古書組合の仕事をすることになった。
中央線支部・機関誌部の担当だ。
組合員どうしの間の広報関係の仕事といったらいいのか、
私もまだよくわからないのだけれど。
ひとりで店のすべてをやっていて、
まだぜんぜん余裕のカケラもない自分。
ほかの仕事だったらお断りしていたと思うのだが、
声をかけていただいたのがたまたま機関誌部の仕事だったので
めったにない機会かもと、引き受けた。
新旧役員の交代にともなう引継ぎの会が行われ、
西部古書会館に集合した。
会館のスリッパが苦手なので、マイスリッパ持参で、だ。
中央線支部の空気をまだ、よく知らない。
これまで南部古書会館に出入りする機会をずいぶんいただいてきたので、
むしろ南部の雰囲気のほうが想像しやすいぐらい。
今日も、緊張のあまり、古書会館に入っていきにくかった。
半数以上は知らない人たちばかり。
しかも中央線沿線の古書店なので、
一見、一癖も二癖もありそうな(失礼!)オジサンばかりだ。
不慣れな自分にはちょっとたじろぐような空気。
いったいどこにいればいいのか、居場所がわからない。
ささま・伊東さんが声をかけてくれたので、
冗談を言い合って、やっとほっとする。
伊東さんが座る場所をこしらえてくれた。
機関誌部の前任・狩野さんが
「引き継ぎは・・・」とペラペラっと説明して帰ろうとしている。
「本、もう書店に並んでいるのかな」と聞くと頷いて
「買ってください」と言われた。
「うれしい?」と聞くと
顔に「うれしい」と書いてあるが、照れくさそうに
「微妙~」
と。湯上りみたいな顔をして去っていった。
本日は、中華料理店で昼食をとりながら、
会議というよりは、寄り合いというか、
各自、そのときその場、思いついたことを好きなように話す集まりだった。
長らくこんな感じでやってきているのだろうなあ、
決めごとをつくらないのが決めごとというか、
中央線支部の空気なのかもしれないなあ、と、ぼんやり思った。
転校生みたいにぽつりとしている私に対して
皆さん、さりげなく気を使って声をかけてくださった。
質問されて「ねこ、5匹飼ってます」といったら
「えええーっ!」「おおおーっ!」と、おおいに受けて、逆に驚く。
しばしねこ談義になる。古書店にはねこ好きが多いが、ここでも、
ねこを飼っている人がかなり多そうだった。
隣席のS書房さん、お名前や噂はかねがね聞いていたが、初めてちょこっと会話させていただく。
S書房さんのお宅では、ねこ4匹を飼っているそうで、
ねこ各自に専用のトイレがあるそう。
二段のラックを二段ベッドふうに使って、二台並べて
合計4個のねこトイレを置いているそうだ。
帰り、吉祥寺パルコのリブロに立ち寄る。
岡崎武志さんの近著、「植草甚一 ぼくたちの大好きなおじさん」
「高円寺古本酒場ものがたり」が並んで、平積みされていた。
「ぼくたちの大好きなおじさん」
「百年さん」の文章を早速、立ち読み。
いつもブログで読み慣れている文体なので、なじみがあって読みやすい。
最近、遠い親戚より、ブログを愛読している近しい他人、みたいな気分。
「高円寺古本酒場ものがたり」「植草甚一 ぼくたちの大好きなおじさん」
ともに晶文社の本を2冊購入。
帰りのバスでパラパラめくってみたら、
「高円寺古本~」の前半は、ブログからの抜粋を手直ししたものらしい。
ブログで読んでいたときは横書きだったので、
はじめ、縦書きの活字を読みながら不思議な印象だった。
酔いどれ海ねこのこともちょろっと出てくる。
ブログすべて掲載されているわけではないので、
選んでいただいてありがとうございます、なのだろう。
狩野さんの著書が全国書店に配本され、
ブログを読んでいなかった人のもとにも渡り、
とともに、酔いどれ海ねこの記述も、皆さまのもとへと渡っていく。
はじめ手にとったとき1900円の値段にしては薄い本かなという印象も受けたが、
内容はぎゅーっと濃い。濃い牛乳をぐーっと飲みほすように読んだ。
とくに書き下ろし部分がよかった。
いい加減そうだけれども(実際、そういう部分もあるのだろうけれど)
もがきながらも、これほど懸命に生きているのかと。
どこか醒めて、妙に老成しているのかと思ったら、
逆に年齢相応のもがきというか真摯な心の動きが丁寧に書き込まれていた。
狩野さんの長文は初めて読んだが、流れるように書き込んだのかな、
なかなかドライブ感があり、
周囲の人たちとともに、いまを生きている臨場感が熱く伝わってきた。
生きるってすごいことだね。あきらめずに生きることなんだろうな。
以上、主観的な第一印象でした。ご本人が読んだら恥ずかしくてヤでしょうけれど。
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