2008年11月アーカイブ

明日一日、発送やら掃除やら何やらを終えて、
ようやく遅い夏休みになります。
以前、休んだとき、すぐさま対応できず
帰宅してメールを確認したところ、「ナシのつぶては困ります」と、お叱りの文章が。
すぐさま誠心誠意対応したつもりではありますが、青ざめたことがありました。
今回は、なんとか可能な範囲でメールは確認したいと
あれこれ用意しておりますが、出先でアクセス可能かどうかも定かでなく。どうなることやら。

咳こみが多少落ち着いてきたので、
ようやく「生誕100年 夢と記憶の画家 茂田井武展」に行ってきました。in ちひろ美術館。

茂田井の本をだーっと並べたパネルが壁にあり、
憧れの本があれもこれもズラリー。圧巻。
印刷物の写真を並べたものであっても、燦然と輝いている。私にはそう見える。
会期後、パネルごと譲ってもらえないものかと思ったぐらい。

「お父さーん!」「無理してでも来られてよかったね」「ガッシュいいね」など言い合いながら
興奮ぎみの老夫妻。
閉館5分前に「新聞を見て東北から来たのですが、5分でも結構です、なんとか見せていただけないでしょうか」と
駆けこんできたご年配の女性。
ひとりで熱心に見入っていた女性。
大勢の方がそれぞれの思いを胸に、熱心に見入っておりました。

垂涎ものの原画やら絵本やらの前で動かず(動けず)にいる人。
茂田井の作品は、心の奥底から絞り出した絵というのか、とてもパーソナルな印象を受ける。だからこそ、見る者のパーソナルと響き合うのではないか。引きつけられ、すーっと入り込んできて、心の琴線を静かに深く揺さぶられるよう。
ただただ、見入ってしまいます。私もそのひとり。
印刷物では表現しにくい色の感じ、油彩の筆のあと、
イラストに細かく細かく入れられた修正液のあと・・・。
「青が不思議な色だな。東山魁夷の青も不思議だったけれど、また違う感じだよね」と連れ。
「青がね。昼とも夜ともつかないような・・・」と私。

「こども雑誌」(のちに「子供雑誌」と改題)「こどもペン」(こどもの窓社)など
海ねこも扱い予定がある絵雑誌も。
さまざまな原画やら貴重な絵本やら・・・、
古書市場に出たらとてつもなく高値がつくに違いない、いくら出せば買えるんだろうか、と値段を考えてしまうのは、職業柄、としておいてください。

文章もまた、心の深くに響いてきます。

「自分一人が幸福になることを念ったり、
自分の家のものが幸福になることを念ったり、
自分の国が幸福になることを念ったりするような、
たとえば そんな小さな念いではなく、
全世界 全宇宙、
さらにもっともっときりのないものの
幸福をこそ念いたい」(1955年頃)

なんといっても心にしみたのは、戦前の1941年から
1956年に亡くなる5日前、10月28日まで書き続けられた日記・手帳の類。
よくぞ保管されていたものだと思います。

亡くなる2週間前に描かれた
「彩色された絵では、最後の作となった」という
「おひさまともぐらとかえる」(キンダーブック 1957年3月号)は
原画とともに、ラフ、そして、編集者からの依頼書も展示されていました。
依頼書の余白には、早速思い浮かんだのであろうアイディアが鉛筆で書き込まれていました。

手帖には「おひさまともぐらとかえる 10月18日完成」の文字。
「(10月)15日 毎日まっているが金はこない。弱ったところへ仕事が巧くゆかない。苦しい。
泉××さん(海ねこ注・名前は伏せます)。トロはないし、肉はかたいし」

「(10月)17日 一日ぜんそく。キンダー出来ず
サカナヤシケ(海ねこ注・時化のため、魚が入らなかったのか)。
貧しい。困った」

「18日 キンダー三月号
やっとかいて
五時半 大場さんに渡す。
段々疲れでる。心までまずしい」

「21日 朝ゼンソク。やがて楽になる。
政子 大泉母との会
政子 再び池袋へゆき
オレのためトロをかってきてくれる。
清川さんのカバー 見返し、扉。
また金乏し。
いかせんべい」

