2008年6月アーカイブ

本日6月30日、倉庫の移転作業が無事終了。
こんなにも本が増えたのかと驚愕しつつ、
通常の梱包・発送を休まないように少しずつ順を追って移動させていきました。
そのため時間はかかりましたが、なんとか完了!
やり終えた安堵からぱーっと旨いものを飲み食いしたい気分です(って、それはいつもなんですが)。

軒先のツバメは6羽のうち、本日おそらく3羽ほど巣立ちました。
尾がまだ燕尾型になっていないため、電線でじーっとしていると雀みたいです。
飛び交う姿を眺めつつ、今日ももちろん梱包・発送は通常どおり行っておりました。
とりたて野菜をたくさん送ってもらったので、
今夜は野菜料理を作る予定。
きりっと辛口の白ワインを買いにいってこようかな。
新着本の更新がなかなかできませんでしたが、徐々に再開させたいと思います。

ブログもなかなか書けずにいました。目録を送ってもらってもなかなか紹介できず、御送付くださったお店の方、申し訳ないです。
移動途中ほか、村上春樹を久々に読み返しておりました。
お客様から教えていただいたものも、あれこれ読んでおりました。
そして、岡崎武志さん・山本善行さんの
「古本屋めぐりが楽しくなる 新・文學入門」を面白く読みました。
構成・編集が凝っていて感心しました。
限られた時間でよくぞこれほどの本を作れたものです。
お二人の語り口があまりにも魅力的で、
一息に読み進めるのが惜しい、でも、読んでしまいたい
ーーうれしい悩みでした。
岡崎さん、山本さん、工作舎・石原さん、
装丁・澄子さん、皆さん良い作品をありがとうございます!
海ねこももうちょっとなんとかしていきたいものです。
今夜は、しばし気分転換させてもらいますわ。では。

締切仕事があるため、市場に行けるかどうかの瀬戸際。

それでも、お客様からメールをいただき、ご指摘いただいたのを機に、
とあるシリーズのページ数についてあれこれ調べる。

そうなのかあ、
60年代に出版された版と70年代に出版された版とで
ページ数が同じ本と、違う本とがあるのかあ。

あちらこちらの図書館やデータベースを検索してみると、
同じシリーズの本であっても、巻によってページ数が同じ場合と、60年代の同時期に出たどうしでもページ数が違う場合がある??? 何がどう違うのか???

こういうことを調べていると、いくら時間があっても足りないのだが、
もっとも面白い部分でもある。当時の作り手たちの思いまで感じ取れるかも、とは言い過ぎだろうか。

図書館の館員、古書店関係、、、時間がなくて調べるところまで手がまわらない場合も多いのだが、
実はお客様がいちばんよくご存じでいらっしゃる。
お客様から教えていただくことは本当に多い。

買取に来るようにとお呼びくださったとある蒐集家は
書庫を見せてくださって、いろいろ教えてくださった。
お好きで、同じ本であっても何冊も何種類も見比べている人だからこそわかることがたくさんあるのだ。教えてくださるお客様に、どのようにしたら何かしらお返ししていけるのだろうか。

実店舗にこだわっているN堂さん、どうしてだろうとずーっと思っていたのだが、
やはりお客様とのやりとりを大事にしている様子。

さて、ささっと締切仕事を進めて今日こそ市場に行きたい。
たくさん古書を見ていくしか、覚える方法ってないんだろうなあと。
目で見て、話を聞いて、自分の専門分野のことを覚えていくしかないんだろうなあ。
古書市場で値段が高い本ばかり扱っていると利益を出すのが難しいし、
いつどうなるかわからなくなるため、ついついあれこれやりたくなる。
だけど、お客様とお話ができるようになるためには、あまり間口を広げすぎないほうがいいかもと思う。
遠い道である。遠いけれども、ぷらぷら歩くのが楽しい道でありますように。

