられても、良い絵本を作るために
時間をかけて構成を練っていく。
急いで作った絵本は、消えていくのも速いと、
僕は思っている」と。

「かがくのとも」のように、練りに練られた作品を
今の出版界ーーそれも忙しい大手出版社の編集者が
根気強く作ることができるだろうか。
社内に、そのようなことが許される空気はあるのか。
企業に、ゆっくりじっくり良いものを育んでいこうとするほど、
体力・余力があるだろうか。

70年代80年代はじめぐらいまで、
内容充実した絵本・児童書を作り出そうとする
作り手たちの心意気・志がひじょうに高かったように思う。
子どものため、であり、
未来の日本のためであり、
自分の知り合いや家族のためであり、
自分自身のためでもあっただろう。
作り手たち自身が、面白がって
ものをつくるという作業にいそしんでいるさまが
当時の絵本・児童書にはみなぎっている。
昨今の効率優先という風潮は、
短期的に見ると良いだろうが、
長い目で見ると果たしてどうだろう。

「きもち」(かがくのとも108号 78年 谷川俊太郎・文 長新太・絵)は
文字数はわずか。
わずか4ページにわずかな文章量が書かれているのみ。
「いろんな きもちが
うまれては きえ
きえては うまれる。
やさしいきもち
おこるきもち
はずかしいきもち
おそろしいきもち……」

谷川俊太郎が子供に向けて描いた詩文、
長新太の絵柄、練りに練った構成によって、
大変シンプルでありながら深みのある1冊になっている。

「めだか」(かがくのとも109号 78年 吉崎正巳・作 太田一男・監修)には
生物が生き抜いていく大変さ、
厳しい冬はじたばた動かず、じっと耐えて春を待つことなど、
わが生涯まで重ね合わせて考えさせられるような
ストーリーが描かれている。

「いろ いろいろ」(かがくのとも118号 79年 辻村益朗・作)は
ひじょうにアーティスティックな構成で
今、大人の私が見ても新鮮。

「らいおん」(かがくのとも121号 79年 金尾恵子・作 増井光子・監修)には
ライオンの狩りについて、詳細かつリアルに描かれている。
今の若いお母さんだったら「残酷!
うちの子に見せれないわ」と目を覆いそうな。
全体を通して見ると、作者の言わんとしているニュアンスはよく伝わってくるが。

「くさる」(かがくのとも147号 81年 なかのひろたか作)より引用。
「おおむかしから、しょくぶつはどうぶつに
たべられ、よわいどうぶつは つよいどうぶつに
たべられ、そのつよくておおきいものも
しんでからは このちいさなちいさなむしに
たべられて、くさて、つちにとけてきた

こうして、いろいろないきものが
うまれて、しんで、くさり、
つちにとける。しぜんは なんどもなんども これを
くりかえして、つづいてきた」

ここのところ、家にこもってデスクワークばかりで、
運動不足ぎみだった。
もっと意識して体を動かすようにしなければ。
生を授かった以上、どうにか生き抜こうとする本能は、
小さな虫であっても持ち合わせているらしい。
デスクワーク中心なら疲れないかと思いきや、
肩こりや腰痛になりやすく、体調を崩しがちだ。
無心に体を動かすことも覚えたいと思う。

今宵、近所の川辺から空港まで歩いてきた。
野川という名の川辺沿いの桜、
陽当たりの良い場所の木は
4分から5分咲きといったところだろうか。

23日は、吉祥寺バウズシアターに
映画「夢十夜 海賊版」を観にいった。
友人・潮見諭が出演しているので。
スクリーン上に広がる友人の顔…
スクリーン映えする顔だと思う。役者の顔だ。

実験的な映画など久々に観たので、
感想をああだこうだ言い合いながら
はしご酒。
生ビール、紹興酒、
ワイン、日本酒…

弟の店で薦められるがままワインを飲んだ。
咳き込むとすっと水をついでくれる。
もともとホテルのレストランやバーで働いていたので、
彼にとっては職業意識からではあろうが、
外で会う弟は立派に大人だった。

3軒はしごして、すっかり夜遊び。
飲みすぎた翌日は、近くの温泉で汗を流して乗り切る。
予定していた仕事に着手できず、
一日棒に降ったことが手痛い。
まあ、夜遊びできるのは、
どうにか体調が回復しつつある証拠だと思いたい。

