2004年7月アーカイブ


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絵本 ニャーンといったのはだーれ ステーエフの絵本 
ステーエフ文・絵 西郷 竹彦・訳

偕成社 69年 96年の改定版22刷 

こいぬが寝ていると、だれかがニャーンといったような気がしました。
しかし、あたりを見回してもだれもいません。
あちこち探し回っても、だれもいません。
おんどりに「きみかい、ニャーンといったのは?」と訪ねても答えは「いいや、いわないね…」。
それでもニャーンといったような気がして、ハチに、カエルに、魚に、
「きみかい、ニャーンといったのは?」と聞いて回りますが…。

オリジナルは、モスクワで66年に出版された絵本。
ユーモラスな絵柄とお話で、大人も子どもも楽しい気分にさせてくれます。

ステーエフは、1924年、映画大学の装飾芸術科で学んだあと、
あちこちの映画製作所で、画家・監督として子どものための動画を作りました。
第2次大戦後、国立児童図書出版所に入って、
今日まで絵本画家・絵本作家として活躍しています。
ハードカバー 26ページ。サイズ26センチ×21センチ

海ねこ価格 800円


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洋書絵本 CATS(ねこって?)Matthew Kalmenoff
NY Maxton Publishing Corporation 1957年 

The American Museum Of Natural Historyのスタッフが協力。
Junior Natural History Magazineの編集者Marion Carrによる文章で、
次のようなことが紹介されています。
室内飼いのねこは、とてもフレンドリーであること。きれい好きな動物であること。
親しみやすい友達であること。田舎に住むねこのこと。ねこの歴史。
母ねこと子ねこの親密さ。子猫が遊びが大好きなわけ。うさぎや犬と仲良しのねこ。
ねこを飼うためのちょっとしたコツ。水道の蛇口で水を飲むねこ。ねこの着地。
シャムねこ、アビシニアン、ブラックペルシャねこ、アンゴラ…などなど。
ねこのことがいっぱいかかれています。

Matthew Kalmenoffの手による絵が、各ページに1~3カットずつ入っています。
今にも動き出しそうなねこがいっぱい! とても古い絵本ですが、
そのわりに状態はまあまあです。ハードカバー サイズ26センチ×18センチ

海ねこ価格 2000円

「芸術新潮 ロシア絵本のすばらしき世界」(発売中)にひきつけられ、
待ちに待った「幻のロシア絵本1920-30年代展」
東京での初日に早速、行ってきました。
場所は、目黒の東京都庭園美術館
想像以上に、大盛況でしたね。

庭園美術館の建物は、昭和8年に建てられた元・朝香宮邸あと。
庭園、アールデコ様式の建築、広い書斎に広い風呂場、
高い天井、壁のレリーフ、さまざまな様式のガラス、
一室ごとに異なる照明など、いずれもすばらしい。
館員さんの椅子も味気ない間に合わせでなく、ちょっとデコラティブでした。

作品を保護するため、照明は全体的に暗め。
これが絵本にマッチしていて、居心地良い雰囲気をかもしだしていました。

私が生まれたころ亡くなったウラジーミル・レーベジェフ(1891ー1967)、
ウラジーミル・コナシェーヴィチ(1888-1963)、
エウゲーニ・チャルーシン(1901-1965。この人の動物の絵、
ぜひごらんいただきたいです)ら大勢の作家の絵本たち…。
粗末ともいえるような紙に刷られて、
ホッチキスでとめただけのペラペラの小冊子ですが、
それがまた良いのです。
鮮やかな色なのに全体的にくすんだ感じがキッチュで可愛い。
絵本の原点、絵本のココロ、ここにあり!?
なんともいえず好みでした!

絵本の構成としては、
ロシア革命を経て1920年ー30年代、画家や詩人たちが
おもしろいものを生み出そうとした心意気がほとばしる感じ。
ユニークな物語の展開、斬新なグラフィックの手法など、
子供の心を持った大人たちが腕によりをかけて生み出したさまが
時代をこえて伝わってきて。時間を忘れるほど、のめりこみました。

会場には、画家の吉原治良(1905-1872)の遺したロシア絵本を中心に、
日本国内の貴重なコレクション約250冊が集められていました。
吉原治良は、友人がモスクワで目にした絵本に触発されたそう。
1932年(昭和7年)、当時の日本では例を見ないおしゃれな絵本
「スイゾクカン」(展示にあり)を出版します。
ほかに、ロシア絵本を蒐集し、影響を受け、子供之友などで紹介した
画家・柳瀬正夢、原弘らの蔵書も。
「遺品にロシア絵本15冊が含まれていた」なんていう説明を読むと、
しばし考えさせられましたね。
人はなぜ本を蒐集し、所有したがるのでしょう。
亡くなってから、このように蔵書が日の目を見る人は、本当に一握りなんだろうなー。

ところで、1920ー30年代の絵本ばかりでなく、
戦時下、戦後の絵本も展示されていました。
紙やインクが減って本のサイズが小型化していき豆本になっていくさま。
ロシアは他民族国家ですから、文字が読めない人をも対象に、
絵本が政府のプロパガンダとして使われました。
スターリン時代に拘留されたり、自殺した画家も少なくなかったようです。
また、1920年ー30年代に自由闊達に絵本を作っていた画家が
戦後、画風がまったく変わったことにもびっくり。
誰もが社会、歴史、土壌と無関係には生きられない。
ロシアの画家・詩人たちも同じだったのです。
なんだか、やるせない気持ちにもなりました。

蛇足ながら、本当に広いお屋敷でしたので、
雅子様のお住いは、もっともっと広い豪邸なんだろうなと。
あんなに広い家で暮らすというのはどんな気分なのでしょう。
ふらりとお茶しにいったり、
本屋に出かけることもできないでしょうし、
おつらいだろうなあと胸がつまりそうでした。

帰りに立ち寄った渋谷のブックカフェ
「Flying Books」
がまた、行って正解。
詩集や洋書が多く、滞在時間は長くなる一方。
良い本が多いので、ついつい買い込んで…。

絵本展の目録や復刻本とあわせて、
本日の本代10冊、15200円。ああ、働かなくては…。

↓ 「サーカス」1925年 マルシャーク(詩)レーベジェフ(絵)
会場では、厳選した10冊の復刻本の販売も(淡交社)。
通常は分売不可ですが、会場でのみバラ売り。
この「サーカス」を含め数冊、購入しました。

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