34店の共同古書目録「月曜倶楽部」完成しました。

●月の輪書林

●ほん吉

●新日本書籍

●小川書店

●にわとり文庫

●九蓬書店

●聖智文庫

●小野田書房

●古書明日

●四季書林

●ハーフノート・ブックス

●石田書房

●玄書房

●二朗書房

●夢の絵本堂

●百年

●玉晴

●流浪堂

●文雅新泉堂

●二の橋書店

●Paradis(パラディ)

●九曜書房

●音羽館

●虔十書林

●ささま書店

●喇嘛舎

●がらんどう

●カスミ書房

●りぶる・りべろ

●松雲堂書店

●古本 海ねこ

●花鳥風月

●徳尾書店

●なないろ文庫ふしぎ堂

店名は、目録に掲載されている順番どおりです。これだけの店が良書をご用意しておりますので、何かしらお目にとまるものがあるのではないかと。皆様、ぜひぜひよろしくお願いいたします。

海ねこはとにかく文字が小さく、読みにくくて申し訳ないです。そのかわり、といってはなんですが、毎回そうしているとおり、ほぼ全点の書影をホームページに掲載予定。

吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケット、倉庫の引っ越し、HPへのご注文の対応、梱包・発送その他が重なり、しっちゃかめっちゃかですが、ようやくほぼ半分、スキャナーの作業が終わりました。

ところが、ホームページへの更新作業が、なぜかなぜなんだか、うまくできません。昨夜、できていたところまでとりいそぎアップしたのですが、いったん削除して、新たに更新しなおそうと試みました。ところが、あえなく、すべて削除したままになってしまいました。自力では原因がわかりませんので、電脳担当の帰りを待って確認したいと思います。当店HPのトップに書き込みをしようとしたところ、それも一切できなくなってしまいました。当方HPのトップからご覧になる方には、こちらをのぞいていただくのも難しい場合もあるかとは存じますが、念のため、こちらに書き込みました。ご不便をおかけいたします。

「吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケット」、現在開催中。
第4週の我らがチームは、ちょうど10店。
毎日1~2店+アルファーが店番を担当しております。

海ねこは、本日7日(土曜)、店番を担当。

張り切りすぎて、開店時間より1時間早く(!)到着してしまいました。

「張り切りすぎて」というのはまあ冗談混じりで、
どちらかというと「遅れてはいけないと緊張して」なんですが。
というか、当方、事前にたくさん用意したつもりだったのに
補充分の本がまったくなかったため、本日、追加分を車で搬入。
車で会場に近寄るためには、人出が少ない朝か夜のみ可能なのです。
それぐらい、日中、吉祥寺の中心地は人・人・人。人の波なのであります。

開店までの1時間、店の前で値札はりに打ち込みました。
初日、2日めの自店売上を見たらかなりショボボボボーンだったので、
追加分は思い切って安く安ーく! 値札つけ。(ネット部門用には別の本を用意してありますので、遠方の方、ご来場になれない方、どうかご安心ください)

催事(古書展)に慣れている店には失笑ものだと思いますが、
当方、まったく慣れていないため、
相場より安く売る勇気が欠如しております、いや、欠如しておりました。

本日は、えいやっと安く安ーく値段をつけました。そして、こまめに整理を重ね、本を入れ替えたり、面出しなど陳列を工夫してみる。
好天の週末ということが大きいと思いますが、初日、2日めのほぼ3倍近い売り上げに。
(ちなみに、今日の売上が良いというよりは、
初日、2日めがショボボボボーンすぎるという意味。はじめからもっと良いものをもっと安く出せれば問題なしなのですが、ダメなんです、苦手なんです)

催事(古書展)の現場で売れた経験がほとんどないので、
自分の中では、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけではありますが希望を持つことができました。
一歩前進、私の中では大きな一歩なのです。

苦手苦手と避けて通ってばかりいると、いつまでたっても慣れられない
=ずーっと苦手なまま、の悪循環かと少々、感じております。

でもまあ、数字的なことより何よりも良かったのは、
自分の店の本を手にとってくださったお客様にお会いできましたこと。
海ねこの本を手にした方に向かって、帳場のカウンターごしに
心の中で「ありがとうございますー!」と静かに歓喜のオタケビをあげておりました。
ふだんネットでの販売+年何度かの共同目録しか体験しておりませんので、
こういう感じの方が、こういう本を買ってくださるのだ、と
リアルな体験を重ねる歓びやいかに、でございます。

ご来場くださいました方々、ありがとうございました!

