2007年10月アーカイブ

台風一過。朝イチで神保町へ。
「神田古本まつり」(11月1日まで)に
出所のよい絵本が出る(?)という噂に、えいやっと早起きして駆けつけました。
目当ての台がどこかわからず、ひぃー、10時になってしまう。走って捜します。
ああ、いたー(はあはあ)、Sさんー(はあはあ)。台はどこー(はあはあはあ)?
すると
「あ、ごめーん。今日持ってこられなかった。
思ったより場所が狭かったので」
ガーーン。買う気まんまんで駆けつけたのに。

でも、Sさんに教えてもらったとおり、ピンポイントでまわって、
古い児童書を15冊、古い洋書絵本2冊を購入。
自分の読書用に新刊絵本を半額で1冊、文庫を5冊。

お日様が高くなるにつれ、大変な人出になり、にぎわっていました。
和田さんも、飯島さんも、みわさんも、澤口さんも、
みんなみんな忙しそうでした。
金曜土曜と、雨でダメだったからね。
苦心して準備した本たちが活きますようにと祈る気持ちだったことでしょう。

小学館前やすずらん通りには出版社のブースが出され、
若干イタミありの新刊絵本が半額とか、出版社によっては200円とか。
晶文社の単行本も半額とか。

神保町はどんなに混雑していても、裏通りに入ると人が少なくて
ほっとします。
神保町内で移転してからのAMULET(アミュレット)に初めて立ち寄る。

AMULETの石坂さんに
苦心して改装しながら店づくりを進めているさまを聞き、
ほぉーーと思う。

2階では「ハンガリー絵本原画展ーーレイク・カーロイ展」を
11月4日まで開催中です。

主催は、オンライン古書店「パビリオンブックス」。

レイク・カーロイ以外にも、ハンガリーの古書を販売していて、
多彩な感じが、とても面白かった。
我を忘れ、絵本に没頭してしまう。あとで、店番していたのが
パビリオンブックスの大西夫妻とわかって、顔から火が出そうな思い。
ご夫妻様、もしもお読みになっていらしたら本当に失礼しましたー。

購入した絵本は1950年代のものですが、
動物や森の精と会話する少年が描かれ、
ハンガリーの人々の心の中がほんわか伝わってくるような絵柄。
素朴だけれども、よく見ると繊細な部分もあり、芸術性に優れている気がする。

石坂さんに大西夫妻を紹介してもらった。
穏やかで、日々の生活を大切にしていそうなお二人。
自分たちで手作りされているという店舗もきっと素敵になっていくのだろうな。
奈良の人ばかりでなく、今後の展開を楽しみにしている人は多いと思います。

昼をまわり、さらに混雑していく神保町をあとにして、
さっと帰ってきました。発送・受注などお待たせしているので。
さて、やるぞー。と思ったら、プリンターの故障。うぬー、頭が痛い。

蒸し暑さと格闘しながら、なんとか荷造りを進めています。

新着本になかなかかかれない。暇すぎるのも困りものですが、ちょっともどかしい。

「忙しそうですが、大丈夫ですか」など、
ときどき心配のお言葉をいただき、お心づかい、誠にありがとうございます。

けど、よくよく考えてみたところ、
眠りすぎているぐらい眠っているし、
25日・26日と登山にも行ってきたし、
あらあら、ただ単に自分で自分の仕事時間を減らしているだけではないかと。

しかし、1泊2日で山に登って下山し“現世”に戻ってきたところ、
メールはものすごい量たまっておりまして(大半はスパムメールみたいなゴミメール)、
発送や受注作業もたまっておりまして。
メールの受信箱には対応すべきメールもありまして。
お問い合わせの数々に対応したり、
中には、過去にいただいたまま対応しきれていないメールもあるため、
順に答えたりしていますと、あっという間に時間がなくなっていきます。

本が届いた方からご丁寧なメールが届きますと、
ありがたい気持ちいっぱいで拝読しております。
いつもは一通一通、できるだけ「定型文」でなく、
「自分の言葉」でお礼の返信をさせていただくのですが、
なんだかもう、未処理の発送やら受注やらたまっていく一方で、
なんとまあ、要領の悪い自分やら、と自分で自分にあきれ果てますが。
本が届いたご報告をいただいたとき、ときには
短い一言二言で返信させていただくことがあってもいいのかな、
だけれど、やはりもうちょっと何か書いたほうがいいのかな、など迷っているうちに、
返信が滞ってしまい、どうしようーと右往左往しております。

ところで、「百年」さんのブログで知ったのですが、
金曜の市場(明治古典会)にはなんとまあ、
コドモノクニがまとまって出品されたそうで。
きゃああー、なんとしても欲しかった、
いやきっと、行っていたとしても無論、買えなかったと思いますが、
せめて、実物を手にとってみたかった、目にしてみたかったと悔やまれます。

しかし、同じ日の市場には、月の輪さんもいなかったはず(いたら偽者。そりゃ逆に怖い)。

そうなんです、25日・26日と山に登っておりました。

古書組合 南部支部の「徒歩徒歩会」(とぼとぼ会)にお誘いいただき、
那須の山々の頂にいくつか到達しつつ、
三斗小屋温泉というところまで歩きました。
クマが出るというほどの秘境であり、
旅館(煙草屋旅館)に水道と電気はなく、湧き水に自家発電。夕飯は4時半、消灯9時です。
翌朝は朝食6時半ですが、皆さんの声で5時半ごろには起きていました。
ちなみに、露天風呂があるのですが、混浴!(でも、女性の時間もあり、
照井さんと私はそこで入浴しました。さすがに、ヘッドランプつけて勇んで
入りにいった男性陣に参加するのは遠慮しました)

とぼとぼ会という名前から緩やかなピクニックかと勝手に想像していましたところ、
まったく違いました。
70代3名、60代1名、50代1名を含む8名。
これがもう、大変な健脚揃い。
ガレキの山でも、絶壁であっても、まるで平坦な道を歩くかの如く
どんどんどんどん先に進んでいってしまうツワモノ揃いです。
中には心臓病の薬を飲みながら、
ひとりででもひょいっと山に行ってしまう人がいるほど、山好きばかり。
初心者は照井さん、月の輪さん、私の3人とのことでしたが、
照井さんは知る人ぞ知る、世界を股にかける行動派。
月の輪さんは「歩きを見たら、子供のころ、山歩きをしていたんだなとすぐわかった」と褒められていました。
つまり、実質的に「初心者」は私ひとりでした。

初日は青空。紅葉のピークは過ぎたとのことでしたが、
まだまだ那須の山々を染めつくす、錦のような色合い。
岩肌と紅葉タペストリーの対比がダイナミックで息を飲むほど。

二日目はあいにくの雨。
カッパに叩きつけてくる暴風雨。
荒々しい風が吹き付けてきて、足を踏み外せば奈落の底に転げ落ちていくようなところも多く、
初心者を怯えさせます。眼鏡を拭けども拭けども曇って何も見え-ん。
「滑落注意」と書いてありますが、ちょっと目をずらせば霧の向こうは谷底。
いったい何をどう注意すればいいんじゃ。

