2005年1月アーカイブ

相変わらず、よそのオンライン書店(新刊・古本とも)で本を買うことが多い日々です。

●値段が良心的
●対応が迅速・丁寧
●対応がハートフル・メールにあたたかみがある

3拍子そろっていて、なんてすばらしい店だろうと思うことは多いです。
本当に本を買うって楽しいです。
これほどすばらしいお店がたくさんあるのだから、
皆様におまかせてしていればいいのではないか、
自分はいいんじゃないかと、ついつい逃げの姿勢に傾きかけそうになることさえあります。
本を売るのは、ときに楽しく、ときに大変。
だから、古本屋(店舗・オンライン古本屋とも)は
やめていくお店が結構少なくないのだと思います。

きのうは、オンラインと店舗で8千冊以上、販売している古本屋を見に行きました。
今日は、他店が1万冊、扱ったという文章を読みました。
どれほど努力されていることでしょう。
おそらく、私たちが想像する10倍、20倍は努力をなさっていることでしょう。
私が真似しようと思ったら、どれほど努力したら、そのようになれるのでしょうか。

私など千冊強の在庫でも、置き場所がなくて悲鳴をあげ、
箱の山だらけで重くてしんどくて泣きそうになり、
買い取り本が思ったほど売れなくて赤字になりそうになり、
新着本の更新に時間がかかって目が痛くて肩凝りがつらくて涙が出そう…。
ちょっと発送が重なると大変でオタオタし、
注文の波が静かになると、とてつもなく不安になり…。
それでも、届いた本をとても喜んでくださるメールをいただいたり、
リピーターの方に何度もご利用いただいたりすると、
頑張ろうと思います。支えていただいております。

店をやっている自分の心のもちようとしては、
少しでも長く続けていこうと思ったら、
とにかく自分が好きだと思える店を作っていくしかないのではないかと思います。
自分が好きな本を集めて皆様に公開して、
自分と趣味が似ている人がときどきのぞきたくなるような場所をこしらえられれば、
それでいいのではないかと。

どだい何千冊、何万冊も扱える店ではなく
利益追求とははなから無縁なのです。
せめて楽しく続けていきたい。
そのためにも、もっと自分が楽しく続けられうように、
自店のカラーをもっと打ち出していきたいと思います。
絵本・児童書など著名な本であっても、
私はできるだけ1冊1冊目を通してみて、
できるだけ本当に好きだと思える本のみを扱っていきたい。
逆にいうと、それほど著名でなくても、自分なりに良いと思える本を
クローズアップして紹介していけたらと。
実際、お客さまから本選びの参考になった、
よさそうな本だと感じたので新刊を人にプレゼントした、
などというありがたいお声をいただくので、私にはそれで充分。
当分はその線で行きたいと思います。
それでついてきてくださる方がいらっしゃるのであれば、
自分とそういった方々のための店でありたいと思います。

万人受けする店にならなくていい。
自分と似た趣味の方がラララーっと立ち寄って
のぞいていってくださるような店になればいいと思います。
そして、ときたまは買ってみようと思う本が見つかって、
ご利用いただければどうにか続けていけると思います。

毎日どんどん50冊も100冊も更新していけば書店として在庫を増やせて、
その中に売れそうな本がたくさんあれば、今よりは利益は出るのかもしれません。
でも、私は変なところで頑固なんです。
時間がかかって1日に2-3冊しか更新できないとしても、
1冊1冊、できるだけ文章をつけて紹介していきたい。
わざわざ文章を書かなくても、買う人は画像だけ見て買うのだから、
画像だけアップすればいいのでは?という声をいただいたこともあります。
本当にそうかもしれません。
でも、自分なりにお薦めできる本をお薦めできるポイントを見つけながら
続けていきたいと思います。
なぜかというと、自分にとっては、それが楽しいから。
自分が楽しいと思えるやり方でやっていきたいのです。
わりと初期のころから他店の方に「よくこんなに文章をつけられますね」と驚かれました
(あきれられただけだと思いますけど。
そんなことするより、データだけ書いて、
どんどん冊数をアップしていったほうが効率がいいですしね)。
でも、一方で、「本の紹介文をていねいに書いているのがいい。
ぜひそのやり方は続けてください」というお声をいただいたこともあります。
賛否両論あるとは思いますが、いずれであれ反応があるということは、
店のカラーであることは確かです。だからこそ、しっかり大事にしていかないと。

他店の方々がつぶやかれているように、私も揺れる連続です。
身近な人間に「グチるな、コボすな」とも言われますが、
他店の日記に苦心している様子が書かれていると、
私もひじょうに参考になるので、ときには書いてもいいでしょうか。
また、このようにときどき意思表明しておかないと、
自分でも何がなんだかわからなくなってしまいそうなので、
ちょっと書いてみました。