それにしても、3月はひどい状態だった。
咳き込みで寝不足気味なのか、
人から頼まれていたことを2つ、
まったくきれいに忘れていたことを今日思い出す。

近所の家では、寄せ植えがきれいだが、
我が家のプランターには苗を植えることもなく、
荒れたままで、お寒い限り。
今年は、春なのに花のない家だろうかと思っていたら、
ツルニチニチソウの青紫色の花が咲いていた。
耕すことさえせず放ったらかしの土を見たら、
オオイヌノフグリの青い花が咲いていた。
季節は確実に進んでいる。

ぼちぼち通常どおりにペースを戻していきたいものだ。
市場で買って郵送した本が2箱、丸々玄関に積み上げたままなのだが、
これらのうち、海ねこ用はどんどんホームページに更新し、
そのほかの本はどんどん値札はりをして
本の散歩展用にしていこうと思う。
新着本を6冊、更新しました。

城山三郎さんのことは、
皆さんお書きになることだろう。

皆さんとはかなり異なるかもしれないが、
私が城山さんの著作と出会ったのは、
新潮文庫「黄金の日日」だった。
当時、読んだ動機は、
NHK大河ドラマ「黄金の日日」(78年)の原作だったから。
石川五右衛門を演じていた根津甚八が好きという、
きわめてミーハーな動機からである。
根津さん、人身事故を起こしたのち、どうしているのだろうか。
「黄金の日日」に出演していた川谷拓三さんも
すでに鬼籍の人だ。

今日は締め切り仕事のテープ起こし。
雄弁な人が一時間たっぷりお話になったものを
起こすのは、結構な時間がかかる。
そして、梱包・発送。
まとめてのご注文が何件かあったので、
夜は、倉庫で本を探すのに追われた。
車を横付けしてとめておくと
通りかかった車にクラクションを鳴らされ、
2度、車を移動させ、もとに戻して、
また続きを探す始末。

まとめてのご注文のうち、ひとつは、
とある作家が書いた原稿が掲載されている某誌を
すべて買いたいというご所望だった。
某誌における某氏の連載をたどってみると、
昭和29年から昭和43年にかけて実に15年、連載をお続けになっていた。
ホームページ上で一号一号、確認してエクセルに入力しながら、
あら、この号はお休みかしら、どうされていたのかしら、
あら、また復活しているのね、など
勝手ながら、その人の執筆活動に思いを寄せた。

当店は、できるだけ雑誌でも、執筆者の名前を記載してきたので、
ホームページをある程度、データベースのように使える。
すべて完璧ではないが、
だれがどの号で書いているのか探すことができるのだ。

その雑誌にしても、
執筆者の名前を打ち込むのに、それはもう時間がかかった。
深夜ひとりで延々、打ち込んでも打ち込んでも終わらずに、
積み上げてあった雑誌が待ち構えていて、
まだまだあるなあと思った記憶が蘇った。
某誌について、ホームページ上の記載を確認しながら、
当時、打ち込んでいたときの光景や
そのころ考えていたことまで思い出した。
データ入力は気が遠くなるような作業だが、
日々の貯金がいつか生きる。
検索機能を使って自店目録を活用できるのは
ネット古書店ならではのメリットではないだろうか。

こつこつ入れておいたおかげで、
何年かたってからも
「~さんの記事が載った号が欲しい」といったご要望に
おこたえできることがある。
すべてのお問い合わせに対応できるとは言えないながらも、
ときにお役に立って、お喜びいただく。
品切れになった号であっても、
あの号に~さんの記事が掲載されていると調べられるので、
もしどうしても見たいときは図書館に足を運ぶ手もある。
自分自身のために入力している意識もあるし、
もちろん皆さんにご活用いただければなおいい。
偉そうに言わせてもらうと、
ただ単に、本を売っているだけではないつもりである。

自分の父親も、学校図書館の仕事をしていて、
こつこつ図書カードを手作りしていたなあと思い起こす。
親を反面教師として生きてきたつもりが、
いつの間にか、同じようなことをやっているのだ。