しかしまあ、これまで恐れ多くてお近づきになれずにいた
大先輩たちと山を歩かせていただき、
疲れのあと待っていたのは、この上ない美酒。
飲み慣れたビールであっても、共に歩き続けた仲間らと呑むと
あんなに旨いのか。
「とぼとぼ会」というよりは「どばどば会」と言いたくなるほど、実によく呑みます。
よく歩き、よく呑み、よく食べ、よく喋る方々。
呑めばまるで青年のように表情が輝いて、
ああ、なんて素敵な年の重ね方なんだろう。
古書店と山歩きを重ねていくと、こんなふうに年をとることができるのか?
私もあやかりたくなりました。

「商売のことは×××さんに聞くといいよ」
と、月の輪さんに言われましたが、
その×××さん、私はこれまであまりにも偉い人に思えて、
しかも、仕事には厳しい人というイメージ。コワくて口を聞くこともできなかったのです。
その×××さんが、山歩き途中、
トイレに行きたくて困っている私に
「ほら、あそこの茂みの陰に行けば大丈夫」と教えてくれました。
いざ、皆から離れた茂みに行っても、本当にこんなところで大丈夫かとモタモタしていたら、
「こうしてこうして」と笹を掻き分け掻き分け、窪みへ分け入って
「ほら、こうやってしゃがめば見えないでしょ」と自らしゃがんでみせてくださり、納得させてくれました。優しいー!
ちなみに、富士山のように山小屋があるわけではないので、登山途中のどこにもトイレはないのですね。

文武両道を絵に描いたような大先輩たち、
そして、躍動感あふれる素敵な若者たちと山を歩くことができ、
酒宴を共にし、ぶっちゃけ話の数々、、、。興奮さめやらず、の二日間でした。

日常に戻った夜、山歩きの本を読みたくて串田孫一を紐解いてはみたものの、
生身の人たちの顔が脳裏に焼きついていて、
さまざまな思い出が鮮烈すぎて、本に没頭できず。

最後に、半分プライベートなので参加者のフルネームをあげるのは遠慮させていただき、
苗字だけ書いておきます。

笹間さん、石岡さん、石黒さん、遠藤さん、高橋さん、相川さん、照井さん、
ありがとうございました。

南部の人間でもない私を仲間に混ぜていただき、感謝あるのみです。

写真が出来上がったら見るのが楽しみです。でも、ちょっと怖い。

次は春。参加できれば、またよろしくお願いします。
女性募集、だそうですよ、皆様。

仕事がたまって、お客様にご迷惑をおかけしたかと思いますが、
挽回していきますので、どうかどうかお許しください。
今回の体験はムダにしません、ムダにできません。

戦後から60年代70年代の絵本、買取強化中です。

たとえば、

「ワイドカラー 世界の名作童話」(講談社・昭和43年・全18冊まとめての買取歓迎。バラも可です)。

 

この全集は、チープな外見に惑わされてはいけない。

中のイラストが大変すばらしい。

外見より中身、という点では、どこかの誰ぞと同じですね。

上は、桜井誠「こうのとりになった王さま」(16巻)より

下は、鈴木義治「しあわせな王子」(16巻)より

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昨夜、仕事に疲れて、目の前にあった目録用の本を手にしたら、
ついつい読みふけってしまいました。
ご注文いただいたため、お客様にまもなく送る予定の本です。

著者(すでにこの世にはいらっしゃいません)の献呈署名入り。
初版なのですが、本文のあちらこちらに、
鉛筆やペンで、誤字脱字、行がえなど、校正を入れたあとがあります。

署名の文字と比べても、これって、
著者が入れた直筆文字じゃないかなあ、と思うのですが。

実は、当方、その昔、さまざまな人のお力を借りて出したささやかな著書があるのですが、
初版、改訂版、文庫と本が仕上がってきたとき、
そのたび、読み直して気になった部分に直しを書き込んだ覚えがあるので、
それと同じなんじゃないかなあと。大作家と当方を一緒に考えたら申し訳ないのですが。

作家が自分用の本のつもりで文字の直しを入れ、
うっかり贈呈本に使って署名してしまったんじゃないかなと。
推測ではありますが。

実際そうだとしたら、研究者ユース、よね。
金曜の市場で買ったので、仕入値も安くないし、
あらま、また値つけを間違ったかなあとも思う。
手放すのがちょっとさびしくもあるんですが。
でもまあ、私が抱え持っていても仕方ないし、古書は天下の回り物。
心をこめて梱包し、お客様のもとへ送り出すことにします。

ところで。

satouyasushi.jpg

「佐藤泰志 作品集」入荷しました。
本代のほか、送料実費(+振り込み代の手数料)をいただきますが、
在庫さえあれば、できるだけ早くお送りします。宅配の代金引換、可。
在庫が切れたときは取り寄せになりますので、数日お待ちいただく場合があります。

tomobash@parkcity.ne.jp

葉書でのご注文も承ります。あて先は「古本 海ねこ」トップページの最下部にあります。

この本は、電車での携帯本には向いていません。
老眼の人には、多少つらいかもしれません。
なぜかというと、本文は上下二段組になっていて、
686ページと、ひじょうに分厚い本だからです。
定価3300円と聞くとかなり高いイメージですが、
高いから買わない、と決め付けてしまうのは勿体ないです。

なにしろ、これまで、主な作品を古書を集めようとしても、
そうは見つけられないし、あったとしても値段が・・・だったのが、
この1冊で主だった名作をすべて読むことができます。
さらには、単行本未収録の代表作と、
詩・エッセイ、年譜と著作目録が収録されています。

「佐藤泰志作品集に寄せて」という小冊子がついていて、
執筆者のひとりは岡崎武志さん。
岡崎さんもブログに書いていましたが、ネットでずいぶん前から話題になっていた佐藤泰志です。

私自身、ネットで買おうとしたけれど扱っているところを見つけられず、
新刊書店でもあまりないらしいので。
だったら、1冊は自分用に購入したいし、いっそ同じ気持ちの人のためにネットで販売しようと思ったのです。
幸い、版元のクレインが吉祥寺にあるため、当方宅から遠くないのも何かのご縁かなと。
クレインは、文弘樹さんがひとりで立ち上げている出版社。
ひそかに応援したい気持ちもあります。

詳しくは、クレインのHPをご覧ください。


 

今週の木曜・金曜は、南部古書組合「とぼとぼ会」(徒歩徒歩会)主催、
那須の登山です。
そのため、まことに勝手ながら
木曜・金曜は発送、受注を休ませていただきます。


「酔いどれ」というほどは呑んでません、まだ今のところ。

「お話をしたいので、電話をください」
と、某局の人からメールをいただく。

電話で「まだ企画段階なんですが」
と、いくつか質問されて、答える。
まだ、そちらの正体も、趣旨もよく聞いてないんですけど、
と言いたかったけれども、言葉にならない。

