村上春樹新刊「走ることについて 語るときに 僕の語ること」読了。
読み終わるのが惜しくて、毎晩寝る前の楽しみとして、
少しずつ大事に読んだ。
読み終わってしまった淋しさ。
自分自身のことをきちんと書くため、
自身をさらけ出しすぎず、さらけなさすぎず、
他の仕事の合間に少しずつ書いては
推敲に推敲を重ね続けたらしい。
10年かけて書いたそうだ。
ときたま自身のHPを立ち上げる彼だが、
「走ることを書いた本はもうすぐ出ますか」と連れが質問を書き込んだら、
「来年には出せると思います」といった返信をもらったと記憶している。
あれから何年たったのだろうか。
彼自身の弱い部分も、強い部分も、
きちんと描かれていた。
誠実な文章だったし、同時代に生きるものとして
前を走っていく先輩についていくような思いで読んだ。
平易な言葉を折り重ねて
腑に落ちる文章を書ける人は、そうはいない。
ほかの人に真似できそうで、なかなかできないように思う。
好きな文章のところに付箋を貼っていたら、本が付箋だらけになった。
終わりが好きだった。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」のエンディング・シーンと
同じぐらい私の好み。
自分の墓銘碑なんてものがあるとしたら、という文章の最終行にかかったとき、
わけがわからないぐらい涙腺がゆるんで視界がにじんだ。
それにしても、
かつて村上春樹が好きだと言うのが恥ずかしいというか、
ためらわれる時期があったと思う。
吉行淳之介も似ているかな。
あれは何だったのだろうね。
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