それにしても、毎度毎度、書き続けていて自分でもイヤになるが、
以前のように入力作業に時間をかけられないのが
終始、悩みの種である。
いっそ、データ入力の仕事を外部に発注しようかとも思うが、
打ち合わせの手間など考えると、気が進まない。
今日など、入力しようと思った本を揃えたのに、
あれこれしているうちに夜が更けゆく。
ああ、今日もまた新着本まで手がまわらない。
お待ちの方に申し訳ない。心穏やかに眠れるかどうか…。

昨夜は、村上春樹・訳「ロング・グッドバイ」を読みながら、
久々に咳き込まずに寝付くことができた。
私の咳き込みは、どうやら「咳喘息」というものらしいと予測がついた。
検索すると、症状がよく似ている。
なんとかなだめすかして、
無事、今日も一日を終えることができた。
一生かけてもさしたることはできないのだろうな、
果たして何ができるんだろうか…。
終わりのない問いかけを夜の闇に投げてみる。

昨日は、コクテイルで力仕事でした。
絵本酒場の搬出作業。

絵本酒場を振り返るといろいろありました。
イベント、今思い返しても、とても良かったです。
対談をおこなってくださった方、
ご参加くださった方、
ブログなどで告知してくださった方、
見守ってくださった方、
ご興味をお持ちくださった方、
コクテイルさん、ありがとうございました。
絵本酒場に足をお運びくださった方、
お話することができ、うれしゅうございました。
あづま通りを歩いていて、
ぶらっとお立ち寄りくださった方、ありがとうございます。
海ねこのお客様には、何人か事前にご連絡をいただき、
海ねこHPにのせていた本を実際ご覧いただくことができました。
実物を手にとって納得したうえで購入することができた、と
お喜びの声をいただきましたのは、何よりでした。

神保町での同業者飲み会で、
「ほらね、だから、神保町に事務所があるといいんだよ。
本を見たい人は、どこかに行くついでに立ち寄れるんだし」
と言われましたよ。
4月20日・21日「本の散歩展」にも
何か見たい本がありましたらお持ちしますので、
事前にご連絡くださいね。
絵本酒場の売り上げはコクテイルでの飲み代にだいぶ消えましたが、
「結構よかったんじゃない?」
と同業者たちには感心されました(嫌味かも?)。

コクテイルでの搬出作業は、
いろいろやることがありましたので、
昨日はすべて終えることができずに時間切れ。

1時間強遅れで、阿佐ヶ谷のだいこんやへ駆けつける。
岡崎武志さん「読書の腕前」
杉浦かおりさん「日本に恋するロシア映画」の出版を祝う会。
そして、3月生まれの岡崎さんや私を含め、
4名の3月誕生会もかねて。
古書店、新刊書店、出版関係の方などなど
皆で楽しく卓を囲みました。

のせ上手の岡崎さんにあおっていただき、
図にのって喋りすぎました私でございます。
皆に追いつこうとかっぱかぱ飲んだビールも手伝って、
軽率に喋ったことを、あとから恥ずかしく思いました。

咳き込む私に、左から、斜めから
のど飴を渡してくれた
お優しい女性お二人、ありがとうございます。
咳き込みながら飲むのもどうよ、と思いますが、
乾燥しすぎだと喉には辛く。
鼻づまりのときはビールが結構苦いんですが、
喉を潤しているほうが楽ではあります。

昨日コクテイルでやり残した作業をするため、
先ほど高円寺へ。
人がいない店は、しんと静まりかえり、
祭りが行われていないときの神社のようでした。
柱時計の音がコチコチ響き、穏やかで悪くない。
その一方で、人が集ってこその店の活気を思い起こし、
妙に人恋しい気持ちになりました。
細い月を見上げながら倉庫経由で
帰宅して今に至ります。

「古本 海ねこ」に2月4日・立春から
3月21日・春分まで連載中だった
「春を待つ日のアドベントエッセイ」がついに最終回を迎えました。
カーネーション・リリー・リリー・ローズさん、
ご執筆、ありがとうございました。
カ・リ・リ・ロさんの博識と、軽やかな文章がマッチした
素敵なエッセイだったと思います。
花や風景の写真もカ・リ・リ・ロさんの手になるものでした。
お読みくださった方、ご感想など、いかがだったでしょうか。

