ポニョ

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レイトショーで「崖の上のポニョ」を観た。

矢野顕子の声、に驚いた。

沖縄あたりの透明度が高い海を潜っているような感触で観た。
古代魚が至近距離をゆったり泳いでいる。
海中に沈んだ道路や、揺らぐ木や草が海面からよく見える。
よく描きこまれているおかげで、ありえないようなこともごく自然に感じられ、共有体験できる。
本当に不思議な映画だった。
月が近づいてきて大きく見えすぎるのも、
突然、戦時中みたいなトーンが混ざるのも違和感がなく、
とてつもなくスケールの大きな映画だと感じた。

あちらとこちらと、いろんな世界を
自由に行き来するファンタジー。

素直に楽しめばいいのだろうけれど、勝手ながら、
これまでの作品にないほど色濃く死生観が込められてるいるような気がした。
宮崎駿さん自身の生と死、亡くなったお母さんに再会したい願い、
亡くなっていった人への沈魂歌・・・、
死後の世界は案外近くにあるし、そう悪くない、
もうすぐ死ぬ人も、遺される人も恐れることはないというメッセージ色を感じた。

スーザン・バーレイ「わすれられないおくりもの」を読み返したくなるような。

ラジオで、とあるタレントが「あれは丹波哲郎ですよ。『大霊界』ですね」と話していたので、
いろいろな観方ができる作品なのだろう。

やたらポジティブなポニョ、山口智子そっくりのリサは、ほとばしる「生」のイメージだった。

寝る前、文藝春秋で戸塚洋二さんの記録を読んだ。

「がんを告白し逝った科学者が遺した感動の記録
あと三ヵ月 死への準備日誌
「悟りとはいかなる場合も平気で生きることだ」

データ主義の科学者であっても、自分の身にいつ何が起こるのか不安を抱え、
痛みや投薬による副作用、死が怖くてならないと怯えた。
どう考えれば、その恐怖と向かい合えるのか
ご自身の思いつきについて、具体的に紹介していた。
悶え苦しむ姿をきちんと残していくのが、自分が生きてきた証しでもあったのだろう。

夫人の記録も紹介されていた。いつもは「パソコンを用意して」と言われるのに「パソコンしまって」と言われてはっとした。それから数日後、戸塚さんは亡くなるのだ。

この時期、夏の疲れが体に蓄積しつつあるようだ。
食べて、読んで、眠って、なんとか乗り越えていかないと。
まだ生きてる者たちは。

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コメント(4)

海ねこさん こんばんは♪

今ここに来てびっくり!海ねこさんは昨日『崖の上のポニョ』を見にいかれたのですか?

実は私は今日見に行って来たばかりなのです。どこで上映されているのかと思っていたら、いつも通っている朗読教室のすぐ近くにありました。教室への通り道の河原町三条にありました。

メルヘン的な内容を予測して見にいったら、違っていました。

海ねこさんが、余りに的確に表現されていたのでビックリです。!!

以下引用させて下さい。

☆素直に楽しめばいいのだろうけれど、勝手ながら、
これまでの作品にないほど色濃く死生観が込められてるいるような気がした。
宮崎駿さん自身の生と死、亡くなったお母さんに再会したい願い、
亡くなっていった人への沈魂歌・・・、
死後の世界は案外近くにあるし、そう悪くない、
もうすぐ死ぬ人も、遺される人も恐れることはないというメッセージ色を感じた。☆

私も上記に海ねこさんが書かれていたことと、余りにも同じ感想を抱いてしまったので書かせて頂きました。

本当に素敵なスケールの大きな作品でした。

暑い暑い京都の夏にも、少しづつ秋の気配が感じられるようになりました。

☆まだ生きている者達の、しなければならないことへの多さにちょっと焦りも(^^ゞ

こんにちは~。書き込み、ありがとうございます。
私が観たのは20日。1日違いでしょうか。本当によかったですよね。
ご感想を読み返しながら、また映画を見直したくなりました。観る人それぞれ、どこかしらに共感できるような、奥深さのある作品なのでしょうね。
いつも好奇心いっぱい、積極的に行動し続けていらっしゃるakoakoさん。尊敬しております~。お元気でお過ごしくださいね! あ、見習ってもっとマメに美容院にいかなくちゃ、どうしてもカットの間隔があいてしまうものですから(笑)。

先日はどうもでした(笑)。
ポニョ、ご覧になってたんですね。言って下されば良かったのに~。

あたしもこの映画大好きです!
宮崎作品の中でもマイベスト3には入るでしょう♪(ハウルは観てないんですけど・汗)

夏休みの時期に、子供が多いシネコン系の映画館で観たせいかもしれませんが、いつにも増して(…汗)すっかり子供になりきって観ちゃったせいか、不思議楽しい「お話」っていう印象です。

…でも、個人的には、「ラブストーリー」ですね。

観る前におさかなポニョの不細工かわいらしさにやられ、期待を膨らまし、いろいろ予備知識を仕入れて観てしまったせいか、
もの凄い直球ストレートな「ラブストーリー」として観てしまいました。

そして思ったこと。
「羨ましい」。

素直になれるところと、受け入れてもらえることが。

あたしもポニョみたいに、思いっきり素直に生きたいなぁ。

もう充分だ!って声があちこちから聞こえてきそうですが(痛笑)。

先日はどうもー(笑)。そうかー、観てたんですね。そうとわかれば、話せばよかったー。
実は、OさんやRさんとまだ三人だった時間に「どっか行った?」と聞かれたので「ポニョ観にいきました」って話したの。でも、関心があまりないようだったので。
なるほど、そういう観方もできるんですね。確かに微塵も揺らぐことなく、思いっきり素直に生きられるポニョはすごいですね。受け入れてもらえるところ、とかね。そういえば、リサも自然に受け入れてたね。
宗助もすごいね、あのポニョを相手に、ちっとも揺らがず受け入れるものね。
いろいろな人が、いろいろな観方ができる作品っていいですよね。ポニョ、また観たくなってきました。また飲みましょう!(笑)

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