ちょっと動くか動かないのか、考え中

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買取で何度もお世話になっている方にお声をかけていただき、
昨日、八王子へ。
雨が上がって、雪帽子を抱いた富士山がきれいに見えました。

いつも勉強させていただいている有難いお客様。
その方の言葉で初めて気づいたことがありました。
「2003年に始めたなら、もう10年ですか? 10年目に入ったんですね」と言われたのです。
自分ではまったく気づかず。ご指摘いただき、初めてそうなのかと気づきました。

10年目、、、、ですか。まだ10年目ともいえるし、もう10年目ともいえる。
いずれにしても、すでに9年やってきたのですね、古書店業を。
9年続けても、まだまだ、ぜんぜん・・・ですね。お客様と昨日会話していても、全集の名前や作家名がスムーズに口から出てこない。口から出てきたと思っても、すぐ間違えてしまう。
あれほど目録やネットで紹介しているのに、全集や作家名など、ふだん人と会話する機会がないためか失語症のような。本当に、9年やってきたのだろうか、と自分でも思う。あまりに情けない、、、。もうちょっと何とかしないとヤバイんじゃないだろうか。

何人もそういう人を知っていますが、話術や人柄で人を引きつけ本を売るような店に、うちはなれません。私のような人間は、ただただ、自分が信じているような良い本の力を借りるしかなくて。お金をかけるのであれば、家賃や人件費などでなく、とにかく仕入れにかけたい。何より、良い本を増やすことに力を注ぎたい、とずっと考えて、やってきたー実際そうしてきたつもりです。前号目録、欧州で集めてきた本をご覧いただいてもおわかりいただけるかしらん、と思うのですが。

「(1箇所にとどまらないで)動いていったほうがいいと思うよ」と
いうのは、先輩書店 R舎の言葉なのですが、
もしかしたら、ここらでちょっと動くかもしれません。

ちょっとだけ・・・。

これまで何度も何度も、店舗物件を借りようかどうしようかという機会はあったのですが、
そのたび実らなかったのだけど、、、。

あるときは、父親が地図を突如探し出してきて猛反対し始めました。周囲より海抜が低く、そこだけ窪地になっている、大雨のとき水没の危険があると。区のハザードマップを見て怖くなり、契約直前だったのにやめざるをえなくなり(あのとき迷惑をおかけした方、今でも申し訳なく思っております)。

あるときは、別物件で、過去に哀しい事件が起きたとわかり、断念せざるをえなかったり。

仙川の物件も、かなり本気で考えたものでした。

神保町の物件を借りようかと思ったとき。今日こそ不動産屋に正式申し込みをと思っていたそのとき、東日本大震災が起こりました。2011年3月11日のことでした。
神保町の物件のときは、相談してみたものの、先輩書店らに賛成してもらえず。駅近だったのですが、2階、なにしろ狭い狭い物件だったのです。
先輩たちの反対理由、その筆頭は「本の置き場所が(倉庫・自宅・店舗と)何カ所かに分散することになるよね。それだと在庫管理しにくくなる」というもの。ほかに「ものすごくうまく買わせようとする猛者が買取してくれと、次々、本を持ってくるよ。あなた、ちゃんと対応できるのかな」と釘をさされて、ちょっと自信持てず、というのもあった。

店舗をやれば、お客様が来てくださるなどとは考えていない。金曜にも神保町のとある店で「ずっと目録でなんとかカバーしてきたけど、外国文学はキビシイ。最近は大学も買ってくれないし。経費を考えると毎日コンスタントに3万ずつ売っていかないといけないんですけど、毎日3万ですよ。毎日って、そう簡単じゃないですよ。完全に赤字です。市場で仕入れることもできない」と言われたばかり。
目録中心にやっていくスタイルが自分に合っていると、今は考えている。
だから、今のスタイルはあまり変えたくない。だけど、現物をご覧になりたい人のために、その気になったらお手にとっていただける事務所あるいは店舗のようなスタイルには近付けたい。
営業するとしても週末ぐらい、あとはアポイントメント・オンリーになると思う。だから、家賃はさほどかけられないのです。今回、内覧している物件、そういう使い方に割合マッチングする。路面店の1階だけど階段5段のぼらないと入れない。わかる人にはわかる、行きたい人は行ける、ぐらいの場所が、うちのような専門店には合っていると思う。多少手をかければ割とすぐ使えそうだし、間取りが案外使いやすい。家賃もちょっと予算オーバーだけど、ものすごく無理しなければならないほどではない。一緒に内覧して「案外よさそうじゃない?」と聞いたら、いつも反対する連れが今回は否定しないのだ。