まだまだお書きになりたいことはたくさんたくさんあるとのこと。
5月7日から2週間、毎日
「庭とバラの日々(アドベントエッセイ)」をお書きくださるそうです。

さて、沼辺信一さんのブログ
石井桃子さんをめぐる連載が完結。
石井さんが歩んできた道のり・時代背景を
沼辺さんがご熱心に調査され、ご執筆されています。
はじめから順に、じっくりお読みになることをお薦めいたします。

原宿で仕事。
目的地の地下街で素敵なカフェに入った。
絵本を読める
「CAFE SEE MORE GLASS」(カフェ・シー・モア・グラス)
(東京都渋谷区神宮前 6-27-8 京セラビルB1)

ランチは3種類。
玄米カレーと飲み物で900円。

棚いっぱいにぎっしりつまった絵本を自由に手にとることができる。
ファイヤーキングのマグカップが壁にかかっていて、
こじんまりとかわいらしいカフェ。
照明が暗めで、行ったときはビル・エバンスが流れていた。
友達の家に立ち寄ったような、落ち着ける空間だった。
目の前にあった「こねこのフーシカ」(松居スーザン 松成真理子)を
開いた。
仕事の合間に、絵本を開いて
マインド・トリップというのはいいなあ。
絵本は短い時間でも読めて、異空間にいざなってくれる。
カウンター下には「こどものとも」がぎっしり並んでいた。
絵本を売るのではなく、絵本を読めるように並べるというのも
よいなあと思う。
あれだけのラインナップであっても、
いざ売り始めたら、すぐに棚の充実度が低くなるだろうから、
いっそ売らないで手にとってもらうのもありだろうと思った。

一方、お茶1杯で粘る人ばかりだったら、
家賃を払うだけでもどれほど大変だろうかと
よけいな心配をする。貧乏性というかなんというか。

経営のことを心配しないで
絵本を読めるカフェをやれるならいいなあ。
絵本を買えるというよりは、
絵本を読めるカフェやバーをやりたい人がいたら、
その棚に本を補充する役目などしてみたい。

仕事でお目にかかった人のことは、
この場にあまり書けないが、切れ者だった。
話が面白く、
お目にかかる前の先入観など吹き飛ばされた。
ひそかに応援していこうと思う。

帰り、通りかかった表参道の店でバッグを見る。
バーゲンでサンプル品が安くなっていたので購入。
身に着けるものを買うなんぞ、いつ以来だろうか。

神保町の古書会館に行って、
先週買った古書を自宅あてに梱包・発送。

まっすぐ帰るつもりが、
誕生会を祝ってくれるというお誘いにつられて、
同業者飲み会にちょいと顔を出す。
今日の中央市会によさそうなものが出ていたと聞き、
ああ、行けばよかったと悔やむ。

皆さん盛り上がっていきそうな気配だったが、
ひとりお先に退出。

本の散歩展 目録締め切りがこの日の正午だったにもかかわらず、
夜の提出になってしまった。
彷徨舎さん、当番のりぶる・りべろさん、申し訳ありません。

締め切りを少し破ってしまったことを除いては、
なかなか良い一日だった。
あとは、寝る前の咳き込みさえなければなあ。

ご注文くださった方、火曜にお返事差し上げます。
入金くださった方、火曜に発送したいと思います。

不調を売り物にしたらいけないと
とある人から言われた。
もちろん、である。

ただ、いま現在、勤勉になれない自分を
自分で責め続けるのはよそうと思う。
っていうか、もともと勤勉じゃないのですが、
春先はとくに勤勉になれないので。
「前は新着本、もっとマメだったのに、
最近どうしちゃったの」と言われているのがわかっているので、
勤勉になれない自分に困っております。

子供のころから弱かった。
中学のころにはすでに今と同じ症状になっていた。
器官が弱いのである。

咳が出ても薬ですぐ抑えられればいいのだが、
いったんこじらせてしまうと、毎回こうなる。
毎晩、横になると咳き込む。
とまらなくなる。まるで喘息のようだ。
花粉症も組み合わさって、拍車をかける。

喘息で死ぬ人はさぞつらいだろうと、
ふと脳裏をかすめる。

毎晩、家族にえらく心配をかける。

ほかは悪くない。
日中はまあどうにかなっている。
仕事もできる。集中力に欠け気味なので気をつけている。

弱りぎみになると、考え方全般、
後ろ向きになるのが困りもの。
でもまあ考えかた次第で、
自分のライフスタイルを見直すきっかけにはなる。
世の中、元気な人、強い人ばかりではないってことだ。
いろいろな人の気持ちを考えられるようになるという
いい面もある。
いろんな人がいて、いろんな状態のときがあるさー。