「古本」を「ふるぼん」「ふるぼん」と言っていた。

「企画が通ったら、取材を受けていただけますか」
断るのが苦手なのを知ってか知らずか、
言葉を濁していたら、また同じことを聞かれる。

取材対象を探す苦心は身にしみているので、
できるだけ協力したいと思うけれども・・・。

だけど、紙媒体はともかく、テレビは苦手だな。
テレビの人にはお世話になっているし、
友人がテレビ制作の仕事をしているけれども。

そういえば、取材を受けたいといっていた店があったことを思い出した。
紹介して、私は遠慮させてもらおうか、生意気だろうか。

いくつか取材するうちのひとつに過ぎないようだし、
別に当方である必要などないし。
企画が没になって悩まなくて済みますように、
と祈るのも、ちょっとひどい気がするし。

企画が通ったら取材を受けるかお断りするか悩むぐらいなら、
むしろ、自分の店にとって、今やるべきことをやるべきだと思ってきた。

その人がもしも、これを読んでいても読んでいなくても別にいいのです。

「本の散歩展」の目録に関する作業をしております。
お待たせしている方、もう少々お時間をくださいませ。

発送作業もしております。
「かがくのとも」は、大人になってから見てみると、
科学の神秘に触れられて興味深いです。

ただいま梱包中の1冊もそんなもの。
どのように球根を蓄えて、どのように命のバトンタッチをしていくのか。
生命の不思議、輪廻。

ひがんばなが山の斜面を埋め尽くしている絵柄もあります。

「ひがんばな」には、たいへん多くの名称があります。
ご存知ですか?

まんじゅしゃげ
きつねのかんざし はなぢょうちん
ちんちんどうろう おみこしさん
あかおに おにゆり おにかぶと
かじばな ひぐるま はなびばな
うちへもってくるとかじになる

たんぼばな
きつねのたいまつ のだいまつ
くびかざりぐさ ねこぐるま
ふでばな じゅずばな いかりばな
どくばな へびばな いちじばな
おばけ かったろ みちまよい
じゅごや かみなり あめふらし
ひいひりこっこ したまがり
たこいも ちからこ しろぐわい
きつねのかみそり したぬぐい
はみずはなみず はなしぐさ
いっぽんかっぽん ちからぽん・・・・・・
(かがくのとも 102号 ひがんばな より 甲斐伸枝・作)

「ひがんばなは もえあがるような うつくしさ
ちからづよさで、むかしから おおくの ひとびとの
こころを ひきつけてきました。
そして、おとなも こどもも この しょくぶつに
たくさんの なまえを つけました」

という文章が添えられています。

瞬く間にひがんばなの季節も過ぎて、深まりゆく秋。
次のひがんばなの季節、どこでどうしているのだろうか。

旅先でお世話になって、とても可愛がってくれていた、
私のもうひとりの「お母さん」。
入院中、
「正月、どこにいるやら。故郷か、島か、それとも・・・」と夢見るような目をしていました。
正月がめぐってきたとき、この世の人でなくなるとは夢想だにせず、だったことでしょう。

古書展の疲れが出てきて、
泥沼にひきずりこまれそうな眠さ。
月何度も古書展をやっている店が信じられない。

「朦朧」という文字には、へえ、「月」が2つあるんだ、
と、文字を目でなぞってみる。

ええええ、まだまだ、働きます。

目録の連絡をあと4件(1件は何十冊の状態確認が必要)、電話での打ち合わせが1件。
ビールが切れてたんだった。顔見知りの酒店にいく元気もない。やむなし、
近くのコンビニで間に合わせるか。

「毎晩飲んでない? ブログ見ると」と、また月の輪さんに言われちゃいそうだな。

友人宅にサーバーをお願いしてきた関係上、
デザインが突然、こうなりました。
徐々に整えていきますが、しばらくは流動的です。
驚かれた方、失礼しました。私もまだ勝手がわかりません。

「本の散歩展」無事、終了しました。

体力がなく、たまにしか催事に参加しないため
諸般の要領をつかめない自分にとって
いちばんの試練は搬出(と、本の集め方・値段のつけかた--、ありゃ全部だ)。
短い時間に、せーので本をまとめて片付けなければいけない。
これまで助けてもらっていた連れは
仕事のため、どうしても来られず。
公文堂(娘)さんとポラン書房・クロサワくんに
助けてもらって、どうにかこうにか、でした。
公文堂さんは、本がすばらしいばかりでなく、
きちんと大きさ別に本を揃えて、ぱしぱしっとヒモで束ねていく手つきまで素敵でした。
クロサワくんが、難なく本を束ねていく手速さ・・・。
遅いうえに指の爪が割れかけて痛い、足の爪も痛い、
背筋が疲れた、と阿呆みたいにホザいている私は何者? 
しかし、疲れているのは、無論、私だけではないわけで。

「終わったねー」「はあ、疲れたあー」と女性店主らと言い合いながら
ようやく売り上げ金を受け取り、会の報告・反省会を終え、
待ってました、の打ち上げ。
居酒屋で生ビールを一口飲んだときの旨さ!
声にならない声があちらこちらから上がります。
皆で、声にならない声をあげあう楽しさ。
楽して、あの喜びは味わえないと思う。
ひとりでやっていても体感できないでしょう。

催事に対する苦手意識は、今回もまた変わりません。
店の主力商品をそのまま持っていけるわけでなく、
催事のためだけに良い本をそろえる余裕もないため、
本当に苦手だ。
短距離より、マイペースでゆるやかにやっていきたい私には、
おそらく向いていないと思う。

しかしながら、今回、目録掲載品を受け取りにこられた方と
お話をすることができたのは、海ねこにとって大変勉強になりました。
コレクターがいかに希少本を捜すことに苦心し、熱意を燃やしているか、
なんとか手の届く値段で買うことに心を砕いているか、
状態について、どれほどこだわっているか、
どのような作家の、どのような本に思い入れているか、
どのような店の、どのような点を愛しているのか・・・。
何言か言葉を交わしたのみの方からも、
1時間2時間お話しさせていただいた方からも、
大変多くのものが伝わってきました。
日ごろ、メールでたくさんやりとりさせていただき、
お客様から学ばせていただくことは大変多いのですが、
生身の方から生の言葉で伝わってくる重みはまた、大きなものでした。

学校で学ぶ生徒のような気持ちでした。

それから、長年、努力を重ねて絵本や児童文学本、全集など
蒐集し続けていらっしゃる方から買取のご相談をいただきました。
「ホームページも見ているし、ブログも読んでます」
と、おっしゃっていただき、
どこに売ろうか真剣にお考え続け、
どの店に託そうか様子を観察なさっていらしたのだろうと、身が引き締まる思いでした。
目録にどんな本を掲載しているか、きちんとご覧なのだと認識しました。
いろいろ会話させていただくうちに、
「いつまでも生きていられるわけでもないのだし・・・。
いちばん嫌なのは、集めてきた本が無駄になることなんだよ」
と、ぽつり、つぶやかれた。
人気の全集があるのですが、
それは1冊1冊、あちらこちらの催事に通ったりして、
長年かけて、こつこつ集め続けられたものとのこと。
「えええー、、、凄いですねーーー」と新人くさく青臭く感心していたら、
「ここに来ているのは、皆そういう連中だよ」
と、当たり前のこととして、おっしゃった。
そういえば、催事に来るとき、「1,3,6,9,11,12」などと
数字をメモしたものをお持ちになる方をしばしば見かけます。
何より、ご自分の足で通い、ご自身の体験を重ね続けることによって
コンプリートを目指そうとされているのですね。