鉛筆の一文字一文字が迫ってきます。むう、息が苦しい。

連れがいちばん好きだったのは、食べ物についての手帖だったとか。
あとで、書かれていた文章を聞いて、思わず吹き出してしまった。
肉饅頭の肉汁、ボルシチに入っていた肉についての絵と文章。
いずれ連れがブログに書くでしょう。

1950年頃、仕事場での写真が有名ですが、
ビールと落花生をのせていたあのテーブルが展示されていました。
テーブルの上に、お嬢さんの絵など大事にしていたものが並べられ、
周囲には愛読書が積み重ねられていました。
壁に貼ってあった絵画の切り抜きはヤケていましたが、
画鋲のあともそのままに残されています。
ご遺族ほか、よくぞご丁寧に保存されていたものだと思います。
テーブル脇に積み重ねてあった蔵書たち、
しゃがみこんで背表紙を見ると、なんと、あの「五円の天使」が含まれていました。
以前、海ねこで扱ったことのある本ですが、
その後ずっとお探しの方がいらして、自分も探し続けている本でしたので・・・。
まさかここで再会するとは予測だにせず。

朝日新聞 夕刊「こども」欄のカットは
1952年11月から亡くなる寸前まで描き続けていた仕事。
1956年11月10日の同欄には
「このカットをかいてくださった日本童画会のもたいたけしさんは、
さる二日になくなられました」と紹介されたそうです。

創元社の「世界少年少女文学全集」の挿絵原画も。
13巻 フランス編 ライオンのめがね
26巻 東洋編 西遊記
44巻 日本編 東海道中膝栗毛
47巻 動物文学集 ぞうのプーパー など。

2階には「Parisの破片」「続・白い十字架」「退屈画帳」「無精画帳」など
さまざまな画帳が展示されていました。
想像以上の点数でした。子供のころの目線がそのまま残されており、
パリでの恋愛など、若き日々のヒリヒリするような心の痛みが遺されています。

「生れた者は死なねばならず、
会った者は別れねばならない。
然し、然し」(画帳「Parisの破片」より)

幼年時代の思い出・光景をとてもリアルに再現している「画帳・幼年画集」(1946年ー47年 未完)。

「一九一〇年
モノホシ台デ ハレー彗星ヲミタ
コレガ一番ハヂメノツヨイ印象デアル
彗星ノ尾ハ白々ト地平カラ地平ニ渡リ
天ヲ二ツニワケテヰタ」
母か乳母に抱かれて見た光景だが、
なんと1歳7か月のころのこと。

「見知ラヌ世界

目カクシヲシテ
ユクト
アラハレル
ココハモウ
ウチ デハ
ナイ」
「かくれんぼで布団部屋へかくれる。息をひそめる
永遠とゆう 時間の長さを認識する」

「記憶にひっかかって抜けないもの、過去の印象の鮮明なもの
ーー駄菓子屋の景、学校の出来事、水呑場風景、蝗やトンボとり、
汽車ゴッコ、町ゴッコ、幼稚園の楽隊、あちこちの縁日・・・・・・
その後いく年もいく年も経ち、私はどうやら挿絵を描いて生活していけるようになった。
挿絵の仕事が忙しくなるにつれ、余暇をみて好きな絵を描くということが段々おろそかになっていった。
それに反比例するように焼け失せた幼少年の頃の脳中の印画が益々くっきりと濃度を増してくる。・・・・・・
私は私の印画を紙上に焼きつけて一枚一枚と描き続け、納得のいくまで訂正しつみ重ね、
そしてこれができ上ったら「おとうさんの絵本」という題をつけて唯一の遺物にするつもりである」(「印象のレンズ 私の描きたい絵」(『教育美術』1952年5月号)より抜粋」

「オール読物」1949年12月号など原稿の抜粋。
「少年少女の廣場」(「子どもの廣場」改題 新世界社 1948年)
「こども雑誌」(白鳥書院)1947年7・8月号ー11月・12月号に3回連載した「星の輪」ほか。

茂田井の文章が好きなのであれこれ読みながら見ていくと
まったく時間が足りない。
できれば、もう一度、足を運びたい。

帰りがけ西荻窪を通りかかったので、
連れと、とある中華店に立ち寄る。
食通イラストレーター・オモチャさんが以前、
「横浜の中華街より旨い」といっていた店。
水餃子、酸辣湯(サンラータン)麺、五目焼きそばで2700円。
いやもう、1品1品、とんでもなく旨い。
中華料理屋といっても、レベルはそれぞれ。久々に感嘆いたしました。