というわけで、ちょっと市場にも行けなくて、
南部のロッカーもお借りしたままであまり行けず、
神保町の古書会館に買った本も置いたままです。
何もしないと経済難になるので、
できる仕事はきちんとしています。
梱包・発送もきちんとしていますので、
ご注文くださる方はご心配いりません。
目録の締め切り、今日の外出仕事を無事に終えられたら、
神保町の会館に置いたままの本をとりに(送りに)いこうと思います。
コクテイルの本も搬出しにいきます。
新着本も遅れぎみですが、更新したい本はたくさんたまっているので、
まもなく少しずつ復活すると思います。
ご心配をおかけするようで申し訳ないですが、
春の一時期を過ぎればなんとかなると思います。
ゆるりゆるりとやっていきます。

何かとお優しく気にかけてくださる方、
飲みに誘ってくださる友人、皆さん、ありがとうございます。
海ねこにはたいしたものはないけれど、
支えてくださる方に本当に恵まれています。

いざよいの晩、
私は泣きながら生れた。
その時、みんなは笑つた。

死ぬ時には、
私笑ってゐ
たいとおもふ。

そして、みんなを
泣かせてやりたい。

「夢二画集 春の巻」(竹久夢二)より

市場

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土曜、関西方面のお客様から
春の風物詩とのことで、
手作りのイカナゴの醤油煮をお送りいただいた。
この方にはお世話になりどおしである。
ご家庭で醤油で炒っておつくりになった光景を想像しながら、
毎食、少しずつ大事にいただいている。

同じ日の夕刻、先輩書店さんがご心配くださって、
花粉症の薬を絵本酒場「コクテイル」にお持ちいただいた。
ビールで流し込んだのはまずかったかも、と
あとから気づいたが、
薬そのものは本当によく効くので驚いている。
ありがたいことです。

おかげさまで鼻はずいぶん楽になったのだが、
春だからなのか、花粉症だからなのか。
今度は眠くてならない。
小川未明の「眠い町」に行ったかのようだ。
私の行く先々、
「眠い町」の少年が砂をまいて歩いているんじゃないだろうか。

久々に市場(中央市会)へ。
仕事や体調の都合で2度ほど休んだと思う。
顔なじみの人たちと会話するたび、
真っ赤な鼻の下を手で覆い隠して。
いつも以上に固有名詞を言い間違える自分に辟易する。
ぼーっとした意識を奮い立たせんと
しっかり本を見ていこうと思うのだが。

でも、だめだ。
なぜか頭がぼーっとしている。
春霞が頭の中に立ちこめているかのようだ。
春のためか、花粉症のためか、
ふわふわ浮雲の上をさまよっているよう。

それでも、ちょっとは買えた。
「小学館の絵本 カロリーヌのおうち」
(ピエール・プロブスト絵
飯沢匡・訳 1963年)の混ざった束、
「世界童話全集」
(昭和24年 河出書房 装丁・初山滋)6冊、
「世界童話大系」(大正14年)2冊を含む束など。
茂田井武も入札したが、
開封を待たずに引きあげてしまった。
欲しいんだけどな、きっと高いだろう。たぶん無理だろうな。

土曜に絵本酒場「コクテイル」で酔ってしまう前に
記憶に刻み込んだ
「もっと更新しないと」という沼辺信一さんの言葉、
「市場行ってないの?」という店主の言葉が
頭の中で鳴り響いていた。

昨日は、なかなかはかどらないので悶々としながらも
なんとか12冊新着本を更新した。
今日こそ市場に行こうと足を運んだ。
市場にうずたかく積まれた本の山から
何か探し出して、他店がいくら入札するか考えて、
それより高い値段をつけて買うためには、
かなりエネルギーがいる。
市場に行かなくても済むなら楽だし、
お金もかからないし、さぼり癖がついてしまいそう。
だめだめ、とにかく行くことに意義ありだ。
本を買い続けるためには、
自分で自分にモチベーションを与え続けていかないと。
花粉症を言い訳にして、足が遠のいている場合ではない。
束をかきわけて、何か混ざっていないかと探す
カンを鈍らせてはいけない。

自分を腐らせるのは自分なら、
自分を生かすのも自分。

それにしても眠いんである。

そうこうしているうちに、ショッキングな電話が飛び込み、
眠気が吹き飛ぶ。
もっと頑張らねば、と
見えないだれかに言われているようだ。

3月10日、
石井桃子さん、100歳のお誕生日です。
おめでとうございますー!