市場に売っていても、市場ではほとんど買わず、
それでいて、いつ行っても何かしら良い本が見つかる店があります。
どんどん売れているのに、なぜ、いつも良い本、珍しい本があるかというと、
信頼関係を重ね続けたお客様との関係あってこそ、なのですよね。
市場に行かず、良い本を揃え続けることは目下、当方には不可能です。
しかしながら、市場に通い続けても、なかなか集められないものを得ていくためには、
蒐集家からのお申し出なしには、おそらくやっていかれないと思う。
なんとかして、いつか、そういう店に近づいていけたらというのが夢です。

扱いジャンルにもよりますが、長年やっていこうと思うならば、
贔屓にしてくださるお客様と信頼関係を結んでいく以外に
道がないことも痛感しました。
日々の積み重ねによってしか、物事は成し遂げられないことも。

お客様と直接お話ができたこと、他店のやりかたを間近に見られたこと・・・
ベテラン店から、中堅の店から、そして、新人の店から学ぶことが多いこと。

催事に対する苦手意識は払拭できないものの、
得たものが多すぎて目がくらむほどです。
それをこの先、どのように生かしていくか、海ねこの課題です。
たぶん、お客様と話している姿を見て、だと思うのだけれど、
「海ねこは、催事、向いてると思うよ」
と、とある店から言われたのには心底驚きました。
でも、どう考えても、イベントに多く参加していく余裕は
今のところ、ないと思う。
海ねこのホームグラウンドは、あくまでもホームページです。
これから、少しずつホームグラウンドに戻っていきます。
でまた、いつか催事に参加して学び、
催事で学んだことを海ねこに生かしていきたいです。
自分のなかでの循環こそ、生命線かな。
また、コレクターの方には、ご不要になった本は
どなたかのために、いつかどこかで上手に循環させていただきたく。
で、また、お好きな古書をお求めになり、書棚のあいた部分に納めていただきたいと。

万物流転ーー、ですね。

では、搬出、もろもろのため、五反田に出かけてきます。
洗濯、掃除をして、これを書いたら、遅くなってしまった。

追伸 会場のそばにいるねこに、催事の合間、なごんだ海ねこでした。
右目が黄色、左目が青。真っ白い親子3匹が住み着いている場所がありまして、
知っている人しか知らないと思うけれども、これ以上はナイショです

 

朝5時半起きであります。
眠たい。昨日の搬入の結果、背筋がくったり。
ニラとワカメの味噌汁を補給。

雨になりそうですが、古書の神様は貴方に微笑みますかどうか!
風船舎さんは初参加。股旅さんも揚羽さんも、
そして、なないろさん、月の輪さん、公文堂らベテラン勢も、
いい本そろえてますよ。
お目にかかれるのを楽しみにしております。
休憩のときを除き、会場のどこかにおります。
お気軽にお声をおかけくださいませ。

一昨晩の日記、文字どおり「酔いどれ」で書いてしまったため、
恥ずかしくなり削除しました。
「港や書店」古書目録 35号が完成した記事まで削除しましたが、
私のことはともかく、港やさんの古書目録はぜひご閲覧いただきたく。
建築からファッションまで、よくぞ探したと思う逸品揃い。
市場で熱心に選書している港やさんが目に浮かぶ。
よくある抽選ではなく、先着順です。
早いもの勝ちです。

当方のことも書きますが、
「佐藤泰志作品集」(クレイン)入荷しました。
これまで簡単には手にとることができなかった作品が
1冊にぎっちり。
ゆっくりカフェで読みたい。
温泉にこもって読みたい。
今日、3冊持っていきます。満員電車にメゲないよ。朝の京王線、恐怖。
(後日、ネットで販売していきます。ご注文はメールでお願いします)
ではまた会場で!
当方にとりましては年二度の古書展、頑張ってきます。
目録本の発送、ネットのほうの発送&新着本など、
どうかお待ちくださいませ。

村上春樹新刊「走ることについて 語るときに 僕の語ること」読了。
読み終わるのが惜しくて、毎晩寝る前の楽しみとして、
少しずつ大事に読んだ。
読み終わってしまった淋しさ。

自分自身のことをきちんと書くため、
自身をさらけ出しすぎず、さらけなさすぎず、
他の仕事の合間に少しずつ書いては
推敲に推敲を重ね続けたらしい。
10年かけて書いたそうだ。
ときたま自身のHPを立ち上げる彼だが、
「走ることを書いた本はもうすぐ出ますか」と連れが質問を書き込んだら、
「来年には出せると思います」といった返信をもらったと記憶している。
あれから何年たったのだろうか。

彼自身の弱い部分も、強い部分も、
きちんと描かれていた。
誠実な文章だったし、同時代に生きるものとして
前を走っていく先輩についていくような思いで読んだ。
平易な言葉を折り重ねて
腑に落ちる文章を書ける人は、そうはいない。
ほかの人に真似できそうで、なかなかできないように思う。
好きな文章のところに付箋を貼っていたら、本が付箋だらけになった。

終わりが好きだった。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のエンディング・シーンと
同じぐらい私の好み。
自分の墓銘碑なんてものがあるとしたら、という文章の最終行にかかったとき、
わけがわからないぐらい涙腺がゆるんで視界がにじんだ。

それにしても、
かつて村上春樹が好きだと言うのが恥ずかしいというか、
ためらわれる時期があったと思う。
吉行淳之介も似ているかな。
あれは何だったのだろうね。

買取して永らく当店でお預かりしていたセットものに
ご注文をいただく。
アクリルの密閉ケースにしまって、その中に乾燥剤を入れて、
乾燥剤が切れないよう、しばしば確かめては補充してきた。

買取したとき、四半世紀前のものとは思えない
状態のよさに心底、驚いたものだ。
まったくしまいこんでいたわけではなく、
それはご丁寧にお楽しみになっていたのだった。
何度かやりとりをしているうちに、
人柄・ご家庭の様子まで伝わってきて、大事に売っていこうと思った。
新居の写真をメールに添付していただいたが、
美術書から飛び出したような邸宅・インテリアだった。

そのときの思い出とともに、本を引っ張り出す。
先ほどまで倉庫でヨレヨレしながら古書を束ねていたので、
宝石のように美しい絵本たちに触れられて眼福。
気がかりだった保存状態にはまったく問題なし。
ああ、よかった。シミもヤケもなく、
痛みもまったく増えないまま、きちんと保管できていた。
同じものを保管している大学図書館がわかっているが、
おそらく負けないぐらい、またとない美品だと思う。

新たな持ち主の方のもとへ無事に送り出せると思うと、
肩を撫で下ろすような心持ち。
古書店とは、本を守るため、これほど気を遣う仕事なのかと、
日々、痛感するばかり。
最近は、美術展などみにいっても、
作品保護のため温度や湿度、光などどのようにしているか、
変なところばかり気になってしまう。

