まるで初夏のような3月最初の日曜日。
あづま通りも歩行者天国となっていて人通りが多いような。
午後3時からオープンしているコクテイル前にも次々とお客さんが立ち止まります。
セールしているロシア絵本の箱をのぞいたり、店内の棚から児童書を手にとったり。
コクテイルが絵本酒場になって一番の賑わいではないでしょうか。
夕方5時からは昨日に続いてのメインイベント第2弾。
「絵本作家と編集者 幸福な関係」
~児童文学界の申し子たちによる、熱く静かな語らいの夕べ~
児童文学者の渡辺鉄太さん、児童書編集者の小宮由さんのお2人です。
現在、メルボルンにお住まいの渡辺鉄太さん。
阿佐ヶ谷でこのあの文庫を主宰されている小宮由さん。
席もほぼ埋まった頃、
それぞれの現在の活動などからゆっくりとお話が始まります。
作家、翻訳家と編集者という立場で一緒に本を作り出している
このお2人ならではのエピソードなどが次々と語られます。
翻訳の苦労話はなかなか興味深いですね。
普通に使われる単語でも児童書独特の言い方があったり。
休憩後はご家族の話へ。
渡辺さんのお父様は、昨年亡くなられた児童文学者、渡辺茂男さん。
私の大好きな本、もりのへなそうるの作者さんです。
ああ、そういえばこの本に出てくる兄弟、お兄ちゃんの名はてつたくん。
なるほど。
この本を読んでいた自分と今、鉄太さんの話を聞いている自分。
そんな時間の流れを不思議に思ったりもしつつ。
鉄太さんご自身はお父さんの作品に自分の名前が出てくることが
とてもいやだと思う時期もあったようです。
そりゃそうですね。
子供の頃のお父さんとの暮らし、年をとられてからのお父さんとの関係など、
家族、あるいはそれを超えた人と人との関係に触れたお話。
渡辺茂男さんの著書「心に緑の種をまく」
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この文庫巻末に収められている鉄太さんが書かれた「文庫版のための付記」でも
このあたりのお話が語られています。
染みてくる文章、ぜひ一度お読みくださいませ。
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一方、小宮さんのおじい様はトルストイ文学翻訳家、北御門二郎さん。
「祖父と人生とは?というような哲学の話をよくしました」という小宮さん。
こちらのご家族のお話も引き込ます。
家族、父と子、祖父と孫、兄弟、そんな人間同士のあれやこれやが
お話にあらわれたこの時間はかなり興味深いものでした。
テーマである作家と編集者の関係もまた人間関係。
本をよくするためにはどちらも妥協せず、信頼と尊敬をバックに
思いっきりぶつかりあう様もたっぷりと話していただきました。
結局のところ、本っていうのは人が作り人が読むんだなあ、というようなことを、
終了後、ビール飲みながらちらりと思ったり。
いやいや、いい対談でした。
会場一番後ろには、こんなお客様もいたりして。
息子はステージの父をじっと見つめておりました。
ここにもまた新たな父と子の人間関係が。
コメント (2)
Mongoさん、ありがとうございます。Mongoさんの記事を読んだら、やって良かったなって思いました。
ほんと、小さい時に読んでた本の登場人物が目の前にいたりするのは、なんか不思議ですね。
今度また、阿佐ケ谷のスペインバーで飲みましょう!
投稿者: ナンダンナ | 2007年03月06日 21:33
日時: 2007年03月06日 21:33
ナンダンナさん
ほんとにね、いい話でしたよ。
こういう裏話もたまにはよいかな、と。
ケクー・バー、ナンダさんも気に入っていたようですし、また行きましょうね。
投稿者: Mongo | 2007年03月07日 07:36
日時: 2007年03月07日 07:36