自家目録2号、牛歩なみに製作進行中

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「自家目録2号」制作中。日々、本と向かい合う。
先日は小山書店の「梟文庫」、おとといあたりから「岩波少年文庫」と取り組んでいる。

すべては流れていく。
流れていくなかにも、自分がとどめておきたいと感じるものを、なんとかつかみとらないと。
なんとか記録して、なんとか伝えられるよう形にしていかないと。

自分が20年以上続けてきた編集・ライター業では、自分のやりかたに限定した話だが、
与えられた枠にはめるものを
望まれる形に近くなるよう懸命に用意して差し出すような形だった。それが当時、自分の仕事だったように思う。

今は、締め切りもなく、指示する編集者もいない。「楽しみにしています」「お待ちしています」というお客様の声は大変有り難く、おおいに励みになるが、期待にこたえられるのかと不安にもなる。第一、目録の製作そのものは、自分で進行させていかないとどうにもならない。誰もとめない。誰も催促しない。自分で進めない限り、何も進まない。進めながらも、そもそも、集書した内容はこれでよかったのだろうか、この構成でよいのか、この紹介、この値段設定でいいのかどうか・・・。

自信の欠片もなく、どこにもベースがない、なんとかあの方に見ていただけるだろうか・・・。何かしら買っていただけるでしょうか・・・。ひとり苦戦したところで、意義あるものなどこしらえられるのか、一人相撲ではないのか・・・。砂上の楼閣を一人遊びでこしらえて崩すのと、どう違うのか・・・? 投げ出したくなる気持ちとのせめぎ合い、あちらにむぎゅーっと押しやりながら。でも、本当は不安だらけだ。

以前、古書店の目録をそういう目で見たことがなかった。

が、今は違う。自家目録をつくっている各店は、こんな思いをしているのかと。「目録を出して注文をいただけるまでは、今回は売れないんじゃないかと不安でならない」と何十年ものベテラン組からも聞く。
月の輪さん、今ごろ、どれほどの思いをされていることでしょうか。
あるいは、あと一息と足取りが軽くなっていらっしゃるころでしょうか。

ウルトラ・ロングランの末、見えてきた光景はいかなるものでしょうか。
「太宰のお墓参りをして、祈願してきたよ」と笑顔で話していたさま、しばしば思い起こされます。
プレッシャーの負荷などものともせず、信念と持久力で発刊にこぎつけてください。
山仲間として、影ながらお祈り申し上げます。

一昨日・昨晩に読んだ「ひとつの時代ー小山書店私史」(小山久二郎)に
脳天を打たれたような思いだ。
戦前・戦時中・戦後の出版事情がよく伝わってきた。
戦前の作家さんたちとの付き合いも興味深く読んだ。
「チャタレイ夫人の恋人」をめぐる裁判でクタクタになっていくさまに、身を切られるようだった。
感受性ゆえ、忘れたくても忘れられない、あるいは捨てたくないさまざまなものを抱えて生きてきた重み。
歴史の流れを考えたら、ひとりの人間なぞ芥子粒ようなものかもしれない(「龍馬伝」)。が、人が生きて、死んでゆくのが、軽いことととは、どうしても思えない。

古書組合 中央線支部の支部報、制作が足踏み状態。
締め切りを2月、3月に設定して、早くに原稿をご執筆いただいた方には申し訳ないばかりです。
ある方からの原稿戻しをお待ちしているのですが、そろそろ様子をうかがいにいってみようか。

早稲田大学で開催中の「チェコ舞台衣裳デッサン展」http://www.waseda.jp/enpaku/special/2010czech.html
好評により23日まで会期延長とのこと。
夕方、歯科検診なので、その前に立ち寄ってみようか。
その前に、原稿戻しいかがでしょうかとおうかがいにいってみようか。
お忙しいのかしらと遠慮するより、顔を見せたほうがよいでしょうか。

そうだ、自家目録2号の表紙、ぼちぼちきちんとお願いするべき時期でした。
人に頼み事をするとき、相手の都合など気にして遠慮ばかりしてしまうが、
(編集・ライター時代はまったく逆でした。なんという力ずくのやり方だったのだろうか、どれほど人に負担をかけていたことかと今は思う。若いころは情熱の証だと思い込んでいた)
もっと堂々とお願いできるようになりたい。人は皆、対等なのだ、怯えるな、怖がるな、遠慮しなくていい場合だってあるさ。

受注・発送、恐縮ですが、少々お待ちくださいませ。

追記 早稲田に出向いた。小さい一室で、まさかイワン・ビリービンだの、ヨゼフ・チャペックによる舞台衣裳デザイン画を見られるとは思わなかった! ビリービンがプラハで「皇帝サルタンの物語」(1935年)の舞台美術を手がけていたとは。ああ、一体どんな舞台だったのだろうか。入場無料。

 

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