それにしても、80年代、バブルバブルと言われながらも、
これほど手間隙とお金をかけて
出版物をつくれる時代があったとは。
時代の残り香が匂いたった。

うぬー。
「本の散歩展」の準備がまだまだだっちゅうーに。
受注・発送をお待たせしてるっちゅうーに。
「佐藤泰志作品集」を販売しますよー。
たぶんネットでも、そして間に合えば「本の散歩展」会場でも!
その本を吉祥寺に受け取りにいきたいよー。
(万一「本の散歩展」に間に合わなくても、そののち
ネットで販売します。ご希望の方、お声をおかけくださいね)

なのに、なぜに明日?
14時から17時まで「古物商等警察署別法令練習会」があるそう。
つまり、古物商向けの講習なんですが、
前に行かなかったら年末に刑事さんが来ました。
なにしろ、ドアに体はさんで
「講習会、出ませんでしたね」
と囁かれたからなあ。
前の前だかは、どうしても都合がつかなくて連絡したら、
別地区の講習会に割り振ってくれたのですが、
すごーく大儀そうにされたからなあ。
行きますよ、行きますよ、行けばいいんでしょー(ヤケクソ)。

昨日、アンダーグラウンドブックカフェ、
和田誠さんと土井章史さんのトークショーに行ってきました。

和田さんが昔、おつくりになったちょっとしたものを持参したところ
「なんで、これ持ってるのー?」
と、ご本人に驚いていただきました。
お書きになった当時のことは鮮明に覚えていらっしゃるようで、
思い出を語りながら
英文字でサラサラっとサインを入れていただきましたよ。
(でも、連れがもらった縦書き漢字サインが
かなり羨ましかった。連れがブログに様子を書いてます)
ちなみに、同じものは
ご本人宅にもきちんと保管されているそうです。
和田さんの自費出版時代の絵本、欲しいです。

村上春樹新刊「走ることについて 語るときに 僕の語ること」
を読み進めて、すっかり夜更かし。
あれこれしようと思っていたのに、
お客様と親に手紙を書いていたら、もうこんな時間。
今から出かけてきます。
本日よりスタートですよ↓

本の散歩展(7月19日・20日 五反田・南部古書会館)に持っていく本。
まだまだ準備中のため、ごく一部ですが・・・。

《古書で巡る パリ&フランス周遊》

■巴里滞在記 小宮豊隆 岩波書店 昭和9年

■フランス通信 瀧沢敬一 岩波書店 昭和12年の4刷 昭和15年の7刷

■フランス印象記 桑原武夫 弘文堂書房 昭和16年

■仏蘭西紀行集 戦争まで 中村光夫 実業之日本社 昭和17年

■第四フランス通信 瀧沢敬一 岩波書店 昭和17年・2刷 扉に一文字書き込み 600円

■巴里の芸術家たち シズリ・ハドルストン 益田道三・訳 昭和18年(装丁・吉原治良)

■ふらんす手帖 河盛好蔵 生活社 昭和18年 印(装丁・佐野繁次郎)

■フランス放浪記 松尾邦之助 鱒書房 昭和22年
(初めて見たフジタさん 夢想庵との思ひ出 辻潤との思い出 修善寺物語ーパリ上演の楽屋裏記ー)

■仏蘭西印象記 吉江 喬松 白水社 昭和22年 小口イタミ

■四等船客 フランス・スペインを歩く ーヨーロッパから敗戦日本へー
 伊藤昇 月曜書房 昭和22年 
(付録 欧州文学はどこに行くーフランス文壇を中心としてー 欧米ジャーナリズムの現状)

■復活祭のころ 恒藤恭 朝日新聞社 昭和23年
(著者スケッチ6葉)

■フランス歳時記 河盛好蔵 大日本雄弁会講談社 昭和23年 購入日書き込み 2200円

■あの巴里この巴里  柳亮 沙羅書房 昭和24年(装丁・海老原喜之助)カバ欠・僅線引き

■第六フランス通信 瀧沢敬一 岩波書店 昭和24年・初版

■第七フランス通信 瀧澤敬一 岩波書店 昭和24年

■第八フランス通信 瀧沢敬一 岩波書店 昭和25年・初版

■凱旋門廣場 外交畑三十年の思ひ出 澤田廉三 角川書店 昭和25年 購入日記入あり

■パリーその二千年史ー N.ヌゥエット 小林正/鈴木力衛・共訳
 東大協組出版部 1950年 カバイタミ 序文に僅線引きあり 700円

■新しいパリ新しいフランス 桶谷繁雄 文藝春秋新社 昭和27年

■シャンパンの微酔 瀧澤敬一 岩波書店 1954年

■巴里風物誌 渡辺紳一郎 装丁・佐野繁次郎(佐野のスケッチ60点)東峰書房 昭和30年・初版

■パリのアバタ 九重敏子 学風書院 昭和30年(猪熊弦一郎)

■パリよ・こんにちわ 芹澤光治良 東方社 昭和31年

■巴里 パリでひろった話の花束 
 朝吹登水子、石井好子、遠藤周作、大岡昇平、金子光晴、寿美花代、
 高峰秀子、田中千代、東郷青児、中原淳一、黛敏郎、森田たま ほか)
 ひまわり社 昭和31年・再版

■パリの空の下 芦野宏 大日本雄弁会講談社 昭和32年
 巻末に芦野宏シャンソン愛唱集 カバヤブレ 3000円

■ヴェルサイユ春秋  村松嘉津 創元社 昭和32年

■パリ留学生 芹沢光治良 昭和33年 購入日書き込み

■パリの裏街 石井好子・清川泰次 共著 限定700部 美術出版社 1958年 蔵書印
函の背コワレ 本体は経年を考えると良好
 イラスト・写真満載のビジュアルブック 3000円
 
■人間巴里 林三郎 文芸春秋新社 昭和33年(装丁・風間完)

■流れのほとりにて パリの書簡 森有正 弘文堂 昭和34年

■パリの銭湯 小澤栄太郎 法政大学出版局 昭和34年

■女の都・パリ 芹澤光治良 新創社 昭和34年

■フランスだより その他 日本の百人全集 杉捷夫 東京学風書院 昭和34年 印

■巴里物語 松尾邦之助 論争社 昭和35年 初版1刷
(オーベルランとの奇縁 辻潤と飲む DADAとその仲間
ロマン・ローランからの手紙 アンドレ・ジイドとの奇縁 平林初之輔とナゾの女性
下駄ばきの林芙美子 パリの島崎藤村、横光利一、高浜虚子 写真あり)

■パリ繁盛記 中村光夫 講談社 昭和36年

■愛と死はパリの果てに 野見山暁治 講談社 昭和36年

■パリの街角  寺中作雄 毎日新聞社 昭和36年

■若い目のパリ 片柳幹 オリオン社 昭和36年 カバヤブレ 蔵書印

■巴里の郷愁 大山廣光 新樹社 昭和37年 (序 井伏鱒二)

