2012年7月アーカイブ

よく覚えている、子どものころの感情がある。

おもちゃ屋で親からそれが欲しいかと聞かれた。
私は本当は、ものすごく欲しかった。
それなのに、素直に「欲しい」と言えなかった。
子どもながらにプライドなのか何の感情かわからないが、
何かがジャマして、欲しいと言い出せなかった。
そして、親から買ってもらえず、泣くに泣けず、
その感情をひとりひきずっていた記憶がある。
三人の子育てで忙殺されていた母親が、私が迷っている渦中、
返答を催促して「これこれでしょ」と勝手に決めつけるのもイヤだった。
「そっちじゃないほう」と言えたらいいのに、言えずにいるのが常だったのだ。
欲しいのに欲しいと言い出せずにいる、
そのときの気持ちを大人になった今でも覚えている。
あれは、一体なんだったのだろうか。

自分のせいで、目録の集書に苦心しているというのに、
それをブログに書いたため、
お世話になっているお客様にご心配いただいた。
そして、本を譲りますといろいろご提案くださった方には、
こちらの事情からあまり良い返事をできず、
もしや傷つけてしまったのではないかと気に掛けている。

そして、別のお客様には、
いるともいらないともハッキリ言えなかったため、
あたたかいご注意のお言葉をいただいた。
たぶん現物を見たら、「これはいります」「これはいりません」と
即座に申し上げられたと思う。
こちらの知識が浅かったため、そのものを見たことがなく、
文章を見ただけで現物を想像しきれず、「いります」と即座に断言できなかったのが
いけなかった。
しかも、その方が本当は持っておきたいのに
無理して「譲ってあげましょう」と言わせてしまったのではないかと
あれこれ考えすぎて、かえって迷惑をかけてしまった。

どちらの方も、こちらのことを思いやってくださったのは
よくわかっている。
人の好意を素直に受け入れられたらいいのに、どうしてできないのか。
もう、なんでこんな面倒な性格なのだろうかと思う。

やはり、何か譲ってくださいと言いたくても言えずにいた人に、
このたびは遠慮ばかりしているのもかえっておかしいかと、
つい先日、勇気をふるってお願いしたのだった。
そのときは、あまりご期待いただけないと思うとの返事だった。
当然である。
そして、まったく期待などしないでいたのだが、
先ほど、思いもよらず、1箱、お送りいただいてしまった。

なんやかや、ややこしい性格なのに、
それでも好意を向けてくださる方に、
どう恩返ししていけばいいのだろうかと思う。

目録づくりに邁進できずにいる今の自分の精神状況であるが、
お世話になっている方のためにも、
もっとなんとかしなければと思うばかりです。

ややこしいことを抜きにして、ニコニコ笑顔でいられたら
どんなにいいだろう。
爽やかに笑顔で「お願いします! ぜひ譲ってください!」
「ありがとうございます!」と。
人はそういう人のもとに集まるだろうに、
私は、自分のややこしさをこういうところに書いて、
一体何をしたいのだろうか。

目録次号のもっともっと、なんとか手を入れるべき部分。
●初山、武井武雄
●幼年画報
●コドモアサヒ
●パリからの洋書、ロシアの絵本
●未入力の雑誌

私という個人が作っているのでパーソナルなものなのかもしれないが、
先人の偉業から何かをお借りして、
愛書家、古書店が引き継いできた本・資料を紹介して
どなたかに橋渡ししていく仕事なので、
なかばパブリックなもの、それが古書目録と思う。
なので、こんなこと秘することもないと考えます。
あれこれ言い訳せずに発行しろよとも思いつつ、
悶々としているさまを見せるのも、
誰かにとって(反面教師的な)何かのお役に立てたらいいのですが・・・。

集書に苦心しているとブログに書いて、
お付き合いさせていただいているお客様から本を何かお譲りいただきましょうとご提案いただく。
そして、大事なお客様を困らせてしまう。
なんという甘えっぷりだろうか。

製作中の目録の構成をわかっているのは私だけである。
見えないものと見えないものの間に橋をかけ、何とかつなげていくような作業であり、
作っている人にしかわからない。
ただただ並べているだけだろうと思われるかもしれないが、
たとえば時代順に並べていくだけでも、
コツコツ並べながら見えてくるものもある。

そういうものをしっかり伝えきれるのかどうか。
お客様から譲っていただいた古書、主が亡くなって古書市場に出てくる古書たち、、、、
活かしきれているのか自問自答の繰り返し。