「オモチャさんが教えてくれた店にハズレなし」と歓喜。
思えば、西荻窪・どんぐり舎も、渋谷のベルギービール店も、
赤坂にある雪濃湯(ソルロンタン)の店も、オモチャさんから教わった店でした。
我が家の旨いものご意見番といえば、居ぬさんミワちんと、このオモチャさん。
長らくお目にかかっておらず、ミクシーの共通の知人経由でオモチャさん日記を発見。
久々にオモチャさんのブログを探し当てて拝読。
オモチャさん、お元気そうで何よりです。

ミヤビちゃんに昨日、間違ったことを言ったのに気づく。
昨日の市場で買った中に、丸木俊の旧姓時代・赤松俊子の3冊が含まれていたので、
丸木俊と大道あやの関係は? と話題になったのです。
丸木俊のご主人・位里の妹さんが大道あやでした(敬称略)。失礼しました。

夜になると咳こむものの、日中はほぼ健康体。

昨日、仕事を終えて、久々の外出。
ぽかぽか陽気で、済んだ青空に白い雲。
日本語で小春日和、英語だとインディアン・サマーというのか、と、ぼんやり思う。

久々の外出。
第一弾は、先日16日の西荻ブックマーク「そこのみにて光輝く ~佐藤泰志の小説世界」トーク。
昨日は外出第二弾。その行先は、というと、色気も素っ気もないのだが、古物商の講習会。
年一度、市内の古物商向けに、警察や防犯協会の方々の講義がなされるのだ。
3時間にも渡る講習会。
休憩が二度はさまり、あまりの寒さに向かいの雑貨店でマフラーを購入。490円。

盗品が流出してしまわないよう古物商の皆さんは、社会の大きな砦なのです、
責務を感じてどうか我々警察にご協力いただきたいと請われる。
あやしいと感じたときは警察に通報すること、
台帳をきちんとつけること。
お話をなさるいずれの方も、最後には「ご商売の繁盛を心よりお祈りいたします」とおっしゃる。
質疑応答で、貴金属やらブランド品やらの市場を開催しており、
年間1万5000件ほどの買取があるという人から質問が出る。紙の台帳では追いつかないため、パソコン管理しているそうだ。
年間1万5000件??? そういう人のために
「ご商売の繁盛をお祈りいたします」という言葉はあるんだよなあ・・・。

講習会などとりたてて行きたいわけではない。
が、以前、用事があって出席しないで放置しておいたら、
突然、自宅に刑事さんが訪ねてきたことがあった。
玄関ドアに足をはさみ、ドアを閉めないようにされ「こういう者です」と警察手帖を突きつけられた。
まるでドラマのような光景であった。

インターネットの非対面販売の場合、犯罪に使われやすいので、
買取をする際、本人確認によほど注意が必要だと、昨日再三、繰り返された。
買取のお客様から運転免許証のコピーをいただくだけではダメなのだそうだ。
本人確認のために運転免許証や健康保険証のコピーをお送りいただきたいのですが、と
お願いして、以前とある方から「犯罪者扱いですか」と驚かれたことがある。
しかしながら、警察関係者に言わせれば、
運転免許証のコピーは、写真を貼り付ける、住所を貼り直すなど、いくらでも偽造しやすいのだそう。
それもごもっともな、とは思うが、
遠方から本を送っていただくたび、住民票のうつしを提出していただくようお願いする、
買取代金を現金書留でお送りして住所確認するなど、
現実的に無理ではないか。うーむ、どうなのだろうか。
直接、ご自宅に伺うか、あるいはこちらに持ち込んでいただくか以外の
買い取りはお断りするしかないのではないかと思ってしまった。

で、久々の外出記念。
三鷹の江ぐちでラーメンを食す。450円。

さらに、久々の買い物。
●来年の手帖 外出用のコンパクト版・自宅用の2冊など大小3冊ほど使い分けるのだが、まずは1冊め。

●手荒れを防いでくれるハンドクリームを探していたが、結局はワセリンに落ち着く。
●日々なすべきことを書き込むノート。以前はPDAに入れていたのだが、最近はメモ帳を使うようになった。