■パリの穴 東京の穴 美川徳之助 昭和38年

■感覚的パリ案内 柳井乃武夫 日本経済新聞社 昭和39年

■荷風パリ地図 日本人の記録 小山勝治 毎日新聞社 昭和39年

■ボンソワール パリ 片柳幹 オリオン社 昭和40年

■パリのオートクチュール 私のサンローラン留学記 石倉栄子 講談社 昭和40年

■パリ特別許可留学 大谷文男 文藝春秋新社 昭和40年

■ヨーロッパの青春 私のフランス留学記 加藤恭子 中央公論社 昭和41年

■パリ留学時代 芸術家の青春遍歴 三宅正太郎 野口弥太郎(装丁・カバイラスト) 雪華社 昭和41年

■マロニエの葉 村上菊一郎  現文社 昭和42年・初版 
(表紙・小沼丹へのパリみやげ=リュックサンブール公園のマロニエの葉
 井伏鱒二による著者像 井伏さんのこと 渡仏前の永井荷風 森鴎外とフランス文学)

■巴里の門 芝木好子 新潮社 67年 蔵書印

■ふらんすノート 鉄道と文学 檀上文雄 至誠堂 昭和43年

■森村桂 パリへ行く 森村桂 講談社 昭和47年(72年)

■パリ随想 ら・みぜーる・ど・りゅっくす 湯浅年子 みすず書房 73年

■フランスから 高田博厚 朝日新聞社 73年

■パリふたたび 平岡篤頼 われらがフランス体験(辻邦生・平岡篤頼)小沢書店 昭和48年・再 800円

■モンマルトル日記 1968-1969 辻邦生 集英社 74年

■パリだより 森有正 筑摩書房 74年(装丁 栃折久美子)

■パリの静かな時 大久保喬樹 北洋社 74年 蔵書印
(これは、まことに稀有なパリ留学の黒くである。
・・・(中略)ヨーロッパとの出会いの書であると同時に、戦後世代による日本発見の書でもある。
江藤淳 帯より)

■ねむれ巴里 金子光晴 中央公論社 函・帯 美品ながら蔵書印あり 800円

■セーヌ河岸で 犬養美智子 パリ便り 中央公論社 昭和50年(75年)

■パリの陽だまりから 竹谷富士雄 昭和53年 装丁・挿画 竹谷冨士男 蔵書印 650円

■パリの石畳 和田俊 朝日イブニングニュース社 昭和54年

■巴里好日 河盛好蔵 文化出版局 昭和54年

■パリからの公開書簡  頓宮隆輔 英知出版 昭和55年 蔵書印

■サムライ・ド・パリ 永岡慶之助 廣済堂 80年

■パリの小さな窓から 宮本エイ子 三修社 82年

■二つの愛 ムネ・サトミのパリ 松本伸夫 京都書院 平成3年
(1920年代パリに渡り、国際的グラフィック・デザイナー
「ムネ・サトミ」として名声を得た里見宗次)

■わがままフランス、やっぱりフランス 横山研二 集英社 96年

市場に出品だけのつもりで行ったのだが、
やはり見ると買わずにいられず。懐具合も省みず。
戦前のキンダーブック、戦後すぐの絵本などゲットしました。
キンダーブックは印刷博物館で「キンダーブック展」を見て、よさを再認識。
戦後すぐの絵本は紙質がよくないが、それも含めて大変味わい深いし、
紙もインクも貴重な時期ゆえ出版部数が限られ希少。
早くきちんと更新してご紹介したいです。
そういえば、買取で譲ってもらった絵雑誌、
こどものとも初期のものなど更新が滞ったまま。
買取の査定もお待たせしております。
本の散歩展の準備もまだまだぜんぜん。時間が欲しい。

市場の合間に彷徨舎へ。
完成したばかりの「本の散歩展」目録を10部受け取る。
画像を入れたほうがよかったかなとちょっと悔やむ。
「説明があったほうが海ねこらしい」と同業者に指摘され、
うーむ、ときには書名だけで勝負してみたかったのだけれども、そのとおりかもと。
アンダーグラウンドブックカフェの目録ももらったが、
他店の掲載品を見ると、集書に励む同業者の姿が目に浮かび、
自分ももっと励むべしと思う。

終了後、PURE BOOKS展へ。
モダンクラシックご夫妻、プレシャスブックスさんと初対面。
皆さん頑張ってます。刺激を受ける。

さらに同業者らとの宴。
出来立ての岡崎武志さんの文庫を、
店で居合わせた魚雷さん、す・さんに見せてもらった。
す・さんができたての本を
わが子のように愛でて、あとがきを二度読み返していたのにじんとくる。
16日の岡崎さん&す・さんコクテイルトークに行きたいけれど、
さすがに本の散歩展直前で無理か。
す・さん「本の散歩展」のポスターを
インクの色を乾かしながら1枚1枚、手作業で刷り上げていっているようで、
腕が筋肉痛の様子。
爪の隙間にインク。職人の手だ。
素敵なポスターの完成までもうすぐ!

宴たけなわなまま深夜。
ついつい呑みすぎて翌日つらいのは毎度のことだが、
しかしまあ自分で自分にあきれます。
時間がないないと言っているけれども、
時間泥棒の張本人は自分・・・。
他店の爪の垢を煎じて飲め。
日月堂、徳尾書店、西秋さんなどなど頑張っている人・人・人。
それを思うと自分が情けなさすぎて消え入りたくなったのは
昨日の市場での出来事。
会話している途中、話そうとしていたことを忘れたり、
固有名詞が出てこなかったりで、
アルコールで脳がやられているのではないかと怖くなったのは
PURE BOOKSでのこと。
それなのに十数時間二十数時間を経たのちには
呑みすぎて泥のように寝込んでしまうとは、あまりに懲りなさすぎる。
情けないわが面をのぞきこみに寝床へ
かわるがわるやってきたねこらも今は夢の世界。
頭を冷やして仕事します。
本の散歩展、目録掲載品の画像をスキャニングしなくては。
少々お待ちくださいー!
明日の神奈川大市の下見、古書会館でのイベントに行きたいが、
もういい加減、作業に没頭せんとまずいんではないか。

会う人会う人「ストレスたまってる?」
「大変そう」など言われ、自分の頭の中身を見られているみたいで
恥ずかしくて仕方ない。
ブログやめようかとも思うのに、また書いてしまったよ。
原稿料もらえるわけでもないのにね。
Mなのか? ビョーキか?
お見苦しい点、お詫びいたします。毎度毎度でございます。


佐藤泰志作品集」10月9日発売ですか。楽しみです。
「ちくま日本文学」は、11月22日から刊行開始。
筑摩書房のサイトを見ていたら、
何冊も買いたくなってきてしまった。

欲しい本がいっぱい。
でも、私はしがない(貧)古本屋。
買うだけじゃなくて、売らなくてはいかんのだ。

それにしても、嗚呼、古書展の準備ってやつは。
目が痛くなる、腰が痛くなる・・・。たぶん冊数が多いからですね。
久々すぎて忘れてしまったのですが(情けない)、
一体、何冊、用意すればいいんだっけ。
月何度も古書展に参加している店って、どれほど大変なんでしょう。
デパートの古書展とかむちゃくちゃ大変そうで、心底、尊敬します。
本番間近になったら、こんなふうに紹介するゆとりもなくなってくると思いますので、
今のうちに、せめても。出品の一部について紹介させていただきます。