自家目録を出すたび、質が落ちていく店が多い、といわれる。
せっかく始めても2~3号でやめてしまう店が多い、といわれる。

同じジャンルであっても、ご覧になるお客様によって
どこのどの部分が欲しいのか、まったく異なる。
ひとりでも多くの方に「お!」と思って、大事なお金を払おうと思っていただくためには、
そう簡単にはいくまいよ。
ああ、もっともっと古書市場に通わねばなるまいよ。
えびなさんも、石神井さんも、私が尊敬する店主さんは本当にコツコツ市場に通って
それはもう目を皿のようにしてあれこれ探しているのである。

そうして、闇に葬られていきそうな紙の山からすくいあげられるものも多いのだ。
先人たちの生きてきた証しを、これはよし、これはダメと選んでいかねばならないのだ。

もっと自覚せねばと思う。

昨夜、受注本を探しに事務所へ立ち寄ったら、
月の輪書林さんからの封書がポストに入っていた。
月の輪さんがお持ちだった、某店の目録を譲ってもらったのだった。
月の輪さんの手紙に、目録次号、そして、次々号への思いが
さらりと書かれていた。さらり、とだが、薄く軽く「さらり」でないことは自明である。
いただいた目録と、月の輪さんのメモに
頬をひっぱたかれたような気がした。

北條さん、岡崎さんに「ついにリアル店舗を始めた」みたいなことを書いていただき、
ご紹介くださったお気持ち、大変嬉しく、ありがたく受け止めております。
ただ、自分のブログには書いてきたつもりですが、
今のところ、海ねこは、ほかの何より目録に注力していきたいのです。
そうしていかないと、これまで目録を出すたびお買い上げくださる方々に申し訳がたちません。
ときどき、現物をご覧になりたいとご希望なさる方がいらっしゃいますので、
アパートを借りて倉庫という展開のままでなく、
なんとか接客スペースがある事務所をこしらえたかったです。
過去の目録掲載本がしまってあるようなバックヤードがある。
PCで検索すれば、何がどこにあるか、わかるようにしてある。
そのようにして何かご覧になりたいというご希望があれば、いつでも何か奥からお出しできるようにしたかった。
ついでに何かお好きなものをお探しになっていただけたらと、店頭に
ちょっとした古書店ふうの棚を設けました。

そんないきさつでしたので、こんなにパパっとこしらえただけで
「リアル店舗」というには、あまりにもお恥ずかしい話です。
日々、真剣に「リアル店舗」を続けようと全力を注いで邁進している方に申し訳ないぐらいです。
わざわざ、その店に人に来ていただく、足を運んでいただくというのは大変なことです。
そんな簡単に、魅力的な店舗を展開できるとは、いくらバカでも
そこまで甘いことは考えておりません、ゆめゆめ考えてはいけないと思っております。

音羽館・廣瀬さんの努力を見よ、ささまの優秀な店員らの博識ぶりを見よ。

このブログをお読みいただくかもしれませんので、とりいそぎ。
月の輪さん、お客様のE様、T様、厚く御礼申し上げます。また、ご連絡申し上げます。

京王線・調布駅から徒歩6分ほどの場所に、小さな事務所を構えました。
とても小さいうえ、まだまだ未整理ではありますが、昨日7月4日より、ご予約いただきご来訪可能となりつつあります。

積極的に宣伝していないにもかかわらず、ぽちぽちとご予約をいただき、ありがたい限りです。
昨日、ちょっとお話させていただいたなかにも、ほーっと勉強になることがありました。ありがとうございます。
今日は「日本の古本屋に載っていた本、線引きがあるとあったのだけど、現物を見てみたいので伺います」という方がお立ち寄りくださるそうです。
来週は出版社の方が資料探しに足を伸ばしてくださるとのこと。
昨日感じたのですが、狭い割に奥行きがありますので、さほど息苦しくなく、割合お気軽に本をご覧いただけるかもしれません。
某店のように積極的に本をご紹介してバンバン買っていただくような力は私にはありません。それに、自分自身、お客として店に行くときはそっとしておいてほしいほうなので、自分からあれこれご提案することはあまりしないと思います。
ただ、お探しの本、ご相談などがあります場合、表に出していないものも多数ございますし、お気軽に話しかけていただけましたら、お力になれる場合があるやもしれません。
また、大部分の商品に値段はすでにつけてはあるのですが(一部除く)、恐縮ながら、値札はりをしていないもの、まだまだ多数です。お尋ねいただけましたらお答えできますので、そして、ネット価格より(梱包の手間がいりません分)ちょっと割引させていただきます。