そして、HPリニューアルのご相談にのってくださるというSさんと
翌日お目にかかる約束をしたのだが、夜は咳こみそうで、と話しているうち、
いっそもっと先にしましょうよ、ということになる。
本当は今すぐでもお目にかかりたいのだが、
やたら咳こむ瞬間がときどきあるので、人が多すぎる場所に出かけていく勇気がいまひとつ。

ヨドバシカメラで連れと待ち合わせてついに買う。
iPhone
出先でもネットを見られる端末としての購入。
今までウィルコムを使ってきており、重宝はしていたのだが、使い勝手の悪さに辟易。
iPhoneに慣れるまで時間がかかりそうだが、
ちょっと気の利いたおもちゃを与えてもらった気分。

早速、愛読しているブログやHPを登録する。
連絡をとりそうな人の電話やメールアドレスを登録したり、
次第に自分のマシンとしてカスタマイズしていく感じが楽しい。
初のApple体験だが、文字を打ち込む際、
英語、日本語の切り替えなど地球のマークを押すだけと明快。
ウインドウズのようにシフトキーを押すとか小難しくないところが好きだ。
写真を撮影するたびシャッターを絞りこむクラシカルなマークが出るなど、
遊び心が感じられる。さすがAppleだ。

そうしてみると、やはり、こまめに更新されているところから順に登録したくなるなあと改めて感じて、
わがブログやHPの更新をサボっていることを反省。
突然、思いたってブログ更新してみた。

ところで、今日はボジョレー・ヌーボーの解禁日です。
地元パルコのポイントをためて2本交換できるよう予約したので、のちほど図書館に寄ってパルコで受け取ってこよう。風邪をひいて酒の消費は落ちるどころか、むしろ逆。「ビールは薬、ドイツではきっとそう」「ワインは薬、フランス人ならそう言うよ」など嘯きながら飲んでばかりいる。堕落か、な。

あまりに本の話題がなさすぎるが、整理すべき本は玄関先にもリビングにも
車にも山積み状態のままなのだ。
久々の市場行きまでに整理しようと思っていたのに、iPhoneをいじっていたら何時間もたってしまった。
明日は久々の明古(明治古典会)で市場へ。前回の支払いが大変だが、さて、どんなものと出会えるだろうか。ああ、落穂さん、徳尾さん、自家目録をありがとうございます、とお礼を言わないと。大屋書房さんの妖怪目録もでしたが、なんという力作、労作と打たれました。

金曜の市場でおかしくなり、月曜の市場でダウンして、火・水・木・金・土曜。
ついに5日間、どこにも出かけていない。
自宅、仕事場、至近距離にある地元の郵便局。行動範囲は、この3か所のみである。
八が岳をすたこら歩いていた人物と同じ個体なのであるか、私は。あーうー。

しかしながら。

ようやく、始動しました。
車に積んでおいたままの本を1冊1冊整理しながら、ミニ特集を思いつきました。
咳こみながら、古本のホコリにまみれて、さらに咳こんでおりますが、
いやなに、やりたいことがあるとちょっと元気になります。
自分のこの集中力が1-2年続いたら、きっと自家目録も作れると思うのですが、
ねこの記憶力ぐらいもたない集中力ゆえ、
とりいそぎ、ミニ特集で失礼します。

あと何日かしましたら、ちょっとまとまった形でホームページで公開できると思います。
11月23日から30日まで遅い夏休みなので、なんとかその前に公開していきたいもの。

本当は、本日、大学時代のサークルが90周年ということで
読売ホールで記念の演奏会があり、久々にOBが集うのでした。
ついに、欠席してしまいました。
中央線の役員会も欠席してしまいました(幹部に、欠席しますと連絡ズミ)。五反田も行けませんでした。徒歩徒歩会の写真は出来上がったのでしょうか・・・。見たいなあ。

外出したところで、この咳では、風邪をうつされないかと不安になる人が気の毒です。自分は電車で、咳をしている人がいると、そーっと違う車両に移動するほうですが、自分が咳こむ側になるとは。
すでに、うつしてしまったかもしれない方、本当に恐縮しております。

明日は、久々に外出予定。行けるのでしょうか。そして、咳こんでご迷惑をおかけしないでしょうか。
社会復帰作戦、第一弾。
西荻窪方面へ向かいますが、ああ、N文庫・Tさん、本にはさまっていたメモ、さっき初めて気づきましたよ-。

