映画「グーグーだって猫である」を観た。
水曜、レディースデーで1000円。
レイトショー(日~金の20時以降上映作品)だったので、連れも1200円。
「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督である。
音楽・細野晴臣である。
音楽を含め、とても丁寧に作られた映画だった。
主なロケ現場・吉祥寺である。
井の頭公園がたくさん映っていた。
若き日の思い出の断片が画面のそちこちに見つかりすぎて、
平常心でいられなかった。
友人が裕福な親元で暮らしていたころの公園沿いのマンション、
中学時代の同級生が身投げしたあたり・・・。
生まれて初めて異性の友人と歩いた池の周辺。
あれから何年?
20年、30年など、瞬く間に経過するもので、
自分はいったい何をしてきたのだろうか、と愕然としてしまう。
四十すぎの女性ならではの実感を
小泉今日子があそこまで表現できると思わなかった。
さまざまな憂鬱、オリをまとっている感じ。
これまでの体験からわかっているのだ、
言わないでおこうと言葉を呑み込んでしまう感じ・・・。
そして、ゆるやかな希望と、捨てきれない夢と。
もはや何があっても動じない彼女。
原作では、四十代ではなく、五十代かあるいは六十代? キョンキョンが演じたから四十代に見えたまでなんだけれど。ちなみに、今確認したところ、小泉66年生まれ、監督は60年生まれだ。
卵巣ガンだとアシスタントに初めて告げ、ねこの世話を頼みにいくシーン。
思いをこらえていたアシスタントが
帰りがけの主人公にアパート前で飛びつく。子供のようにワンワン泣く。
「大丈夫! 大丈夫だから!」と、全編を通して唯一、声を張りあげた主人公。
まるで自分に言い聞かせるかのようだった。
アシスタント役のひとりが上野樹里。子どものころから感情をストレートに外に出すタイプで、
二十代ならではの勢い・無謀ぶり・荒削りな輝きを上野が好演。
小泉今日子との対比が鮮やか。くらくらきた。
グーグーほか、ねこら好演。
ねこのアップ、間違いなく撮影は長時間に及んだであろうに。
ねこの寝姿だけは、いまいちだった。
さすがに撮影現場で、全身リラックスで熟睡できるねこはいないんだろうな。
しかし、今日見たメールにはたまげた。
5日昼に発送した本がまだ届いていないと、お客様からのご連絡。
郵便事故だろうか。
もしもそうだとしたら5年間で2度めである。大変低い確率であってもゼロではないのだと、久方ぶりに思い出させられた。
郵便局に相談しにいかなければ。
かわりのものがない古書なのだ。お客様が永らく探していらした本だった。
毎日、郵便局を信頼して発送しているのだが、事故が起こるようであれば、
いったい何を信用すればいいのだろうか。
全品、宅配で送るべきなのだろうか。その差額は誰が出すのか。
すべて投げ出したくなるような、それでも、もうちょっとやってみようかと思うような。
そんな感情まで含め、小泉今日子のリアルっぽさには参った。
そういえば、子供のころ、田圃だか畑だかを自転車で駆け抜けるシーンが
二度だっけ、出てきたな。
コメントする