日本中で、どれほど多くの方がお喜びのことかと存じます。

体調のこともありましてすっかり弱気だったのですが、
コクテイル店主から
「無理をするのが人生でしょうー」と
もっともらしいんだか、なんだかということを言われまして。
はあ、それもそうだなあと…。

いや、よくわからないんですが、
石井桃子さんの100歳をお祝いしたい気持ちが
抑え切れませんし。
おかげさまで、ロシア絵本のバーゲンも好評でして、
ご来店してみないとわかっていただけない特典なども
土曜15時よりやっておりまして、
絵本酒場、3月14日までの予定だったのですが、
19日(月曜)まで延期することになりましたー。
よろしかったら、19日までにお気軽にお立ち寄りください。

海ねこ、花粉症のためマスクをかけてはおりますが、
10日、元気に駆けつけますよ。

風邪なのか花粉症なのか、
びろうな話で恐縮ですが、
鼻がつまっております。
片時もティッシュが手離せません。

鼻がつまっていると頭が働きません。

それでも仕事は待ってくれないので、
少しずつ少しずつ、
いつもよりゆるゆる仕事をしております。

昨日は、お待たせしていた梱包・発送を
ゆっくりゆっくり半日かけて。
今日は、お待たせしている買取本の査定を
5箱のうち1箱。
残り1箱です。
お心あたりのある方、もう少々お待ちください。

で、これから本日分の梱包と発送。
お客様にご迷惑がかからないよう
手をよく洗って、マスクをして作業しようと思います。

明日、組合機関誌の原稿締め切り。
ネット古書店の勢いづいた部分を
元気いっぱい書こうと思っていたのですが、
鼻の下は真っ赤だし、鼻づまりだし、
頭は回転しないしで、どうも勢いづくどころじゃなく…。

市場も最近とんと行けなくなり、
来週はまた仕事と重なって
行けない日が続きそうです。
引退かよ、と思っている同業者の方、違います。
春先は頭が動かない、
体も動かない…、ただそれだけです。

そんなこんな。
ゆるゆるとはやっておりますが、
なかなか思うような展開はできそうにありませんので、
ごゆるりとお待ちください。
問い合わせほか、メールをお送りいただきましたのに
返信がなかなか来ないとお困りの方、
こんな状況ですので、平にお許しください。
これをご覧いただいているとよいのですが。

お客様から分けていただいた精油、
友人から教えてもらったサプリ、
連れが買ってきてくれた薬など、あれこれ試しつつ、
早く花粉症、去ってと祈るような気持ちです。
確定申告はこの際、あきらめた。
花粉症が落ち着いてからやることにしよう。

週末から週はじめに無理をしたのがたたったようです。
本日の発送をもって、
ペースダウンさせていただきます。

皆様もどうぞご自愛なさってください。

イベント終了

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3月3日、4日、
絵本酒場「コクテイル」でのイベントが無事終了しました。

すぐ何かお伝えできそうにないので、
4日の出演者でありました
小宮さんちのブログを。
奥様でありますところの「ナンダさん」による
写真や文章がよいです。
ウイ坊を高い高いしてあやしながら、
ご主人の話を熱心に聞くというマルチぶり。
そして、
こちらこちら(連れのブログ。
いろいろ手伝ってもらいました)なども、どうぞ。

以下、ご本人の承諾をいただき、ダンディ・トミィさんの日記より
引用させていただきます。
ダンディさん、ありがとうございます。
固有名詞の表記を一部、変更させていただきました。

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すっかり肩の凝らないトークで、会場のふんわりした感じがとても居心地よかった。

そして現在オーストラリア在住の渡辺鉄太さんが、
小宮さんと作られた、『さとうねずみのケーキ
の話は面白かった。
この絵本、わたなべしげお氏(かの『エルマーのぼうけん』の訳者です)訳
として刊行されていますが、
実はしげお氏のお身体の関係で、
中途からご子息の鉄太さんが訳をひきつがれたのだそうです。

