市場

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土曜、関西方面のお客様から
春の風物詩とのことで、
手作りのイカナゴの醤油煮をお送りいただいた。
この方にはお世話になりどおしである。
ご家庭で醤油で炒っておつくりになった光景を想像しながら、
毎食、少しずつ大事にいただいている。

同じ日の夕刻、先輩書店さんがご心配くださって、
花粉症の薬を絵本酒場「コクテイル」にお持ちいただいた。
ビールで流し込んだのはまずかったかも、と
あとから気づいたが、
薬そのものは本当によく効くので驚いている。
ありがたいことです。

おかげさまで鼻はずいぶん楽になったのだが、
春だからなのか、花粉症だからなのか。
今度は眠くてならない。
小川未明の「眠い町」に行ったかのようだ。
私の行く先々、
「眠い町」の少年が砂をまいて歩いているんじゃないだろうか。

久々に市場(中央市会)へ。
仕事や体調の都合で2度ほど休んだと思う。
顔なじみの人たちと会話するたび、
真っ赤な鼻の下を手で覆い隠して。
いつも以上に固有名詞を言い間違える自分に辟易する。
ぼーっとした意識を奮い立たせんと
しっかり本を見ていこうと思うのだが。

でも、だめだ。
なぜか頭がぼーっとしている。
春霞が頭の中に立ちこめているかのようだ。
春のためか、花粉症のためか、
ふわふわ浮雲の上をさまよっているよう。

それでも、ちょっとは買えた。
「小学館の絵本 カロリーヌのおうち」
(ピエール・プロブスト絵
飯沢匡・訳 1963年)の混ざった束、
「世界童話全集」
(昭和24年 河出書房 装丁・初山滋)6冊、
「世界童話大系」(大正14年)2冊を含む束など。
茂田井武も入札したが、
開封を待たずに引きあげてしまった。
欲しいんだけどな、きっと高いだろう。たぶん無理だろうな。

土曜に絵本酒場「コクテイル」で酔ってしまう前に
記憶に刻み込んだ
「もっと更新しないと」という沼辺信一さんの言葉、
「市場行ってないの?」という店主の言葉が
頭の中で鳴り響いていた。

昨日は、なかなかはかどらないので悶々としながらも
なんとか12冊新着本を更新した。
今日こそ市場に行こうと足を運んだ。
市場にうずたかく積まれた本の山から
何か探し出して、他店がいくら入札するか考えて、
それより高い値段をつけて買うためには、
かなりエネルギーがいる。
市場に行かなくても済むなら楽だし、
お金もかからないし、さぼり癖がついてしまいそう。
だめだめ、とにかく行くことに意義ありだ。
本を買い続けるためには、
自分で自分にモチベーションを与え続けていかないと。
花粉症を言い訳にして、足が遠のいている場合ではない。
束をかきわけて、何か混ざっていないかと探す
カンを鈍らせてはいけない。

自分を腐らせるのは自分なら、
自分を生かすのも自分。

それにしても眠いんである。

そうこうしているうちに、ショッキングな電話が飛び込み、
眠気が吹き飛ぶ。
もっと頑張らねば、と
見えないだれかに言われているようだ。

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