新婚のYさん、結婚式以来、久々にお目にかかれまして、うれしゅうございました。
元我堂の店舗「その後」が気になっていただけに、ちょこっとでもどうなるのかお聞きしまして、
ずいぶん安堵しました。

Kさーん、まさかお目にかかれると思っておりませんでした。
何かのおついでかとは存じますが、足を伸ばしていただき、うれしい驚きでした。
早く倉庫の引っ越しを穏便に進行させまして、Kさんのご蔵書を拝見させていただきたいです。今後ともご指導ください。

Iさん、Mちん、お礼を言い足りなかったかも、すんません。結構な頂き物に、印刷物に、感謝の極みです。
おふたりの存在そのものに、いつも元気を分けていただく思いです。
次回は神保町、でかな?

また、以前の古書展の最中、声をおかけいただいたのが、先にあげましたKさんとお知り合いになったきっかけだったわけですが。本日、別のお客様から「HP、見てます」とおっしゃっていただき、
探究書と買取のご相談をいただきました。なんと、近頃とんと見かけなくなったあの本を2冊ずつお持ちとのこと。
声をおかけいただいたのは、店をやっていく上で、とても大きな励みになりました。
今の店のやりかたであっても、もしかしましたら、
どこかしら気に入っていただけそうな部分があるのかしらんと
楽観的に考えてしまいたくなります。
日ごろ、自信喪失のミルフィーユ状態ですので、
誠に勝手ではありますがミルフィーユにともるロウソク、
暗闇を照らす一筋の明かりのように受け止めさせていただきました。

Kさんのときと一緒で、催事に参加していなかったらお声をおかけいただく機会はないままだったのでしょうか。今後ともよろしくお願いいたします。

実家が近いので老親も、そして、届けものにきた家族も来場。

Sさん&Iさん、せっかくの作品なのに駆けつけられず残念。許しておくんなさい。

一緒に店番をしましたY堂さん、バイトのTくん、ありがとうございました。

主催者の方、一緒にイベントに参加しました同業諸氏、ありがとうございます(まだ終わってないが)。

先輩・O舎さんからも賛同いただいたのですが、
どこの店のどんな本を、どんな人が買うのか目の当たりにして、
とても勉強になりました。
どこの店がどんな本を出品していて、どのように陳列しているのか、
どのように値段をつけて、どのように販売しているのか、
すべてが勉強材料だと痛感しました。

催事に対する苦手意識ばかりでしたが、
苦手なことに背を向けて逃げ続けているよりも、
ときには、アグレッシブに正面から抱きついていったほうが案外、気持ちがいいかもと思いました。

で、夏、お誘いいただいているイベントも、
以前でしたらまったく勇気が出なかったはずですが、
前向きに考えてみようかなあと思っております。

いくつになっても新たな体験というのはできるのだなあ。
面白く感じられることってあるんだなあ。
人生に退屈してしまう必要はないのかも。
何度でも再生可能なのか。←どんどん大袈裟になりますが。
ちなみに、ハイすぎて変だとお感じかもしれませんが、まだ呑んでないッス。

股旅堂さんから買わせてもらったものが、
帰宅後、我が家のねこらにバカ受けでした。
木の玉に顔が描いてあって、鈴がついたやつ。
ニャアニャア(←ねこらより。ねこ語で「股旅ニャーン、ありがとニャーン」と言っております。
わかりやすく通訳しますと「股旅さーん、ありがとうございますー」)。