講談社が「大日本雄弁会講談社」だったころの「世界名作童話全集」。
活版の活字といい、訳文の美しさといい、
ふんだんなカットといい、全部揃えたくなる逸品です。
当時は、編著者の検印が奥付に押されていたので、
そんな細かい部分まで見るに値します。
造本が頑丈なので古書展向きかなと。

カバーなしですが、海ねこの個人的好みとしては
カバーがないほうが好きなんですよ、この装丁なので。
バラ売り。1冊600円~で放出します。
カラーの口絵(4ページ。1ページ大のイラストが4点)が、
当時の印刷技術の結晶といいますか、色味の深さといったら。
見返しもまた、えもいわれぬ美しさ(動物たちが美しくデザインされていて、大好き!)。
目次、扉・・・この時代ならではの宝石みたいな児童書たち。
状態も含めまして、「本の散歩展」会場で、ぜひお手にとってご覧ください。

装丁・恩地孝四郎

2 船乗りシンドバッド 昭和27年の7版(造本コワレあり)
   アラビアンナイト 久米元一・編著
   表紙・口絵・さしえ 蕗谷虹児

6 ニルスのふしぎな旅 昭和26年の5版
   ラーゲルレフ 千葉省三・編著 
   表紙・口絵・さしえ 河目悌二

8 イワンのばか 昭和28年の6版
   トルストイ 水谷まさる・編著
   表紙・口絵・さしえ 川上四郎

12 はなのこびと 昭和27年の4版
   ハウフ 磯部忠正・編著
   表紙・口絵・さしえ 長谷川露二

14 白鳥の王子 昭和28年の5版
   アンデルセン 大畑末吉・編著
   表紙・口絵・さしえ 蕗谷虹児

15 魔法のつえ 昭和26年の初版
   ジョン・バッカン 太田黒克彦・編著
   表紙・口絵・さしえ 黒崎義介

18 魔法のなしの木 昭和26年の再版
   中国昔話 鹿島鳴秋・編著
   表紙・口絵・さしえ 大石哲路

19 星姫ものがたり 昭和28年の4版(後ろの見返しが天地逆に製版されています)
   インド昔話 桑野福次・編著
   表紙・口絵・さしえ 田中良

23 もとのとおりになる話 昭和26年の初版
   ロシア昔話 宇野浩二・編著
   表紙・口絵・さしえ 鍋井克之

24 ろばものがたり 昭和26年の初版
   セギュール 千葉省三・編著
   表紙・口絵・さしえ 河目悌二

25 空へのぼったおけやさん 昭和26年の初版
   日本昔話 関敬吾・編著
   表紙・口絵・さしえ 鈴木寿雄

31 金の女王の山 昭和26年の初版
   北欧昔話 山室静・編著
   表紙・口絵・さしえ 有岡一郎

33 わし姫物語 昭和28年の初版
   マリー 大槻憲二・編著
   表紙・口絵・さしえ 遠山陽子

35 ほらふき先生 昭和28年の初版
   びゅるがー 山内秋生・編著
   表紙・口絵・さしえ 耳野卯三郎

向かいの庭に、真っ赤な曼珠沙華(彼岸花)が咲き乱れています。
「夏の終わり」があるとしたら、こんな一日かなと思いながら、作業をしていました。

ああ、今度の火曜、西荻窪で集まりがあるんでした。
古本関係、編集者、ほか有志の会ですが、
ご参加なさいますか?
いけないいけない、こちらから出席・欠席の返信すべきところ、
ぼーっとしているうちに日が過ぎていき、ついに
「会がありますよ」とご丁寧にメールをいただいてしまいました。
ああ、これだから、私はいけないんだ。
もうちょっとマメにならなくちゃ。こまめに連絡とらなくちゃ。
きちんとお付き合いしなくちゃ。
植草甚一や庄野潤三のお嬢さんを見習わなくては。

と、本当に反省してんだか、してないんだか。

さて、10月19日(金曜)20日(土曜)「本の散歩展」が開催されるのですが、
出品する一例です。
ねこ本から下の「現代詩」まで、と雑多な品揃えです。
というか、まだぜんぜん本が揃えられていません。
準備が進まず、本当まだまだ。どうなるのか、どうしよう。
あわあわ、といってる間に時間が過ぎてゆく。

雑誌「現代詩」。
1961年9月号あたり見ていただくと、
この雑誌の企画の面白さ、人選のユニークさがおわかりいただけるかと。
絵本好きには、長新太や和田誠が描いているのも興味深い。
出版社が百合出版→緑書房→書肆パトリア→飯塚書店へと
くるくる変わっています。
表紙は高橋錦吉、中井幸一ほか。
カット・加古里子、真鍋博、長新太、粟津潔ほか

■現代詩 1955年3月号(百合出版)(僅カキコミ)
超現実と記録ー清岡卓行
小野十三郎論ー大岡信

■現代詩 1955年4月(百合出版)
死の灰詩集の反響
詩への希望

■現代詩 1955年5月(百合出版)
宮沢賢治論ー中村稔
世界のメーデー詩 マヤコフスキー ほか
子どもの詩ー岡本潤 金達寿
自作解説 会話ー山之口獏

■現代詩 1955年8月(緑書房)
芸術運動の今日的課題 対談 花田清輝 岡本潤 吉本隆明
典形期における言葉の任務ー中野秀人

■現代時 1955年11月(書肆パトリア)
作品 三十二人集 大岡信 牧羊子 木島始 吉本隆明 壺井繁治ほか
アバンギャルド詩論ー関根弘
長詩 これについて マヤコフスキー

■現代詩 1958年12月(書肆パトリア)
特集 パステルナーク
パステルナークの悲劇ー鮎川伸夫
ジバコの遺稿詩十篇
反革命者のイメージー江川卓
なぜ「ジバコ」は出版を拒否されたか

童謡 男の子のマーチ 谷川俊太郎

■現代詩 1959年10月号(飯塚書店)
特集 世代の断層を埋めるもの
吉本隆明批判 嘘発見器の孤独ー関根弘
飯島耕一・岩田宏・大岡信 批判

童謡 山口洋子 寺山修司

■現代詩 1960年1月号(飯塚書店)
作品12人集 寺山修司 木島始ほか
わたしのアンソロジー 鮎川伸夫
今月のベストスリー 小野十三郎 茨木のり子 山田正弘
今日の東欧 チェコ・ポーランド・東独・ハンガリー 松岡伸夫

■現代詩 1960年4月号(飯塚書店)
蒼ざめたる牛ー黒田喜夫
小特集・詩ができるまで  藤森安和 山口洋子 岸田衿子
今月のベストスリー 小野十三郎 茨木のり子 山田正弘
わたしのアンソロジー 金子光晴
核穀の破れたところから・・・ 阿呆坂パンチ・作 赤塚徹・絵
置きざりにされた思想 詩・風山瑕生 写真・津吹純一

