夜更けに

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城山三郎さんのことは、
皆さんお書きになることだろう。

皆さんとはかなり異なるかもしれないが、
私が城山さんの著作と出会ったのは、
新潮文庫「黄金の日日」だった。
当時、読んだ動機は、
NHK大河ドラマ「黄金の日日」(78年)の原作だったから。
石川五右衛門を演じていた根津甚八が好きという、
きわめてミーハーな動機からである。
根津さん、人身事故を起こしたのち、どうしているのだろうか。
「黄金の日日」に出演していた川谷拓三さんも
すでに鬼籍の人だ。

今日は締め切り仕事のテープ起こし。
雄弁な人が一時間たっぷりお話になったものを
起こすのは、結構な時間がかかる。
そして、梱包・発送。
まとめてのご注文が何件かあったので、
夜は、倉庫で本を探すのに追われた。
車を横付けしてとめておくと
通りかかった車にクラクションを鳴らされ、
2度、車を移動させ、もとに戻して、
また続きを探す始末。

まとめてのご注文のうち、ひとつは、
とある作家が書いた原稿が掲載されている某誌を
すべて買いたいというご所望だった。
某誌における某氏の連載をたどってみると、
昭和29年から昭和43年にかけて実に15年、連載をお続けになっていた。
ホームページ上で一号一号、確認してエクセルに入力しながら、
あら、この号はお休みかしら、どうされていたのかしら、
あら、また復活しているのね、など
勝手ながら、その人の執筆活動に思いを寄せた。

当店は、できるだけ雑誌でも、執筆者の名前を記載してきたので、
ホームページをある程度、データベースのように使える。
すべて完璧ではないが、
だれがどの号で書いているのか探すことができるのだ。

その雑誌にしても、
執筆者の名前を打ち込むのに、それはもう時間がかかった。
深夜ひとりで延々、打ち込んでも打ち込んでも終わらずに、
積み上げてあった雑誌が待ち構えていて、
まだまだあるなあと思った記憶が蘇った。
某誌について、ホームページ上の記載を確認しながら、
当時、打ち込んでいたときの光景や
そのころ考えていたことまで思い出した。
データ入力は気が遠くなるような作業だが、
日々の貯金がいつか生きる。
検索機能を使って自店目録を活用できるのは
ネット古書店ならではのメリットではないだろうか。

こつこつ入れておいたおかげで、
何年かたってからも
「~さんの記事が載った号が欲しい」といったご要望に
おこたえできることがある。
すべてのお問い合わせに対応できるとは言えないながらも、
ときにお役に立って、お喜びいただく。
品切れになった号であっても、
あの号に~さんの記事が掲載されていると調べられるので、
もしどうしても見たいときは図書館に足を運ぶ手もある。
自分自身のために入力している意識もあるし、
もちろん皆さんにご活用いただければなおいい。
偉そうに言わせてもらうと、
ただ単に、本を売っているだけではないつもりである。

自分の父親も、学校図書館の仕事をしていて、
こつこつ図書カードを手作りしていたなあと思い起こす。
親を反面教師として生きてきたつもりが、
いつの間にか、同じようなことをやっているのだ。

それにしても、毎度毎度、書き続けていて自分でもイヤになるが、
以前のように入力作業に時間をかけられないのが
終始、悩みの種である。
いっそ、データ入力の仕事を外部に発注しようかとも思うが、
打ち合わせの手間など考えると、気が進まない。
今日など、入力しようと思った本を揃えたのに、
あれこれしているうちに夜が更けゆく。
ああ、今日もまた新着本まで手がまわらない。
お待ちの方に申し訳ない。心穏やかに眠れるかどうか…。

昨夜は、村上春樹・訳「ロング・グッドバイ」を読みながら、
久々に咳き込まずに寝付くことができた。
私の咳き込みは、どうやら「咳喘息」というものらしいと予測がついた。
検索すると、症状がよく似ている。
なんとかなだめすかして、
無事、今日も一日を終えることができた。
一生かけてもさしたることはできないのだろうな、
果たして何ができるんだろうか…。
終わりのない問いかけを夜の闇に投げてみる。

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コメント(2)

昨夜は咳の発作もましだったようでよかったですね。
私も喘息の発作がきつかった時は、横になって寝ると余計呼吸困難な状態になるので、クッションを背中にあて、寄りかかるようにうとうとしながら朝を迎え、そのまま出勤した日々を思い出しました。

ぐっすり寝られる日々が続くといいですね。

大河ドラマの「黄金の日々」は私もかなりミーハー的な動機から見ていました(汗)。私は拓三さんが好きでした。

私のボランティア仲間の友人が、大阪の海遊館近くに川谷拓三さん行き付けのおすし屋さんがあり、お店の方から拓三さんのお話を聴かされていたそうです。みんなから「たくぼん」と親しみを込めて呼ばれていたようで、店主が会う機会を作るからと言われている間に亡くなられ残念がっていました。味のある俳優さんでしたね。

お父様は図書館でお仕事をされていらっしゃったのですね。親の影響って知らず知らず受けているのが不思議ですね。

海ねこさんのショップが本を売るだけではないことが、色んなことからよくわかります。

気持ちは伝わってくるものなのですね。膨大なデーターの入力作業大変な作業であると想像しておりましたが、お身体に気をつけて頑張って下さいね。

これからも楽しませて頂きますね。

akoakoさん、コメントをありがとうございます。
ご丁寧なコメント、一文一文、胸にしみます。
akoakoさんもお体を大切に、
良い日々をお過ごしください。
ブログ、楽しみに拝見しますね。

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