さあ、これからホームグラウンドのネット部門に舞い戻ります。催事が祭事であるとしましたら、ネット部門がやはり本職、大事な日常生活であります。
本日ご注文をいただいた本を、今から探しに倉庫に出かけてまいります。
(眠いですがナニクソ、ファイト~! でございます)
メールの対応が遅れている方、少々お待ちください。

当方の在庫は、今現在は大部分、かねてより利用の倉庫に納めております。
今月中に少しずつ段階を追って引っ越しを予定。
市場も休みぎみで無念ですが、当面やむなしです。
家族の力を借りられる週末しか、書棚を組み立てる、
書棚や床板を移動させるなど大仕事がはかどらないため、
限られた時間内にいろいろ進めないとなりません。
日曜がふさがるのは実はひじょうにきつく、しかも引っ越しのどさくさで、あら、オークションに持参する予定だった品々は一体どこへ???

ちなみに、オークションは14時~、16時~の2回。天才フリ師・なないろ田村さんの名口上に触れる好機。いかなる古書が登場しますか、乞うご期待。

「吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケット」はまだまだ続きます。
あ、Fさん、水曜、搬出予定でしたが、
所用のため水曜、会場に行けないかも。またメールしますが、とりいそぎお知らせまで。

今後とも、海ねこ、そして、古本屋をどうぞよろしくお願いいたします。

marketamimono.jpg marketballet.jpg marketkantanfuku.jpg marketmarie01.jpg marketmarie02.jpg

吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケット、いよいよ最終週です。

日々、値札はりにいそしみました。ガブリエル・バンサン、ピーター・シスほか某出版社のほぼ新品同様といってもいいぐらい状態がいい絵本、頑張って、ほぼ半額以下で出品しました。海ねこお客様が引っ越しのためお譲りくださったかなりの量の本も、ご紹介させていただきましたよ。

搬入日である本日も、ぎりぎりまで値札はりにいそしんでおりました。はあはあ。軽自動車に積めるだけ積み込みましたよ、たったひとり、女の細腕で、実は細くないが(笑)。吉祥寺の一方通行だらけの道に苦心しながら、そして、縦列駐車がうまくできなくて運転をかわってもらったりしながら(涙)。なんとか無事、搬入してきました。完了時間、なんと23時とか、もっとかな。

さて、明日5日(木曜)から11日(水曜)の参加者は、つわもの揃いです(海ねこ以外)。

時間は11時半から20時。

参加店は、りぶる・りべろ、ポラン書房、書肆ひぐらし、がらんどう、船越書房、高村書店、アート文庫、東京書房、股旅堂、古本 海ねこ。ゲスト参加=なないろ文庫!

(追記。「船越書房」さんのことをうっかり「船越書店」と書きましたが、検索で確かめましたところ「船越書房」さんが正しいようです。失礼しました! にわとり文庫さーん、ブログに書いてくださって感謝です。もしも、この記事をご覧になりましたら、「船越書店」ではなく「船越書房」と、ご訂正をお願いいたします)

先ほど21時20分ごろでしょうか? 搬入しにいったら東京書房さんに言われました。
「なんかね、うちと海ねこさん、外みたいですよ~」と。
えーーー、聞いてないよーーーー!
でも、そうらしいです。いろいろお世話になっている一方ですので、
世話役の方に文句を言える筋合いでもありません。
かつて、店頭まで使っておおいに稼いだNという店がありますが、うーん、あやかりたいものです。

4日夜は自分のところの搬入・陳列をしなければならず、他店の本までよく見られませんでしたが、
ぱっと見、とても面白そうでしたー。もっとゆっくり見たかったです。

海ねこは土曜日に店番でございます。
土曜、ご来場の折は、ぜひぜひお気軽にお声をおかけください。
ネット古書店の弱み=ぜひお話をしたいのでございます。

なお、日曜は、14時~ 16時~ 各店が腕によりをかけて用意した品のオークションがあるそうでございます。これも、見に行かねば。

しっかし、店番以外の最中、雨が降ったら、どうしようかな。
準備に結構時間がかかったのですが、持っていった本が雨に濡れたらどうしよう? 悲しすぎます。濡れないよう店番の人が気をつけてくれるのでしょうか、どうかお願いしますよ、店番の方々。