久々の外出前に、遅れてしまった買取対応を進めておかないと。
それから、今やっているホームページ更新計画も進めておかないと。
夜、咳こみすぎて寝付けないので、せめてコンビニにでも歩いていってこようか(といっても、徒歩3分ぐらい。OH,地元郵便局についで、もっとも近いパプリック・スペース)。

風邪だとビールが美味しくない。しかし、ワインは旨いのが困りものです。

ああー! ちひろ美術館「茂田井武展」、11月30日(日曜)まで。
咳こんでも血を吐いてでも行きたいです。ハタ迷惑か。もうちょっと治してから行きます。絶対行く!

 

自分の場合、風邪をいったんこじらすと器官にきて、咳込が続きます。
子どものころから学校でも電車でも咳込んで周囲の大人たちにとても心配されてきたので、
本人は慣れていますが、周囲に心配をおかけするのはいかんと思います。まあ気長にいきます。
市場もしばらく休みなので、この機会に自宅&仕事場ですべきことをやっていこうと思う。
もうちょっと咳が治まったら、約束をしている方とお目にかかりたいです。
もろもろお待ちいただいている方、すんません。
今できることから順にやっていきます。そして、考えていくべきことを考えようと。

HPは5年以上、同じデザインのままやってきましたが、さて、どうするか。
ちょっとでもご覧いただきやすいHPにできればと。
わがままで、マイペースすぎて、いつもすみません。
おまけにすみませんが、11月23日から30日まで遅い夏休みをとりますので、その期間、発送・対応ができません。
休み以外、ご注文の対応・梱包・発送、日本の古本屋の入力はコツコツ続けていると思います。
新着もやれればやりたいのだけれど未定。まずは咳が出ないか様子を見ながら、積みあげたままの本を整理しないと。
あせらず、地味にコツコツやっていきます。よい日々を重ねていきましょう。秋晴れ。たまには散歩でもしたいもんです。

追記 一昨晩は「サーカスの小ひと」(ケストナー)を。昨夜は織田作之助を読んだ。織田作之助は初めて読みましたが、案外ユーモアがあって意外な印象。ただ、線引きが多い古書で、それで自分の本にしたのだと思うけれども。読みながら、どこに線引きがされ、どこにマークが書き込まれているのか、本の内容より、かつて読んで書き込みしていた人の印象が気になってならない。安く買った本だけれど、うーん、良し悪し。古書店で、ページ通しというのか、1冊1冊、すべてページが揃っているのか、書き込み・切り抜き・切り取りがないかどうか、きちんと確認している古書店はどのぐらいあるのだろうか。とある有名店に聞いたら「昔は丁稚さんの仕事で、確認するのも本当に速かったけれどねえ。え、僕? やったことありませんねー。全集? 全集すべて読む人はいないからねえ。読むのは月報だけだよー」と笑い飛ばされました。きちんとやっている店があることも知っています。1冊1冊、きちんと読むわけにもいかず、確認作業には大変時間がかかると思います。カンも必要だと思います。「あの店で買う本は信頼できる。安心して買える」と評価してもらえる店にしていくのが、どれほど大変なことか。

一緒に山を登ることができても、一緒に呑むことができても、仕事内容において自分が月の輪さんに近づけないのはなぜか。昨夜から考えておりました。臆面もなく、馬鹿丸出し・赤っ恥を承知で、こういうところに書けるのが、自分でもオソロシイ。ハッハッハー(と、揚羽さんふうに)。

市場に行かなければならない事情があり踏ん張って向かったものの、ものすごい大量の出品量。
風邪は完治してしていなかったようで、目はまわるし、頭痛はしてくるし、次第に気分は悪くなってくるし。
自分としては懸命に買ったのだけれど
「何買ったの、見せてごらんよ」
「本当にわかって買ってるのかい?」
「これで利益出るの。よくわかんねえなあ」
などおじさんたちに落札本を品定めされているうち、どんどん凹んでしまう。
ふだんなら笑って返せるところ、本当の敵は我の中にあり。
やはり無理はするものではありません。
帰宅してなんとか急ぎの発送と対応はしました。
明日かなり梱包・発送がありまして、週半ばに締切仕事も。ナムサン。
今晩は早めに布団に入ることにします。
健康の大切さを思い知る今日このごろです。どうぞご自愛なさってください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上のとおり、HPトップに書いたのは、昨日10日のこと。

