さて

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10日「だいこんの会」11日「月の湯古本まつり」12日「Open-House-Market.2008.October.」(日月堂)。(残念ながら行けなかったですが、一箱古本市も大盛況だったようでよかったです!)
3日間、さまざまな人と時間をともにして、いま。

えらい早い時間、倒れ込むように就寝したのだが、
蓄積された妙な疲れからか逆に寝付けず。寝付いたと思ったらじき、深夜1時ごろ目が覚める。
しなければいけないことを考え連ねていたら、時間が足りなさすぎるのに気づく。
明日のためにもっと眠らなければと思えば思うほど、もう寝付けない。

とある人を「だいこんの会」にお誘いしたところ、
とても行きたい、三十代だったら行ったと思うけれども、
四十代の今はなかなかそうできない。残念がっていた。
持ち時間を考えると、仕事をするために使いたいのだと。

昨日、「Open-House-Market.2008.October.」で大田区にある某さんのお住まいへ。
まもなく取り壊される"昭和の住空間"で、
あちらこちらから一生懸命にはずしたという金具を前に
「蝶つがい好きなんですよ」と指先で撫でる日月堂さん。
大工さんや建具職人たちの技と粋が凝らされた古きよき時代の痕跡たち。
玄関のドアノブを「これ、いいでしょう。好きなんですよ」と
愛おしそうに見やって
「来ていただいて本当にありがとうございました」と皆を見送ってくれた。
「大盛況でよかったですね」
「肩を撫でおろしてます」

邸宅の主であるご主人もいらっしゃって、とても体格のいい方。
そんなご主人が愛用されていた仕立ての良いコートを連れが買わせていただく。
私は、おそらくオーダーメイドと思われる、軽いカシミアのオーバー、
それから、日月さんのHPにも写真が掲載されていた青いホウロウの鍋を。
すりガラス好きとしては、あれこれ、建具も欲しかった。
棚好き、イス好きなので、本当はどれもこれも欲しい。
が、目に焼き付けて、ぐっと諦める。

昭和初期から家族の変遷にあわせて建て増し、建て増しでしつらえてきた家。
邸宅の主であるご主人、と連れが話をしたところ、
結局、メインテナンスに時間や費用がかかるので取り壊さざるを得ないとのこと。

皆が買っていくさまをソファーでご覧になって、ご主人が淋しいと思われるんじゃないでしょうかと聞いたところ、
「それは大丈夫」と日月さん。
このまま取り壊しになって、建具や家具、さまざまな生活雑貨が消えてしまうよりも、
ひとりでも多くの人の目に焼き付けてもらって、
誰かに役立ててもらったほうがと、ご主人も了解ズミなのだという。

古書店仲間のMCご夫妻、M堂、TO書店、天才「T書店」と居酒屋へ。

古書店勤務歴もあって、ある程度は見て知っているつもりだったのに
古書市場に通ってこんなに知らない古書があるのかと毎回驚くとM堂さん。
まったく同感。

T書店さんが「これはブログに書かないで」「これはブログに書いていいから」と
笑って念押ししながら語る言葉たち。
言の葉が流れていってしまうのが惜しくて、思わず割りばしの袋にメモしてきた
天才の語録。

「やっぱ市場だよ」「買ったものを厭だと思ったことはない」
「市場でだけなの。(古書市場に)入った瞬間から『僕の』世界なの」
「古本って面白いんですよ。でも嫌いなら辞めたほうがいい。怖い世界だから」
「カミさんがニコっと笑った顔が見たいーーこれは書いていい(笑)」
「正直いって褒められたいんですよ」

なんのことだかわからないと思うが、消えていく言の葉たちを
すくいとりたかった。きっとT書店さんなら許してくれるでしょう。そう信じて書く。
なんでもかんでも書きやがってと思っている人もいることと思うが、
ブログにちょこっと書くにも勇気がいる今日この頃。
ネットは怖いんですよ、怯えながら書いているんです。
ネット古書店を続けていいのかどうかさえ迷ってしまうほど、
すごいものだし、怖いものでもある。
怖さをわかったうえで使わなければと思うが、
とどめておきたくなると、つい書いてしまう。
それがまた怖いところでもあり、面白いところでもあり。

それにしても、
T書店さんがそれほどまでに惚れ込んだE書店の目録、見てみたい。
直接、Eさんにお願いしてみようかしらん。本人もすでにお持ちではないかもしれないが。

持ち時間は永遠にあるわけではない。
一生というスパンから見ても、2週間後に控えている本の散歩展までを考えても。
泣いて自働的に事が進むんだったら、いくらでも泣くのに。

ご注文の対応がたまってしまって、胸の内で頭を下げ続ける。
本の状態を確認して、しっかり連絡をしなければ。
月曜倶楽部が完成したので、1-2日かけてでも
書影をスキャナーで書影を読み込んでHPに公開しなくては。
セットものなど実物をご覧になりたい方がいらして、
結構な量なので、いつどこで確認してもらおうかと実は悩んでいる。どうしよう。
あと2週間で、いったい何をどうやっていけばいいのか。
眠っていられなくなってしまった。眠いのに、とても眠くてたまらないのに。
当分は仕事に打ち込むつもり。何から手をつけていっていいのか、ひとつひとつ順にやっていくしかないのだが。
市場に行くか、休んで目下すべき仕事をするべきか迷っていたら意識がさえてしまう。

準備は大変だけれども、大勢の仲間とともにつくりあげ、
大勢の人がやってきてくださる古書展は楽しい。
残ってしまった本を片付けるのは気が重いし、
搬出は大変だけれど。本は重たい。スチール棚も。備品も。
皆で車に積み込んで、運転して店に持ち帰っておろしてもらい、
残った私たちはムトウさん率いる軍団に混ざって
20分、30分、池袋へと練り歩く。雑司ヶ谷の墓地経由。
N書店さんもN文庫さんも一緒だ。
クタクタに疲れたところで皆で飲むビールは旨すぎる。
山ちゃんで真っ先に食べたニラ玉、手羽先。
「おなかがへって食べると本当に旨いね!」「本当にね!」と
苦労をともにした仲間と思いを分かち合える幸福。
同席の皆とむさぼり食べたのは、まだ一昨夜のこと。
ほんのちょっと前なのに、なんだかとても懐かしい。

10日はMさんに経費がかかりすぎていることを気づかされ愕然とし、
SさんからHPのデザイン面で、とあるご提案をいただく。

どんどん流れていってしまう時間。過去がどんどん堆積してゆく。
時間と人の思いが詰まっている古書。
そんな古書が集結している古書市場。
売る以前に実は買うのが好きなんじゃないかと思う古書店員たち。
日々うつろいゆく。動いてみるしかないのだけれど、
3日間の印象が強すぎてボーっとしてしまう。
できれば、もうちょっと眠りたいんだ。眠れるだろうか。

いつも皆さん、ありがとうございます。

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