濡れる前に売れてくれば言うことなしですが、雨が降るたび、店番の人の携帯はなんだっけと気にかけねばならんのでしょうか?
ドキドキでございます。

気にしつつも、
今月中に倉庫の引っ越しをしなければ、6月7日ごろまでに月曜倶楽部の画像をアップしなければ。
ああ、発送と受注がたまってしまった。お待ちいただいている方、申し訳ありません。

やはり、諸事情により、古本マーケットのことばかり考えているわけにもいかず。次、次、次といかねばならぬーーではありますが。

うむむう、いずれの仕事に就いたところで、やはり、この時代、逃れられないのでしょうか。

いずれにしても吉祥寺は、古書店あり、雑貨店あり、うまい飲食店あり、良いところです。
吉祥寺で生まれ育った私が言うので間違いなし。ぜひご来場くださいまし。

岡崎武志さんとハイキング企画は、悪天候のため頓挫。
ですが、急きょ「吉祥寺 古本屋めぐり&飲み会」に変更しました。
吉祥寺の古書店&古本マーケット、それぞれ頑張っていました。

飲み会、楽しかったですねえ。弟がやっているバーにまでお付き合いいただき、
ご参加の方、本当にありがとうございました。
くつろいだ私たちの様子に、弟もおそらく本心より喜んでいたと思います。

近くの居酒屋にご案内して、あれ、まるで弟のバーに誘導したかのよう?
どこかの国の悪徳ドライバーみたいと思ったようでしたらゴメンナサイ。
あの居酒屋を提案したのは、私でなく、何度も行っている連れなんです。落ち着けない店は好きじゃないんで、私たち。ただ、山形料理は旨いけれど味が濃いめ。薄味好きのT書店さん、ごめんなさいね。言い訳がましい? Sちゃん、お酒つくって会計までやってくれて感謝です。Sさん、忙しいところ駆けつけてくださって盛り上がりました。Kさん、参加ありがとうね!

はじめ、岡崎さんと一緒に歩くというだけで緊張がちだった
一同でしたが、お酒が入ったら大丈夫。
あの話題、この話題、本当に楽しかったです。時間を忘れました。

岡崎さんが話していたなかで、とりわけ印象的だったこと。
作家、ライター、装丁家などなど、ものづくりをする人は
それぞれ、自分がつくったものがどのように受け止められたか気にかけている。
感想を知りたがっているんじゃないかと。「自分も気をつけようと思っている。「ありがとう」の言葉を忘れないようにしないと」と岡崎さん。しみじみした良い話。

そんなことも聞きましたし、6月1日、「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下室の古書展」会場に行きたくても行けなかった方も大勢いらっしゃると思います。何かのご参考になれば、と、書きます。
参加者のひとりは、こんなふうに感じましたというご報告です。

「吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケット」の値札貼りをしなければと思いつつ、
やっぱり聞いておこうと、トークショーの時間にあわせて足を運んできました。
まずは、入口で案内役として立ち働く西秋さんに挨拶。
すでにトークショーの開始時間まで僅かしかなく、2階「佐野繁次郎の装幀モダニズム展」をぱーっと拝見。黒岩さんもちょうどご来場、真剣にご覧になっていました。

サノシゲの装丁本は1冊でも存在感ありありですが、
あれだけまとまった量、一堂に会した光景は、やはり圧巻というべきか。
「1つテーマの本で会場が埋め尽くされると、否応無くオーラを発し始める。
まして今回は一人の画家・装幀家。よくもこれだけの仕事をしたなあと思うと同時に、よく集めたなあと感心します」
(「本の街だより」より)とありましたが、まさに「オーラを発し」ていましたよ。「よくもこれだけの仕事を」「よく集めたなあ」・・・・・・まったく同感。
正面のガラスケースの中に「銀座百点」の表紙と裏表紙を広げて多数展示してあり、
ガラスケースの向こう側、壁にも「銀座百点」がたくさん。奥行きを感じさせる、立体的な展示方法が面白い。

