今宵、ディナー

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連日の酷暑ですが、いかがお過ごしでしょうか。

連れが忙しいため、我が家の夏休みは11月ごろまでお預けになりそう。
日当たりだけは良い家でスキャナー作業・入力作業をしていると、
頭痛がしてくる。すわ、熱中症かと、あわてて冷房を入れて、
冷えすぎるのはまた苦手なのでじきスイッチを消して・・・の繰り返し。
のどが痛くなりそうで、急いで漢方を飲んだり、
この夏、無事に乗り切れるのでしょうか。

T書店さんから、切手5円時代の古いハガキで残暑見舞いが届く。
ありがとうございます。

これから受注作業をして、夜は連れ・同業仲間らとNEGI邸へ。
休みが欲しいけれど、なかなかそうはいきそうにないので、
ここ数日「今いちばんの楽しみだね」と連れとも言っていたのだ。
NEGIさん、結構大変そうだが、大丈夫だろうか。
参加メンバーらとともに、NEGIさんも楽しく飲み食いできるといいのだけれど。

読了本
●男の隠れ家を持ってみた(北尾トロ・新潮文庫)
「本の家」でご本人からじきじきに購入させていただきました。
ずっと読んでみたかったので。

馴染みのない土地を選んで、アパートを借りてみた。
唐突とも、バラエティー番組の企画のようにも思えるが、
思いつきに至った動機はというと、結構マジメなのだ。
北尾トロというペンネームのときと、本名の自分とのギャップ。
本名の自分は、いじいじ、くよくよすることも多いし、どんより暗い面もある。
本名のぼくがどんな人間なのか、把握した上で付き合っている人があるのか。
父親が亡くなった年齢まで生きてきてしまったが、はたして今の自分でいいのか。

いざ新たな土地に部屋を借りてはみたものの、
ゼロから人間関係を築き上げていく難しさ!
「ぼくがギャップを感じている北尾トロとの関係についても
若干の気持ちの変化がある」

面白くて一気に読めるけれども、どこか文学的なんだな。

●アンのゆりかご 村岡花子の生涯(村岡恵理・マガジンハウス)
村岡花子というと、何よりも「多作」のイメージだった。
少年少女向けの古書を扱っていると、
本当にあちらこちらで村岡さんの名前を目にするので。

実際、生涯の大半、仕事・仕事で過ごしてきた人だが、
彼女にそうさせた環境、時代背景、思いはどうだったのか。
執筆者は、お孫さんの恵理さん。身内が書いた主観的な文章かというイメージはじき覆される。
歴史背景、事実関係をきちんと調べた労作。だからこそ、説得力のあるノンフィクションとして読ませる。

花子は家庭環境に恵まれたとは言えず、
自身が築き上げた家族・親族をとても大事にしていた。
とともに、同時代に生きる女性、子どもたちへの思いも深い。
親子揃って楽しめる家庭文学が日本にないことを嘆き、
英米文学、カナダ文学を翻訳して紹介しようと夢見る。

学生時代の恩師らの教え、譲り受けた洋書を大事に持ち続けた。
持っているだけで「非国民」呼ばわりの時代に、である。
大森に居を構え、蔵書があるのでどこにも行けず、執筆し続けた。
夫と娘(第一子をなくし、妹の子・みどりを「娘」として育てた)の寝ていた隣室に、
また、あるときは庭に焼夷弾が!
そんななか、空襲の警報サイレンが鳴るぎりぎりまで
翻訳し続けて、やがて世に送り出したのが「赤毛のアン」だったのである。
その後、幼くして病気で亡くなった子どもの名前をつけた「道雄文庫」、
みどりの名前から「みどり文庫」を開設し、
日本でもっとも初期の「家庭文庫」の先駆けになったこと。
先生のお考えは私とまったく一緒です、と、
編集者時代の石井桃子から手紙が届いたこと。
文庫の手伝いを頼んでいた学生が、渡辺茂男であること。

出てくる人物がすごいのだ。
柳原白蓮、吉屋信子、林芙美子、宇野千代、市川房枝、片山廣子・・。
いろいろ読みたくなってくる。
時間がいくらあっても足りないな。
「赤毛のアン記念館・村岡花子文庫」へ行ってみたくなった。

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