黒岩比佐子さん、ありがとうございました

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黒岩比佐子さん。
「本の散歩展」でお目にかかるたびーその多くは均一の帳場でしたが、
細い腕に、たくさんたくさん、本を抱え込んでいらっしゃいました。
あまりにたくさんでしたので、お預かりしましょうかというと
「ありがとうございます。本当に(私が買うのは)安いのばっかりで恥ずかしいんですが」と照れくさそうにおっしゃっていました。
お忙しい合間、古書展に行くのがいちばんの喜びといったことを
ブログに書いていらっしゃったので
「ご来場になれて本当に良かったですね」というと、
あの優しい笑顔で、ふんわりと微笑んでいました。

「ありがとうございます。ブログ拝見しています。
海ねこさんのほうこそ、本当に大変ですよね」
だなんて。勿体ないような、思いやり溢れるお言葉をいただきました。
「女子の古本屋」も読んでくださって
「いちばん共感したのは、ライター時代に忙しくて死にそうだったというところです。
同じだなあって」とニッコリ笑っていました。

最後にお目にかかったのは、みちくさ市でしたが、
そのときも「パンとペン、もうすぐです」と発売にこぎ着けたことを嬉しそうに話されました。さらに「いつもブログ読ませていただいて、こちらこそ本当にありがとうございます」
とおっしゃっていただき、ああ、ブログ書いてないなあと
穴に潜り込みたいような心持ちになりました。

たぶん、黒岩さんは、誰に対しても思いやり溢れるお言葉を
向けていらっしゃったことと思います。

強さを優しさをたくさん抱え持っていた人ではないかと、
勝手ながら想像していました。

取材対象に対しても、取材対象のご家族や周囲の方々、
編集者に対しても、きっと同じように接していて、
だからこそ、取材対象を愛し、とことん調べ尽くして、
深みのある本を書き続けていらっしゃったのでしょう。
なんというガッツだったことでしょう。

なぜこれほど哀しいのか・・・。なぜ、皆さん、悲しまれているのか。
売れっ子の美人ライターといえば、嫉妬・やっかみの対象になりがちなのに、
きっと黒岩さんは、多くの方から愛される人でいらしたことと思います。

東京古書会館でのトークショーのあと、
「古書の森 逍遥」(工作舎)に署名をいただき、
「何か言葉を添えていただけませんか」と、お願いしました。
二文字、三文字でも書き添えていただけたらと、うかつにも軽い気持ちでお願いしたのです。
とてもご丁寧に、長い文書を丁寧に丁寧に、几帳面な文字で書いていただき、
病気で大変なときに、かえって体力を使っていただいて・・・と、恐縮してしまいました。

寄せ書きの色紙には、「ブログで黒岩さんの文章を読める幸せ」みたいなことを
乱筆で書き込ませていただきました。
書き続けることが、きっと黒岩さん自身の支えになるのではないかと、
ただただ応援したい一心でした。そして、私は、黒岩さんのブログの文章が大好きです。つらい嘆きも、喜びを綴っている文章も、すべて好きでした。黒岩さんと話をした時間は僅かでしたが、ブログの文章を通じて、黒岩さんをとても近しい存在に勝手に感じていました。

「文章が好きでした」だなんて、過去形で書くのが辛いです。黒岩さんご自身の文章をブログ上で読みたい。もうその日が来ないのかと思うと、身を切られるような思いです。寂しくてなりません。
もっともっと、黒岩さんのお書きになるものを読んでいきたかった、
どんな人をどんなふうに描き出すのか、拝見していきたかったです。
きっと、誰よりもご本人がいちばん、もっと書き続けていたかったでしょうね。

なんとか、自分なりのカタチで、黒岩さんのあとに続かないといけないと思います。
早めに検診を受けて病気に早く気づくことも忘れないようにしないと。

黒岩さん、ありがとうございました。

乱文ですが、とりいそぎ。本日の発送をしにいきます。
生きている人は、なんとか生きていかないといけませんからね。
黒岩さんも、そうニッコリ微笑むことでしょう。(追記 18日、19日にも黒岩さんのこと、書きました。よろしかったら・・・)

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