強く印象に残ったのは、装丁の画稿。
広告に文字を使うときはニセ文字みたいなものを使わず、必ず私の文字を使うこと、など走り書きの指示あり。
編集者、印刷所に渡す際の「指定」(注意書き)を読むのが好きです、私。
サノシゲの心のつぶやき、そして、生の声まで聞こえてくるかのようでした。
展示された300冊弱は、すべて?西村義孝さんが蒐集してきたものばかり。
前日に、林哲夫さん、西村さん、西秋さんらでああでもないこうでもないといいながら展示したそう。

UBC会場を一瞬のぞき、目にとまった本を7冊、購入。「トークショーへの最後のエレベーターになりまーす」という中野さんの声にはっとして、急いで7階会議室へのエレベーターに乗りこむ。おお、受付は旅猫さんにアベ母さん、久々ー、こんにちはー。
5分ほど遅刻しました。導入部を聞くことができず後悔。
会場には、見知った顔が大勢。昨夜一緒だった人の多くがいたので、内心にっこり。

林さんのお話、リュックの中にあるはずのボールペンが見当たらず、ガサガサ音をたててもまずかろうとメモをとれず。短めですみません。ほかの方もブログに書くと思いますので、おまかせします。
なお、私のメモには間違いも多々あるかと。できれば雰囲気だけ汲んでいただけたらと。
たかがブログでも、いったんネットにのせてしまうと実際の発言と相違があった場合、だれかに引用されたりすると訂正が追いつかない。ご本人にも、読んだ人にもご迷惑がかからないかどうか躊躇しつつ。裏をとらずネットにのせていいものかどうか不安に思いつつ。
本当はご本人が書いたものを読む、ご本人が話すのを直接聞くのがいちばんいいとは思うのですが。

●13時からの「モダニスト佐野繁次郎の装幀について+佐野本の集め方」
(林哲夫+西村義孝)

林さんのゆったりした話し言葉が、昨晩、耳にしていた岡崎さんの話し方、イントネーションと
似ているなあと、ヘンなことに感心しながら聞きました。

だれが見ても佐野繁次郎のものとわかる特色のある字、
赤や青など特徴的な色づかい(紺色の和服地のような柄をあわせたコラージュ)は
どういった背景から生まれたものなのか、どのような影響を受けたものなのか。
林さんは、あくまで「こじつけ」「推測の域ではあるんですが」
など断りつつ、独自の解釈でわかりやすく解説。
生家が船場の墨問屋だったこと、
浄瑠璃本からの影響、装丁本の数々など、多数の画像をスライドで見せながら説明してくださいました。とことんお調べになったことに、林さんならではの見解を加えていらした。どこまでが裏をとったもので、どこからが林さんのおっしゃるところの「こじつけ」であるか、きちんと解説。当時の大阪の写真、現在の写真を見せてくださり、タイム・トリップするような感覚を味わう。

休憩をはさんで、ようやくボールペンを探しあて、以下はメモをもとに。
とたんにだらだら長くなります、あしからず。

西村義孝氏へ30の質問ということで、
林さんとの掛け合いがナイス・コンビ。林さんの穏やかな突っ込みに笑う。
西村さんは44歳の会社員で、6月8日に誕生日を迎えるそう。
小学校のころから、野球選手の色紙、スナック菓子のカードなど、蒐集好きだったこと。
はじめはテレビ番組の影響で、辻静雄の本を蒐集。雑誌を見て、辻静雄が吉田健一に関心を持っていることを知り、吉田健一本のコレクターになったのだとか。さらに、sumusに掲載されていた林さんの記事を見て「佐野繁次郎? 辻静雄の本だったら自分も持っている」と気付いたのが、佐野繁次郎コレクションの始まり? テレビや雑誌がきっかけだったり、始まりは私たちと案外一緒なんだ、と親しみを覚える。
マンションの3畳ぐらいの納戸みたいな「本部屋」に
入るだけ本を入れてある。「2000冊ぐらいかな?」