こんな不器用なやり方だと、
次第に離れていってしまう人がいるのはいたしかたないことと思います。
そのかわり、また新たなお客様がやってきてくださるかもしれませんし、
商品の構成も少しずつ変わっていく…それでいいのだと思います。
万物流転。すべては移り変わってゆくのです。
限られた生涯ですが、自分が生きているというのは、
自分のやり方を続けていくことだと思うんです。カッコつけていうと。

といいつつも、売り上げが前月より低迷ぎみだと、
もっと売れそうな本をどんどんアップしていかないといけないかな、
皆さんにあきられちゃうかなとアセッたり、まあ揺れる連続ではあるのですけどね。
まあ、ぼちぼちやっていきましょう。

アメリカにリトル・ゴールデン・ブックがあるなら、
日本には岩波書店の「岩波の子どもの本」あり、ですね。

発送しながら「ねずみとおうさま」(昭和28年、昭和42年の13刷)を
ぱらりとめくったら、装丁の素晴らしさに見入ってしましました。
古い版の原弘さんの装丁が大好きです。
カンガルーや鳥、草…。
カバー見返し部分の「よむまえに手をあらってね」のイラストなど。

岩波書店のHPを見ていたら、こんなふうに書いてありました。
岩波書店 岩波の子どもの本

●1953年の創刊当時、「絵本」というと通俗的なイメージが強かったため、
それを避けたくて「岩波の子どもの本」というシリーズ名にしたそうです。

●第二次大戦後の貧しさから抜けだしていなかった時代だったので、
できるかぎり安価な本を作るために、子どもが読むのに手頃で、
紙の使い方としても効率のよい大きさが選ばれたとか。

●50年前は外国の絵本が自由に入手できる時代ではなかったので、
光吉夏弥さんの蔵書を中心に、石井桃子さんをはじめとする編集スタッフが編集。
ラインナップも編集スタッフによるもの。
光吉さんは「ひとまねこざる」シリーズや「ガンビーさんのふなあそび」などの訳者としても
有名ですが、当時は新聞記者、バレエや写真の評論家として活躍していて、
大の絵本コレクターでした。

●本についているカンガルーとゾウのマークは、
カンガルーは、幼児~小学1・2年向き、ゾウは小学3・4年向き。
デザインは原弘(はら・ひろむ)さん。
初期の本は、装丁・題字・見返しなどを原さんに依頼。

こんなに素敵な絵本の装丁をした原弘さんは、どのような人なのでしょうか?
とても気になります。
原弘さんについて知りたい。
原さんは、1930年代に早くも欧米のモダンタイポグラフィに出会って、
日本の戦後デザイン史に多大な足跡を残したグラフィックデザイナー。
川上宗薫さんの著書の装丁なども手がけています。
亡くなって早20年以上になります。

原弘さんのことを知りたいなら、次のような本を読むとよさそうです。

●原弘紙の本 原弘(平凡社 85年 20000円)
●原弘-グラフィック・デザインの源流- 原弘(平凡社 85年 20000円)
●『原弘と「僕達の新活版術」』 (川畑直道著 DNPグラフィックデザイン・アーカイブ 3333円)
●現代日本のブックデザイン-1975―1984- 原弘ほか 編 (講談社 86年 23000円)
●世界のグラフィックデザイン 2   原弘編 (講談社 79年 8500円)
●『装幀時代』臼田捷治著(晶文社 2600円)
  「原弘―戦後モダニズムの集大成」というページがあります。

ーー探せば、まだまだあるかもしれません。
 図書館でも探すことができます。

こんなふうに、自分の好きなものがひとつ見つかると、
芋ヅル式に、興味のあるものがどんどん見つかります。
そして、あれこれ集め始めると、家じゅうが本だらけになっていきます。

そういえば、先日、我が家に来た友人らは、本のすさまじい山やごちゃごちゃの仕事部屋、
書庫を見て、目が点、口あんぐりになっていました。
開架式にして、書庫もかねつつ、月一度でも週一度でも店舗か家庭文庫のように
公開できればいちばんいいのですが…。
せめて開架式にしたいのですが、壁はすでに手持ちの本&本棚で埋まっています。
壁を使えないので、本棚を何本も入れるとなると、
図書室や古本屋のように、本棚をにょきにょき林立させるしかないのかな。
どうしたものかと頭を抱えております。


朝方、暗いうちから仕事に出かけた。
日の当たらない早朝、ビル風がきついところでじっと立って凍えた。
日中、太陽がこうも暖かく照らしてくれるのかと、ありがたみを痛感。
日頃、忘れかけていることって多いですよね。

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