山越え谷越え、ぴょんぴょん

| コメント(0) | トラックバック(0)

先ごろ、結婚宣言をした人がいるグループ。
私は、そのグループの取材をかつて続けてきました。
同じ人物を、20年近くも取材し続けてこられたというのは、
自分の意思だけでどうにかなることと思えないし、稀な例だと思う。
周囲の人に支えていただき、たまたま、そのような境遇に置いていただいたのでした。
本当に幸福なことだと思っています。

ちょっとした事情から、会う機会が途絶えてさびしい思いをしていたのですが、
ひょんなことから久々に会うことができたのでした。
取材していたころ、しつこく質問したり、答えにくそうなことをなんとか聞かなくてはならなかったりで、
彼らにはすっかり嫌われているのだろうと思っていたのですが、
久々に会ったら、私の小難しい名前を呼びかけてくれました。
しかも、いちばん最初に「あ、~さんだ」と呼んでくれたのは、
多感な時期を経て、必ずしも関係をうまく築けていなかったかもと
自信喪失していた相手でした。
自分の思いが案外、通じたのだろうかと錯覚しそうになり、
そっと感涙しかける。

そんなこともあって、神保町でとことん飲み倒すはめに。
「なんで神保町にそんなに詳しいんですか」と驚かれつつ、
久々に会った編集者から、いろいろな人の近況を聞く。
はあ、あの人がそんなところにねえ。
へえ、その人はそんなことをしているのねえ、云々。

私はライターとして大学時代からずっとやってきました(「古本と女子」(岡崎武志・筑摩書房 
3月25日発売ですね。そちらに書いていただいてます)。
昔は雑誌が休刊になったり、仕事が減るたび、だれかに「仕事をください」とすがったり、
必死に営業にまわったり。どうにか貧窮に屈することなく、やってこられたのです。
だけれど、ライターのなかにもいろいろ専門分野があって、
自分のような分野だと、ある時期から取材現場に行っても、自分より若い編集者やライターにカメラマンばかり。
いつの間にか、現場での最年長になっていました。
同年代のように編集プロダクションをつくって経営者としてやっていく才覚もなく、
さびしいけれども、自分の役回りは年若い人に譲る時期なのかなあ、とも思っていました。
そして、とある時期、古書店の取材をしたのがきっかけともなり、
今のように古書組合にどっぷりつかることとなりました。
今では、ライター仲間と飲むより、古書店仲間と飲むほうがずっと多くなりました。
たぶん古書店をやめて、ライター専業に戻ることはもうないのだろうな。
自分のようなやり方だと、ライターとして六十代、七十代までやっていけるとも思えなかったので、
これでよいのだと思っていたのだけれど、ちょっとね、
第二の青春が終わっていくようだ。

そんなセンチメンタルな気分を吹き飛ばしたのは、不動産屋からの突然の手紙。
ああ、驚かされた。
倉庫を引越さなければならないことになって。ああ、海ねこの本をどこにどう移動させるか。
あと何か月か猶予期間があるのですが、この機会に何をどうするか考えていかないと、と。
考えるための機会として、前向きにとらえることにしました。
しかし、どうするかな。
広くて安い倉庫、どこかにないかな。あるいは予約制の事務所 兼 倉庫にして
ちっちゃな古書店に移行していくか。
自分の周囲にいる古書店を見ていると、
催事中心の人、店舗に全力集中の人、ほかに、顧客に送付する目録を年2-3度出して、
あとは、店舗というより事務所(通販専門の事務所)を構えている人が結構います。
ネットの良さはありますが、良い面ばかりでないのは、どんなことも一緒で。
ちょっと思うところあってネット専門店ではない道を探るかも。ネットはやめませんけどね。
ただ、ネット以外のことをやろうとするとお金がかかるんですよ。それが問題。
ネット展開で経費を抑えられている分、本の仕入れ中心にお金をかけてきたので、
それ以外のことができるのかどうか、果たして。
どのような形がよいのか。どのような形ならやっていけるのか。悩みどころであります。

ネット・オークションで相手がだれか知らないまま、久々に買い物をしたところ、
実は顔見知りの古書店主だったのでビックリ。
「こっちこそビックリです。
オークション頼みにしたくないんだけど、古本屋って、どうしたら続けられるんですかね。
ぜんぜんわかりません」と言うんだけど、聞きたいのはこっちだよ。
続けていく、続いていくって楽じゃないッスね。
思っていたより大変だから辞める、って投げ出せたらいいけれど、
まあ、よほどでない限り、なんとか道を探っていきましょう。
~くん、ファンが多いんですから、大変でもなんとか続けてくださいよ。
あ、人のこと心配してる場合じゃないや。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.omaken.com/mt-cgi/mt-tb.cgi/5232

コメントする

2012年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

アーカイブ