基本は「リストを用意する」(某近代文学館の場合「装丁」の項目で装丁家を検索可能。古書展に向かう電車の中でリストを眺めて、探したい本を頭にインプットする)
「ネットで検索する」(新しく入力されたもののみ検索できるか、新しく更新されたものが上に来るのかどうか、「スーパー源氏」「日本の古本屋」など、それぞれ異なる)
「歩きまわる」「土曜は古書展へ通う」(三十代のころは高円寺、神保町、五反田とハシゴしていたそう。食事はコンビニで買ったものを駅のホームで電車の待ち時間に食べる)
「書影を覚える」(吉田健一の本を入れてある書棚を、歯磨きをしながら見ていたら
自然と背表紙を覚えて、古書展などでも「あ、これ!」と探せるようになったとか)
7-8割まではひとりで集めてから、自分の目で追えなくなったとき初めて懇意の古書店に「集めてます」と言う。
「集めてます」と言うことによるデメリットもあれば、メリットも。落丁がないか1冊1冊、中ページをきちんと確認している古書店から「中に写真が入っています」と連絡をもらえたり、吉田健一の場合だと「市場に色紙が出ましたよ。ほかの店にいっちゃった」など情報をもらえるなど。

そして、
「持っていない本、リストにのっていなかった本を探せたときがいちばんうれしい」とのこと。

どうしても欲しいものが出てきてしまったときは、
かつて蒐集していた別の何かを売ってお金を作る。付加価値をつけるため行動するなど、具体的な話もあり、まるで古書店どうしの会話を聞いているかのよう(笑)。

「月曜から金曜、飲み会に行かないのが資金づくりのコツ」とのことでした。
しかし、管理職になったことだし、残業代がつかないうえ、
歓送迎会など避けるわけにもいかないし、とか。
家族の理解を得るための秘訣、ふたりのお子さんたちへの影響など、面白い話がたくさん。
林さんとご一緒に、ぜひまた何かおつくりになっていただきたい。さらなる展示含め、次なる展開が楽しみです。

●16時からの「編集者 国木田独歩と謎の女写真師」
(黒岩比佐子)

村井玄斎のことを調べるとき、文学館に通って
ほとんど誰の手にもとられぬまま長年、箱に詰めてあった300箱分の書簡すべてを読んで準備。
トークショーの間、笑いながら「かなり大変でした」「結構大変だったんですけど」を連発していた黒岩さん。
「調べても調べても探しあてられないときのほうがむしろ多いんです」「時間をかけてもダメなときのほうが多いんですね」と穏やかに、しかし何度も話していました。
黒岩さんの取材術、とでも言いたいような、興味深い内容でした。

昨年末「編集者・国木田独歩」(角川選書)を上梓された黒岩さんですが、
調べていく過程で何があったか、ウラ話的なエピソードをたくさん聞くことができました。

詳しくは黒岩さんの著書を読んでいただくとして、
本書で明らかになった「女写真師」とは誰なのか、本名はなんというのか。
国木田独歩夫人の書いた小説から「女写真師・梅ちゃんって誰だろう」と思ったのがきっかけ。
国会図書館に通ってマイクロフイルムを見ながら、愛媛の新聞に写真館の広告が掲載されていないか探していった。
マイクロフィルムを見ていると吐き気がして、実際トイレに駆け込んで吐いたこともあった。
あまりにも効率が悪く、その方法はじき諦めざるを得なかった。

あてのないまま、必死に考えて、あれやこれやの手で探し続けて、
しかし、なんの反応がないまま何か月も過ぎていくばかり。
ご友人の助けによって、スクラップブックを目にしたところから本名を知ることになった。
その日にちまで鮮明に覚えているそうです。

