「編集者 国木田独歩の時代」を読み始めた

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遅ればせながら、黒岩比佐子さんの「編集者 国木田独歩の時代」を読み始めた。

正確な記述内容は、直接お読みいただくとして。

独歩が女性への関心が抑えきれず、若き日々、痛い目にあっていたこと。
あの独歩が(!)小説はなかなか売れず、貧窮に陥っていたこと。
そのため、子煩悩だったのに、家族とともに暮らすことさえ、ままならなかったこと。
小説家としてより以前に、編集者として腕を鳴らしていたこと。
ビジュアル的なセンスに恵まれ、いちはやくグラフ誌に着目し、編集に力を注いだこと。
明治に多彩なグラフ誌が出版され、
戦争への人々の関心とマッチングし、部数に大いに反映されたこと。
独歩は、編集者として実に熱心に打ち込み続けたこと。
原稿請求のため「是非是非是非」と「是非」を三度重ねて
催促のハガキを書いたこと・・・などなど。

昨晩、読み始めたばかりですが、
明治に生きる人たちの息遣いが伝わってくるようで面白い。

文語体の文章を引用したあと、毎回、わかりやすく解説を重ねてあって親切。
カバー裏で微笑んでいる黒岩さんの笑顔写真も素敵です。
語りかけてくれているようで読みやすい。

まだ100ページ強を読んだばかりですが、
口絵に数ページでも「近事画報」のカラー写真を入れてあったら
もっとよかったなあと惜しく思う。

淡々と重ねていく筆致が心地よく、読み終わってしまうのが勿体ない気分。
黒岩さんが膨大な量の文献にあたり、裏をとろうとなさった奮闘が
伝わってくるようで、一行一行、大事に読みたいと思う。
構成力、ストーリーテラーとしての力に感服する。
何より面白く読ませるというのは、楽なことではないので。
黒岩さん、お忙しそうですが、楽しませていただき、本当にありがとうございます。
お体を大切に、大好きな古書展へたくさん出かけられますように。

これから古書市場に行ったら、思わず、明治のグラフ誌を探してしまいそう。
電車でさらに読み進めていくのが楽しみです。

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コメント(4)

次回UBCで黒岩さんの講演会「編集者国木田独歩」をやります。ぜひお出でください。

わーい!
参加希望です。いつから予約受付でしょうか。
目録、その他もろもろ、楽しみにしております。
やはりUBCは素敵です。憧れの古書展。
お世辞でなく。

海ねこさま、拙著を読んでいただき、ありがとうございます。このところ落ち込み気味だったので、元気づけられました。甘えず、言い訳せず、必死で書かなければいけませんね。私も、岡崎さんの『女子の古本屋』を読ませていただきました。フリーの編集・ライター稼業で死にそうになった、というあたりは、他人事とは思えませんでした(笑)。またお会いできるのを楽しみにしています。

黒岩さん、恐縮です! お恥ずかしいですが、ありがとうございます。実は、家族に「東京人」を買ってきてほしいと先ほど頼んで待っているところです。
ノンフィクションライターとして書くならば、最低でも何箱分の文献を集めなければいけない、そして、読み込んで準備をしなければならない、すべてはじめは持ち出しなので大変だと、以前、とある編集者から聞いたことがあります。日々、御身を削るような生活なのだとしましたら、さぞかし大変でいらっしゃると思います。それでも、精力的にご活躍のご様子には、勝手ながら力を与えていただくような思いです。
1冊でも多く売れますように! 増刷されますように! 次に黒岩さんがおやりになっていきたいことを実現していきやすくなりますように!
そして、黒岩さんのお力で、明治の古書を見直す人が増えますように。ただ、そうなると古書価は上がるかもしれませんが・・・。でもまあ、古書店が商品価値に気付くことによって、今よりさらに大事にしますしね、どこかに眠っていた本が表に出てきやすくなるかもしれないですね。

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