当初、題名は『ねずみのケーキ』の予定だったらしい。
「さとうねずみ」=シュガーマウス(ネズミ形の砂糖菓子)は、
ヨーロッパでは伝統的な飾り菓子らしいのですが、
日本じゃ誰も知らない。しかも大切なタイトル。
原文の感覚は残したいし、意味が判らないのも困る。
さてさてどうしよう。

日濠間で何度も何度もメールをやりとりしたそうです。
結構辛らつな応答もあったらしい。
でも結局この題名に落ち着いて今ではお互い大満足。
この件があってお二人の仲も親密さをましたとか。
こういうの、いいですね。

素人の小生にも「ねずみのケーキ」より
「さとうねずみのケーキ」が良いように思えるな。
「シュガーマウス」は知らなくても、これなんだろな? と。
でも、翻訳って文化の違いがあるから、なかなか大変なんですね。

ところで、シュガーマウスで思い出したんだけど、
「ラットケイク」(ラットケーキ)って、なんだか分かります?
お菓子ではありませんよ。

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沼辺信一さん、広瀬洋一さん、
渡辺鉄太さん、小宮由さん、
ご来場くださいました方、
コクテイル関係者さん、
どうもありがとうございました。

海ねこは、これより
週末ご注文いただきました方々の本を探しに
倉庫へ出掛けてきます。
順にお返事を差し上げますので、
受注メール、もう少々お待ちくださいませ。
買取のお客様も、もう少々少々お待ちくださいませ。
問い合わせいただいている方、もう少々少々少々、お待ちくださいませ。

風邪

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イベント出演者が元気でありますように、と祈っていたら、
自分がダウンしてしまいました。

熱で、受注も発送も何も手につきません。
ご注文やお問い合わせをくださった方に
お待ちくださいとお詫びメールを出し続けています。
買取対応をお待たせしている方、お詫びもできずに申し訳ありません。

ひとりの神様は「休みなさい」といっていて、
もうひとりの神様は
「ちゃんと明日イベントに行きなさい」といっています。
健康いちばん。皆様もご自愛なさってください。

ま、出演者が弱るよりましかな。

花粉症で、日常生活に支障をきたすほど。

毎年、早めからサプリメントをとっていたのだが、
昨年、あまりに楽だったため、
今年は対策を忘れていた。
案外大丈夫かとタカをくくっていたら、
とんでもない。
今の今になって、あわてている。
ノニのカプセルが二日酔い対策ばかりか
花粉症にもいいらしいと知って、
あわてて検索したりして。

終日、働きづめだったのですが、
ぼちぼち本を読んで休むことにします。
3月4日にコクテイルにてトークショーを行っていただく
渡辺鉄太さんと小宮由さんのお薦め本。
「心に緑の種をまくー絵本のたのしみー」(渡辺茂男)

単行本もありますが、新潮文庫には
巻末に鉄太さんによる
「文庫版のための付記」があります。
父親である茂男さんへの思い、
ご自身が最近気付いたことなど綴られています。
先ほど電車で途中まで読んだ時点で、
人が人に何かを伝えていく重みに、打ち震えるような気がしました。
今晩は、続きを読んで眠ろうと思います。

「心に緑がなくなれば、僕たちの生きる環境も
確実に砂漠化していくのです」

父親に反発し続けた思い出、
そして、老境にさしかかった父親に
心が寄り添っていく描写など。

「後記 二〇〇六年十一月十八日、渡辺茂男は永眠しました。
七十八歳でした。
文庫本の校正がちょうど仕上がってきた頃でした。渡辺鉄太」

その鉄太さんには、
つい先ごろトークショーの打ち合わせといいますか、
ご挨拶ということで初めてお目にかかったばかり。
石井桃子さんの電話の声もマネしていただきました。
石井さんは100歳の誕生日をお迎えになるとは
思えないぐらい、本当にお元気だそうです。
海ねことしても、できれば石井桃子さんの誕生日までに
更新したい特集があるのですが、どうでしょう、間に合わないかなあ。
3月3日、4日、コクテイルでどんなお話を聞くことができるのか、
企画者でありながら楽しみでなりません。
対談の途中、もしも花粉症らしきクシャミが聞こえたら、
それはたぶん海ねこです…。

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