■現代詩 1960年8月号(飯塚書店)
特集・火花より焔は燃えあがる
樺美智子の死に思うー関根弘
南通用門の抗議 樺美智子さんの死ー津吹滋乃
怖るべき六月ー茨木のり子
岩田宏 真鍋博 青木実 野田寿子

童謡 谷川俊太郎 湯浅譲二 入沢康夫 内田豊清 藤森安和

国家と芸術 レニングラード・バレーの秘密 K・セルゲーエフ 関根弘

■現代詩 1960年11月号(飯塚書店)
特集・作家の危機
井上光晴論ー堀川正美 開高健論ー宗左近
武田泰淳論ー飯島耕一 堀田善衛論ー安水稔和
大江健三郎論ー中川敏

詩人をサイコする 馬場礼子
被験者の自己分析 長谷川竜生 谷川俊太郎 山本太郎 関根弘 鳥羽曽次郎 鮎川伸夫

引越をしよう 寺山修司・関根弘
わたしのアンソロジー 田村隆一

■現代詩 1961年3月号(飯塚書店)
特集 CM ラジオ テレビ ステージ

現代詩の広告 長谷川竜生 阿部隆矢 木原啓允 朝倉勇 和田誠

さしあたってこれだけは 谷川雁 吉本隆明 関根弘

■現代詩 1961年4月号(飯塚書店)
特集・対立
黒田喜夫 鮎川伸夫 寺山修司 岡本愛彦 山田正弘 菅原克己 石川逸子

わたしのアンソロジー 黒田三郎

広告ー寺山修司

■現代詩 1961年6月号(飯塚書店)
特集・安保2年
アメリカ人の見た安保闘争ー小田実

広告ー関根宏 長新太

■現代詩 1961年7月号(飯塚書店)
特集・裁判
渋沢龍彦 扇谷正造 ほか

わたしは批評する 長田弘 すず木正一
今月のベストスリー 木下常太郎 石垣りん 三木卓
広告ー谷川俊太郎

■現代詩 1961年8月号(飯塚書店)
特集・トロツキーと文学

■現代詩 1961年9月号(飯塚書店)
特集・現代の病気
ノイローゼ 性病(金子光晴)インスタント病 宇宙病(星新一)
盗作病(寺山修司)劣等病 マニア病(植草甚一)ショック(永六輔)
大学病 PR病 家庭病(谷川俊太郎)寄生病 輸入病
アル中 なりたい病 胃潰瘍 セックス病 企画病 ムード病(鴨居洋子)

■現代詩 1961年10月号(飯塚書店)
作品特集 石川逸子 関根弘 大岡信 岡本潤 谷川俊太郎 寺山修司ほか

■現代詩 1961年11月号(飯塚書店)
特集・十年先はこうなる

■現代詩 1962年7月号(飯塚書店)
エフトウシェンコ・エヴゲーニイ バービイ・ヤール ビート族のモノローグ
ギンスバーグ・アレン くたばれ! ヴァン・ゴッホの耳
草鹿外吉 ビートでないビート詩人

いずみたく 大岡信 
小野十三郎 自叙伝・第一章 自然はおそろしく退屈だ

■現代詩 1962年8月号(飯塚書店)
エルンスト・トラー小特集
小野十三郎 自叙伝・第二章 この白い小さな手よ

■現代詩 1962年10月号(飯塚書店)
特集・教科書詩人をどう読むか

安部公房 消えたブルジョア
小野十三郎 自叙伝・第四章 賭と恐怖
十月のリズム よみびとしらず+和田誠

■現代詩 1962年10月号(飯塚書店)
特集・新人賞入選作品発表

小野十三郎 自叙伝・第六章・家郷の観念
十二月のリズム よみびとしらず+和田誠

■現代詩 1963年1月号(飯塚書店)
特集・新春対談
金子光晴+茨木のり子 ペギー葉山+岩田宏
石垣りん+山田正弘 山本太郎+宗左近
松村禎三+谷川俊太郎 武満徹+大岡信
高田敏子+滝口雅子 長谷川竜生+寺山修司 ほか

小野十三郎 自叙伝・第七章 葦の地方
一月のリズム よみびとしらず+和田誠

■現代詩 1963年5月号(飯塚書店)
特集・日本発見
入沢康夫 オバケの形態
松永伍一 エロスと笑い やぶにらみ民謡論3 ほか

小野十三郎・自叙伝・第十一章 二見ヶ浦のアリラン
五月 ロートレアモン+和田誠

■現代詩 1963年11月号(飯塚書店)
特集・マスコミ芸術への公開状
電気テレビに強くなる法 関根弘
ファイティング原田への手紙 寺山修司
ーーになりたい方への手紙 野田真吾
テレビ・タレントについて 金子光晴
多忙な人への手紙 池田満寿夫
漫画の三叉神経痛 宗左近
騒音製造機械 飯島耕一

プレヴェール傑作集 大野健一・さしえ
戦後の詩と行為 死と悶絶 長田弘
小野十三郎 自叙伝 第17章 集会・旅行・サークル
とびら ランボオ+和田誠

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徳尾書店 古書目録 第2号が出来ました。パチパチ!
特集・少年少女雑誌周覧
 戦前戦後の漫画・挿絵とその周辺

すべての書影が掲載されています。
カラーページ、モノクロページ・・・、見ごたえ十分。
「目次」「ご注文の手引き劇場」のイラストもとても好き。
「あとがき」に胸打たれます。
日々、市場通いを重ね続ける徳尾さんを見ているので、よけい・・・なのかどうか。

「百年」さんのブログを見て、
来週月曜の市場(中央市会)が休みだと知り、
「寅の子文庫」さんのブログを見て、
郵政民営化の影響で「冊子小包」は
「ゆうメール」なる珍妙な名称に変わったことを知る。

金曜と月曜に市場に出品するつもりだったので、
予定変更。
自店ホームページにも、これまで「冊子小包」と明記してあったところを
いちいち「ゆうメール」(冊子小包)と書き直す。

ぽつり、離れ島みたいな場所にある部屋で作業をしていますが、
ネットのおかげで一応、社会とつながっていますな。

しかし、月曜の市場って、どうして休みなのでしょう?
そういえば、土曜に会館前の駐車場が混雑していたなあ。
でも、なぜなのか推測しきれなかった。
どこか時代についてけてません。

直前にだーっと準備すると、大変だし、腰が持たないので、
少しずつ「本の散歩展」の準備をしていかないとね。
と同時に、我が家の各部屋の本、倉庫の本など、
徐々に整理していくつもりであります。
お客様からの買取本がぼちぼち届くかな。
明日は買取です。でも、市場(資料会)も行くかな。
そうそう、大市で買ったものの紹介もしないとね、紹介したいと思いながら、
なかなかすべてに手をつけられず、
今日も明日もPDAの「TO DO」は減らず。
減るのは、くいぶちばかりなり。
増えるのは、悪天でたまってゆく洗濯物ばかりなり。
一瞬、晴れ間が見えたので、あわててマシン(洗濯機)回転中。
洗濯と発送したら、世田谷文学館に行こうかしら。

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