「家族」が病気になった(長文)

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ツイッターのTLをうまく追えなくなってきてしまった。

励ましの言葉をくださいました方々、本当にありがとうございました。

どうしたらいいのだろう・・・。

何も手につかない・・・。手をつけられない。

ねこが病気になってしまった。
月曜から激しく吐いて吐いて、食べもせず、水を飲むこともせず。「トイレが汚れていてストレスがたまっているのかな」と家族と話したが、まだ事の重大性に気づかなかった。
火曜、激しい吐き方が尋常でない、ただごとではない、と思い、起きてすぐ
動物病院に連れていく。
以前から食べてはすぐ吐くねこである。ナイロンのトートバッグなど、ざらざらしたものを舐めまくってはしばしば吐いていた。ところが、今回は、苦しそうに吐くさまが一見して尋常でない。苦しげに吐いて吐いて、最後にエエエーッという呻きをあげる。
水入れの器の前でうずくまって、ぼーっとしていたので、
連れていくしかないと思い、気の毒だが後ろからタオルをかぶせて目をふさいだ。
力づくでキャリーバッグに入れようとしたところ、
全身のバネを使うような、力強い抵抗にあった。そのときは力があったのだ。
相性の合わないメス猫がケンカを売ってきて、ふぎゃーっと対抗する力があった。

気が強いが臆病な彼女。
車にのせて、動物病院につれていくまでに
彼女は失禁していた。
よほど怖かったのか。あるいは、起きてすぐでトイレを我慢していたためか。
吐いてばかりいるので、おしっこの濃度が高まっているのか、匂いの強い尿だった。

体重2.9キロ。
獣医師の指導により、胃腸炎の治療をするか、
あるいは何の病気か検査をするか、どちらか選ぶよう言われた。
何も食べられずにいるので、
まずは皮下注射で、胃腸薬、ビタミン、吐き気ドメなどの入った溶液を
体内に入れてもらう。
不慣れな病院行きに怯えきって小さくなっていたが、
家に戻ってきたら、おや、あら、ここは家じゃないの、という感じでボーッっとたたずんだ。

そして、じきにまた、吐いた。
緊張と疲れからすぐ眠るのかと思ったら、なかなか眠らない。
心ここにあらず、という感じでうつらうつらしては、力なく目をあけていた。
自分は梱包・発送作業があったので倉庫へ行って作業をして
忘れかけていた歯科検診に行こうと急いで洗面所で歯を磨いた。
ふと気づいたら足下に「えへ」というような、いたずらっぽい顔でやってきていて、驚いた。
それまでの怯えた顔、三角の目が、ふだんの童女みたいな可愛らしい目になっていた。
が、歯科検診まで時間がなくて、ごめん行ってくるねと相手もできずに家を飛び出した自分。

彼女の名前は「クロッチ」。
飼いねこのうち、いちばん小さい黒ねこ。
メモを確認してみたら
「2003.4末生まれ
2003.5.22 きのうから外で鳴いてたコネコ 苦心して保護 ライオンへ 600グラム 1月?」と書いてあった。
「ライオン」とは動物病院の名だ。

生まれてじき迷いねこになってしまったらしく、
我が家の猫額状の庭のどこかで、大きな大きな声で鳴いていた。
隣の家の二階から、住人の女の子がどこにいるんだろうとキョロキョロ目で探していたほど大きな大きな声だった。
声はすれども姿は見えず。
が、どこかにいるはずと目をこらしていたら、あ、エアコン室外機の上にちょこんと黒い毛玉みたいなものが・・・。あれ、っと思うほど小さい体だった。
小さな小さな黒いねこ、それがクロッチとの出会い。

保護するのはとても大変だったが、その日から
クロッチは我が家の完全室内飼いねこになった。

我が家にはすでに4匹ねこがいたので、
たとえばねこエイズウイルスなど持っていないかどうか、検査結果が出るまで
1階の"本部屋"に隔離して、ケージの中に入れていた。

野良ねこだったらしく、警戒心の塊だった。
あるいは、彼女の気性の激しさからか、
何するんだ、出せ出せとばかり、ケージの中からドンドン体当たりして
ケージの側面に張り付いた。

ケージから出すと、コピー機の下に入り込んだまま、出てこない。
が、遊びが大好きな子猫である。
おもちゃの音がすると、すぐ出てきて、ジャレついて遊ぶようになった。

結局、危険なウイルスは持っていなかったので、おそるおそる、当方のねこらと対面させることにした。
ねこは縄張り意識が大変強い。相性があわないどうしだと大変なことになるのだ。

ついに部屋の扉をあけてみる。
ほかのねこたちが、おそるおそる観察しにきた。
古株の「ふう」という名のメスねこが驚いた顔になり、激しく威嚇した。
クロッチは、まるでそちらの方向にリビングがあり、皆がいるのを知っていたかのように、
一目算に、二階へと階段を駆け上がった。

はじめ、クロちゃんと呼んでいたが、やがて「クロッチちゃん」と呼ぶようになった。
たかが、ねことお思いになる方も多いだろうが、
自分にとっては「家族」である。ほんの小さかったころから知っている。