なかなか掲載できずに恐縮でしたが、写真を何点か。夜、iPhoneでパチパチ撮ったスナップ的なものばかり。あまりにもスナップ的すぎて、しかも、暗くて失礼します。
ああ、旅猫さんのように、きれいな写真だったら良かったのに。
画像は、いずれもクリックしていただきますと、ボケますが大きくなります。

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↑オープニング記念として、「中尾彰 装丁本ミニミニ展」を開催中。文字どおり"ミニミニ"ではありますが、中尾彰の本をまとめて見られる機会はめったにないのでは、と思います。
当方在庫分で、挿絵のみ担当している分はリストにしてありますので、ご希望いただけましたらバックヤードからお探しできるかもしれません。
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↑創元社 世界少年少女文学全集 第一部 45巻に掲載された画稿
石井桃子さんの「山のねこ、トム」(「山のトムさん」)のイラストを中尾彰が担当。
入稿時、編集者が書き込んだと思われる指定あともそのまま残っています。

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↑洋書絵本
英語圏の本、ドイツの本、フランスの本、チェコ・東欧の本、ロシアの本など、たくさんあります。
お手軽に洋書に親しんでいただきたく、1000円均一の棚をもうけました。
目録に掲載した本も、これから持っていこうと思っております。

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↑ねこ本も、あれこれあります。

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↑一番上にあるのは、戦前の絵雑誌「コドモノヒカリ」表紙絵は中尾彰。下のほうに見えています岩波少年文庫は200円(初版など、発行当初のものは除きます)。

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↑おや、画像ソフトで見ると縦位置の写真なのに、ブログに貼り付けたら横向きになってしまいました。「岩波の子どもの本」最近のもののようにPP加工されていない、カバーつきの在庫、発行当時に近いものから各年代のものが多数ございます。階段下のバックヤードですので、ご覧になりたい方はお声をおかけください。

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↑昭和20年代? 子ども向けの茶碗「子供茶碗」もあります。

mt-chawan02.JPG

↑こぶりで、絵柄も可愛らしい。連れの実家・岐阜県土岐市、多治見あたりでコレクターの展示を見たことがあり、ぐっときました。それ以来、ちょっとずつ蒐集してきたうちの一部です。

では、事務所につきまして、再びインフォメーションを。

●アクセス
調布駅まで新宿駅から特急で15分弱(特急・準特急に乗れば、明大前の次が調布駅。ちょっと待ってでも特急・準特急に乗るのがオススメ)、神保町から直通の急行もあり約30-40分ほど。
JR中央線・三鷹、吉祥寺 南口から調布駅まで、バス便あり(とりわけ日曜は渋滞するので、吉祥寺より三鷹からのほうがオススメです)。
また、成田空港ー調布駅、羽田空港ー調布駅の直通リムジンバスもご利用になれます。
お車の場合、中央高速・調布ICから近くです。

Umi-neko Bookstore    Umi-neko means fryling cats.
Rare&Out of print Children's Books 
1920's-1970's
About 6 miniutes walk from Chofu-station in Tokyo,Japan
Diretctly bus from Haneda Airport and Narita Airport to Chofu-station
From tuesday to thursday,saturday,sunday  12-21(Appointment Only)
Please make a reservation  by e-mail.

ご予約可能な曜日・時間帯
ときどき家人に手伝ってはもらっておりますが、古書店のほぼ全作業を店主ひとりで行っておりますし、目録製作のための入力、古書市場通い、日々の梱包・発送などもあります。恐縮ながら、ご予約制とさせていただきます。
月曜・金曜を除きます日の昼以降、21時頃まで。
事前にメールtomobash@parkcity.ne.jp、または、ハガキ(〒181-0015 三鷹市大沢4-17-13 古本 海ねこ)でご予約をお願い申し上げます。できましたら、ご希望の候補日・時間帯を2-3あげていただけますと確実かと存じます。
セールス電話、夜間の間違い電話が多いため、ご予約いただきました時点で、電話での連絡先はご案内申し上げます。

●事務所の場所

↑クリックしていただきますと、地図をご覧になれます。

角にローソンがあります。

●駐車場
お車の場合、徒歩1~2分ほどの場所に
えの木駐車場(30分 200円 できるだけ北側に駐車しますと、歩いて北側から出られますので至近距離です。調布パルコで1500円以上お買い上げで1時間無料)
パルコ駐車場(1時間まで600円、以降30分までごとに300円 調布パルコで1500円以上お買い上げで1時間無料)
がございます。

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