スクラップブックで見かけた記事から、黒岩さんは、女性のための写真学校が実に早い時期からあったことを知る。明治ですよ、明治?年。
それも、写真専門学校の中では、ふたつめにできた学校なのだという。
男女席を同じうせず、の時代ですが、女性向きに写真の技術を教える学校があったとは驚きだ。
しかしながら、実際のところ、女性の入学希望者は二人しか現れず、
そのうちの一人は、記事に名前さえ出ていなかった。
もう一人は成績優秀で、国木田独歩の独歩社?に入ったという記録があった。
記事の主眼は別件だったため、フルネームが実にさりげなく、さらりと書いてあったのだという。

たまたま苗字が珍しかったため、とある県の電話帳を調べたら1軒だけ掲載されていた。住所も書いてあった。手紙を書くか、電話をかけるか。
電話をかけたとして、一体どう話すのか。知らない人からいきなり電話がかかってきて「おばあ様が女写真師ではなかったでしょうか」など唐突に聞かれたら驚かれるだけ。では、どのように考えて、どのように行動していったのか。
臨場感あふれる説明に、思わず一緒に探しあてていくかのような気分になる。
構成を工夫しながら、わかりやすく丁寧に解説していくあたり、黒岩さんの文章を読んでいるときとよく似た印象。

ついにご遺族と電話で話をすることができ、出張して、ご遺族と話すことができた。
女写真師はその後、結婚して一般家庭に入り、北京?出張などもして、
男児ふたりの子宝に恵まれた。ただ、ふたりはすでにこの世の人ではなく、
実際に会うことができたのは、"女写真師"のお孫さん。
ついに「おばあさんは実はカメラマンだったと教えてくれた叔父がいた」という証言を得る。

"女写真師"がいた証拠として、グラフ誌のイラストをスライドで示され、ぐっと説得力が増す。
また、ご遺族の提供による女写真師の写真が、ひとりの女性が確かに生きていたのだと訴えてくる。ぐっとこみあげるものがあった。

女性報道写真家の先駆けである、一女性への共感。時代的背景への考察。
諦めてしまわずに、とことん考え抜いて、あの手この手で探し続けていく根性。いやいや、あっぱれでありますよ。黒岩さん、素敵すぎます。

ただし、この写真家について調べたり、お孫さんに会いに行ったり時間をかけたにも関わらず、本では3ページしか書けず。珍しい苗字であったがため、どうにかこうにか探し当てることができたのだが、逆に特定されやすいため、ご遺族のプライバシーに配慮してのことだという。

「だれも知らないことを調べて調べてわかる喜びは、ほかのものに代え難い。お金には代えられない。だからこそ、ファーストフードでアルバイトしたほうがお金もずっとたくさんもらえると思うのですが、私には今のこの方法しか考えられないんですね。
これからも古書会館に通い続けると思います。アンダーグラウンド・ブック・カフェということですが、私にはアンダーグラウンドではなく天国です」とシメの言葉を。
1時間半の予定が、黒岩さんはまだまだ話したいことがたくさんあったようですし、会場も質問したいことが尽きず、2時間以上に及んだ。
黒岩さん、関係者の皆様、ありがとうございました。

トークショーに参加したかったので、あまり話ができず、
ごめんなさいね、海ねこ千葉支部(?)・Fさん。
1センチ浮いている話などもっと話をしたかった。いろいろ聞きたかった。
それでも、お会いすることができまして本当にうれしかったです。
ここまで書いたところでメール拝受しました。Fさん、ありがとうございます。この場を借りてお礼をば。

さて、アンダーグラウンド・ブック・カフェはまだまだ続きます。3日(火曜)まで。
海ねこは、吉祥寺ごちゃまぜ古本マーケットの値札貼りがまだ。
水曜搬入のため、もう行きません。残念無念。月曜は発送が多いことですし、仕事します。お待たせしている方のもとへ本を送り出しますよ。水曜夕方から夜、降るな~、晴れろ~。
(UBCも青空の初日で大盛況でしたが、搬入は大変だったそうです。雨を避けて早めに搬入したのだとRさんの話)

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