家族が食べられず飲めず、それどころか激しく嘔吐を繰り返す一方で、
どんどん弱っていくのだ。どんな気持ちか、ご想像のできる方もいらっしゃると思う。
吐いて吐いて、口のまわりに吐いたものがついたままだ。
神経質なねこなのに、もう毛づくろいする元気もないのだろう。
今はもうあまり動けなくなってきている。
水の器の前でずっとうずくまり、長いしっぽが床に力なく落ちていた。

ほかのねこらがスタスタ歩いて、ぴょんっと軽々高いところに飛び乗る。
ほかのねこは生きている。食べて、動いて、エネルギーを放散している。
ところが、クロッチはどうだ。
もはや、同じ生きものと思えない。
彼女は生きているようでも、もしかしたら境目あたりにいるのではないか。

昨日、レントゲン撮影、血液検査をして、白血球やその他の値から
免疫力が上がっていて、免疫が体内でかなり働いていることがわかった。
ウイルス性のものらしい。
コロナウイルスなのか、あるいは、膵炎ではないか、と医師の話。
検査結果が出るまでかなりかかるとのことで、
まずは単純な胃腸炎の治療を徹底定期にしましょうと、6時間ほど入院させ、
点液治療してもらった。
ゲエゲエ吐き続けているので、食道が炎症を起こしているだろうとのことで
経口薬を投与されたらしい。
帰って直ぐ、おそらくその薬だろうと思うが、褐色の液をゲエゲエ吐いた。
残念ながら治療の効果が出ていないようで、その夜もまた何度も吐く。

今日も朝からもう何度もゲエゲエ吐いた。
朝、洗面所でうずくまっていたとき「クロッチ」「クロッチ」と呼びかけたら
こたえたのが唯一の救いだった。奇跡のようだった。
午前は、風呂場のイスのカゲでうずくまったままだった。
先ほどはスピーカー裏で後ろ向きのまま吐いてじっとしていた。
ヒーター前へきてじっとしていたが、目はうつろだった。
水飲みのほうへ行き、水を飲むでもなく、ただ、じっとしていた。
今は、パソコンなどの置いてある部屋に行き、物陰にこもっている。
先ほどもまた激しく吐く音。もう吐くものもあまりないはずなのに。
吐いてばかりでほとんど眠っていないようなので
吐いたままでいい、弱ったままでもいいから、お願いだから、少しでも眠ってほしい。
少しでも体力を回復してくれないと、もっと弱っていく一方だろう。
眠りを彼女に、と祈るような気持ちで、ただ、そっとしておく。

原因はわからないまま、ただただ、何度も吐くばかり。
点滴はしてもらったものの、吐くばかりなので
全身が消耗していて、もうあまり動けないのだ。
物陰に物陰にと行くが、吐く音でどこにいるのかわかる。
何日か前なら軽々すいっと軽い身のこなしで逃げていたはずなのだが、
もうほとんど動けずに、口を半開きにし、吐いたものがヨダレ状に口からぶら下がっている。
気性の激しいコなのだから、なんとか回復するものと思っていたのに、
吐いて、うつろな目でじっとうずくまっている。私は何もしてやることができない。
物陰から出てきたら動物病院につれていくとしても、
原因がまだ判らないため、
また皮下注射か点滴をして水分・栄養補給をしてもらうだけだろうし、
何より、彼女が怯えて消耗するのが眼に見えている。
彼女が言葉を話せるのだとしたら、きっと「どこにも連れていかないで、
そっとしておいてほしい」"Leave me alone."と言うだろう。

もう食べず飲まず4日めになる。
自己治癒力を発揮して治るためには、すでに弱りすぎてはいないか、
と、怖ろしい想像ばかりが頭に浮かぶ。
わずか数日で、まったく違うねこのように弱ってしまっている。

命の存在に、他者は何ができるのか。
無力すぎて、哀しい。

物陰に隠れる名人で、いつもどこにいるのか探せない彼女。
ただ、私が寝る前に風呂に入りにいくと、いつも廊下で待っていた。
そして、階段を駆け上がっては、壁に前足をかけて、立ち上がるようにして
私の手に頭を押し当てて「撫でて撫でて」とばかり甘えてきた。
あのときのあのまんまるい瞳に、また会いたい・・・。

何もできず、そっとしてやることしかできない。
食欲がないが、私は自由に動くことができる。
何も手につかないが、
ともかく、洗濯物を干すことにしようか。
生きている者は生きていかないと。

不慣れな動物病院につれていき怯えさせたくない。
もしも終わりを迎えるなら家で、と思う。
それでも、やはり動物病院で水分・栄養補給しないと、いよいよ時間の問題になってくるだろう。どんなに弱っても、私はまだまだ彼女の命に執着している。
数日でこんなことが起こるなんて、誰に予測がついただろうか。
本当に現実なのだろうか。
自己満足だとしても私は強く、強く、強く、願う。
クロッチ、生きてほしい。垂れ流すような乱文で失礼しました。また吐いている。

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