シミもなく、ヤケもなく

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買取して永らく当店でお預かりしていたセットものに
ご注文をいただく。
アクリルの密閉ケースにしまって、その中に乾燥剤を入れて、
乾燥剤が切れないよう、しばしば確かめては補充してきた。

買取したとき、四半世紀前のものとは思えない
状態のよさに心底、驚いたものだ。
まったくしまいこんでいたわけではなく、
それはご丁寧にお楽しみになっていたのだった。
何度かやりとりをしているうちに、
人柄・ご家庭の様子まで伝わってきて、大事に売っていこうと思った。
新居の写真をメールに添付していただいたが、
美術書から飛び出したような邸宅・インテリアだった。

そのときの思い出とともに、本を引っ張り出す。
先ほどまで倉庫でヨレヨレしながら古書を束ねていたので、
宝石のように美しい絵本たちに触れられて眼福。
気がかりだった保存状態にはまったく問題なし。
ああ、よかった。シミもヤケもなく、
痛みもまったく増えないまま、きちんと保管できていた。
同じものを保管している大学図書館がわかっているが、
おそらく負けないぐらい、またとない美品だと思う。

新たな持ち主の方のもとへ無事に送り出せると思うと、
肩を撫で下ろすような心持ち。
古書店とは、本を守るため、これほど気を遣う仕事なのかと、
日々、痛感するばかり。
最近は、美術展などみにいっても、
作品保護のため温度や湿度、光などどのようにしているか、
変なところばかり気になってしまう。

それにしても、80年代、バブルバブルと言われながらも、
これほど手間隙とお金をかけて
出版物をつくれる時代があったとは。
時代の残り香が匂いたった。

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