帰宅して、かねてより「10日に発送します」とお知らせしてあった人に
とにかくお送りする。
やたら寒気がすることに気づき、熱を測ってみたところ38度5分。
寒気、関節の痛みがひどく、なかなか寝付けない。
家の者が買ってきてくれたプリン、りんごジュース、バナナと
子供が食べるようなものをむさぼり食う。
風邪をひいても食欲だけは落ちないのだ。

まったく食べて飲む量だけは誰にも負けぬ。

震えが止まらないので、オイルヒーター、ホットカーペット、電気毛布と
もはや原発反対などと言えないような暖房器具総動員で眠りました。

11日、だいぶ回復の方向です。
Duclyさん、先の書き込みにコメントをいただき、ありがとうございます。
オンエアーが楽しみです。

昨日買った束、先ほど宅配会社が届けにきました。
まだ荷はほどいていないけれども、ロシアのとある時期の絵本、
戦後の児童書など入っているはず。

明古で日月さんが買ってHPで紹介、沼辺信一さんがブログで絶賛されていたものは
自分も「あれ・・・。どこかで見たことがあるような」とは思って中身までよく見たものの、
日月さんのような読みまでできませんでした。以前もロシア・アヴァンギャルド系でそんなことがあって、
そのときは確かアルカディアさん、いや違う、パージナさんが買われたのでした。

日月さんは志の高さ、ぴんと通った筋とともに、
本当によく勉強していらっしゃる。しかも自分自身が好きでたまらないからやっているんですよ、という一貫した姿勢がまぶしくてなりません。
自分には、アルカディアさん、日月さんのほかにも、何人も尊敬している店があり、
勝手ながら心の支えとさせていただいています(←名前を出されてご迷惑でしたら申し訳ありません)。先輩書店が落札しているものを見てまわるのはとても勉強になります。

海ねこには、以前からいらした
「探していた本をようやく見つけることができて」「思いがけないほど好きな本で」とおっしゃってくださる一般の方に加え、
ある時期からマニアの方からお声をおかけいただけるようになり、
最近は大学、図書館、文学館などからのご注文が多くなりました。
けれど、いつまでたっても沼辺さんが唸ってくださるようなものは探せそうにありません。
あと10年やったら、どうなるのか。はたして。

市場に通い続けていると、本当にだれも見たことがないようなものが
ひょいっと出てくるようです。はたして気づくことができるのかどうか。
古書をめぐって、負けず嫌いの店主どうしが真剣勝負している空気が大好き。

「思ったとおりにいかないというのが大前提なんで」という羽生善治の言葉をときどき思い出しますが、市場にお金はもっていかれ、エネルギーを吸い取られ・・・。やっぱり好きじゃなきゃ続けられないと思う。
風邪なんかひいてられませんね。

さて、仕事。
昨日、午前に市場に行って4時間以上ぐるぐる歩いていたら熱が出てしまったので、
今日はゆっくり動くことにします。
お待ちの方、ゆっくり梱包して発送していきますので、
どうかお待ちください。
対応が遅れている方、恐縮ですがお待ちください。


午前中に、公費購入をご希望の分、1冊1冊の状態確認。
結構時間がかかる。
落丁がないかどうか、切り抜き・切り取りがないかどうか1ページ1ページ確認していくと、
18冊ばかりであっても結構かかるのだ。不慣れだからか、自分がトロすぎるからか。

明古、さらに五反田の入札市の下見。
五反田は、南部古書組合、月一度のメイン・イベント。

移動のタクシーでN堂さんの話を聞いて、
企画を実現していく困難と尊さにクラクラくる。

南部であれこれ見ているうち、風邪のひきはじめなのか朦朧としてきた。
いつもだったら先輩古書店と一緒に飲みにいくのだが
一足早く失礼させてもらう。

南部古書会の帰りがけ、暗闇の向こうからやってきたのは、
古書SのYさんじゃないですか。
キャリアも年齢も異なるが、呑み仲間であり、しかも住んでいる方向の関係で、
最近もっとも親しみを感じていたひとり。大変やり手の有名古書店さんです。
体調があまり良くない時期があったらしいが
「わーー、もうだいぶいいんですかー???」といったら
なんでもないことのように、でも、どこかはにかんだ笑顔で
「うん」とニッコリ。
「またそのうちね」とニンマリ。
そんなYさんにお目にかかれたのが、今日いちばん嬉しかったこと。

