リクエストをいただきましたので、画像をこちらにアップしておきます。
昭和21年11月、宮島書店より発行。
ホッチキス綴じのいわゆる「ペラペラ本」です。
B5 20ページ 当時の定価9円
画像で見ると、かなり立派なものを想像されるかもしれません。
しかしながら、現物は、いってみれば薄っぺらで、かなりちっぽけです。
戦後、それまでにこらえており、
溢れんばかりのエネルギーを爆発せんとばかり、
たくさんの絵雑誌が発行されました。その勢いは、まさに「雨後の筍」の如しでした。
紙不足の折、たとえ粗末な紙であっても確保するのが、それぞれ精一杯だったようです。
文章には、何十年もかけ、なんとか美しいバラの花を咲かせようとした人の心が綴られ、
初山滋の思いが紙面いっぱいに描かれています。
発行から65年を経た今日、なかなか見かけない本となりました。
おそらく当時の発行部数もさほど多くなかったのでは?
もともとの紙質が良くないですから、
ヤケも背スレ、ホッチキス錆もあります。それでもよくぞ残っているものだと思います。
海ねこが古書市場で見たのは、これまでに2度のみです。
きちんと買う古書店があり、きちんと買うお客様がいらっしゃるおかげで、
たとえ造本が粗末であっても、煤けたペラペラの本であっても、大事にされます。
そうして、古書は人の寿命をたやすく乗り越え、時代をまたいで受け継がれていきます。
「少女らよ、うつくしくあれ、
あかきばらの花とさけ、
うつくしきもののいのちは
あめつちのなかにはてなし」(表2の詩より)
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