いずれにしても、自分が借りるなら、古書市場に近い神保町か、あるいは自宅そばと考えてきた。
まさにその自宅そば、のほう。今よりずっとずっと駅近く。ひょんなことから、希望に近い物件があることに気づいた、というわけです。今借りている倉庫の契約更新が5月末に迫っているし。さて、それでどうしようと。

倉庫に詰めたままの本、放っておくとどんどん詰めて、そのままになってしまう。
一度、別の場所に入れ直して、余分なものは処分&必要な本にきちんと棚番号などふりあてて探し当てられるようにして収納し直さないと、と常々感じてきた。そのためには、引っ越しが最適と思われる。
昨日、再び内覧にいきました。倉庫に置いている書棚と同じサイズの新聞紙を置いて、うちの書棚がとりあえずすべて納まるであろうことも確認ズミ。
年とったせいか、性格のせいか、移動することが億劫だ。今のままでも悪くはないのだ。ううん、面倒で仕方ない。エネルギーがしぼみぎみ。
ともすると、今のままでいいよ、やめよう、となりそうでもある。だけど、やるなら、体と気力があるうちのほうがいいかもしれない。

候補となっている物件、長所もあるが、短所もいくつかある。道幅が狭く交通量が多いため、すぐ前に車をつけにくい(搬入搬出をしにくい。今現在、入力ズミの本は、歩いて1分の倉庫へ持っていけば済んだ。もし引っ越したら、自宅から徒歩15分ほどのそこへ本を持っていくだけでも案外大変そう。近くにコインパーキングはあるのだが、なにせ車を前に数分程度しかとめておけそうにないので、基本、いちいち歩いて持っていくしかない。たくさん歩けて運動になっていい、と考えるしかない)。
充分な広さがない(ぎりぎり、今の在庫分を納められるぐらいの面積)。通気がどうだろうか(きのう、窓をすべて開け放って観察した。どうしても空気が回らない箇所があるが、エアコンか扇風機でなんとかするしかないだろう)。
引っ越すとなったら、たぶん1か月は準備が必要。目録の発行が遅れます。とあるイベント参加も難しくなるかもしれない(金曜、とある人にそう告げたら「えーーっ、海ねこさんやらないなら僕もやらないよ。海ねこさん"緩衝材"なんだからやってよ、やってよー」と言われた。えーーっは、こっちの台詞ですよ。緩衝材ってなんだよ、いじりやすい便利なヤツとしか思われてないなあ。うううん)。

自分のことを、いつも思いつきばかりでエイヤっと行動してしまう自己中心的、非常に衝動的な人間、と思っていたのですが、最近なんか違うかもと。ずいぶん迷ってばかりの人間なんだなあと、最近は思う。そして、人目ばかり気にして、主体性がないよなあ案外、というのが自己評価です。
まだ何も決まってないのに、あーあ、書いてしまった。古書店を始めた頃も、組合に入るかどうか迷ってる頃も、ここには書いてきました。古書店としての自分をこの場をお借りして記録し続けているつもり。ときどき、古書店をやりたかったのか、あるいは、「古書店をやってみる自分」をやりたかったのか、あるいは、「古書店をやってみる自分」を記録したかったのかと考えることがあります。

まあ、いずれにしても行動しながら考えていく以外できないので。

さて、どうしようかなあ。どうなるのかなあ。

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