風邪はひきはじめに治すに限る。早めになんとかしなければと、
地元のパルコで飲みたいもの・食べたいものなど、気の赴くまま
選んで買ってきて飲んで食べた。栄養がありそうなスペインワイン、
自然食品屋の「那須のおいしいクリームチーズ」
「全粒粉クラッカー」
ふだん肉を食べないが体が求めているような気がしてソーセージ、
昨日買ってきたカブを浅漬けにしたもの、そして、昨夜こしらえたカボチャの煮物などなど。

10月、ふだんの倍ぐらい忙しかったので、単純計算、仕事量が倍ぐらい多かったのだろう。
気が張っていたが、カラダは正直。おそらく通常の倍ぐらい疲れているのだろう。
乗りきらねばとピンと張っていた緊張がゆるんだのかもしれない。
常用している漢方薬をとっているが、ノドの痛みがひかない。困った。
だれにもうつしませんように。私自身、このままこじらすと風邪で寝こみかねない。
個人の方、図書館の方ほか、ご注文の対応が遅れて申し訳ありません。メールをいただいているのに返信がすぐできずにいる方、入金いただいているのにお礼が遅れている方、かたじけないです。
明日からまた頑張りたいため、
今日は早めに眠らせてください。お待ちいただいている方、本当に申し訳ありません。

それにしても、いつも悩むのは、市場で買った束についてくる不要本。
欲しい本だけ買えるわけではないので、やむなし。ただ、そんな本がどんどんたまるので、
均一コーナーもないし、イベントも当分、参加予定もないし、
日本の古本屋に登録しても無駄だろうし、どうしていいかわからない。
ああ、明日、まとめて次の市場のため出品しにいけるかなあ。出したところで売れるのかなあ。
売れなかったらどうしようかなあと考えると、眠れそうにない。

風邪のひきはじめのときぐらいリラックスしても罰あたらないっしょと、エド・はるみのドラマに涙して笑う。
唖然としたのが筑紫哲也さん没の知らせ。
ええーー、筑紫さんが・・・。ショック。
現場主義だったという筑紫さん。
思い出すのは、沖縄・Dホテルに行くたび、
筑紫さんのメッセージが残されていたこと。
沖縄を愛して、同時に問題意識を抱え、追及し続けていたジャーナリスト・筑紫さん。
Dホテルは古めかしく、布団が若干カビ臭い、でも居心地の良いホテルだった。
何より女主人が魅力的で、薬膳の朝食が格別だったのだ。
あの朝食を召し上がっていたのでしょうね、筑紫さん。
貴方の亡くなったことを哀しんでいる人が大勢いますよ。
筑紫さんのようになりたくても、なれない人が多い中。

11月5日・6日と古書組合南部・徒歩徒歩会の山行き。
メンバーは、石黒さん、遠藤さん、笹間さん、泉さん、月の輪さん、照井さん、そして、私。
八ヶ岳・硫黄岳、なんとか登頂。
「ハプニングも面白いよね」と盛り上がった打ち上げを終えて、昨夜、無事、帰りました。

朝晩の冷え込みは、冬山を思わせます。
きーんと冷え切った夜の山小屋で、照井さんと星空を眺め、モンゴルの話を聞く。
翌日は吸い込まれそうな青空。雲ひとつないほどの好天に恵まれましたが、
足元は雪が凍っており、川には大きな氷にツララ。風が吹き付ける稜線沿いの歩きは厳しかったです。
金色になった木々、日を浴びて輝く常緑の葉、
尾根伝いに歩きながら、左右180度に広がる山の連なり。遠方には、雪帽子を抱いた北アルプス。
感じたのは「たとえつらくても、登ってみて初めて見える景色がある」ということ。

翌日6日は少々筋肉痛ですが、早朝より発送に勤しんでおりました。
6日朝までに着金を確認できました方々には、すでに梱包・発送しました(宅配分は、集荷待ちです)。
昼より仕事で外出のため、ご注文の対応、メール返信など少々お待ちくださいませ。

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