世界童話大系 世界童謡集 大正15年

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昨日は矢野顕子×レイ・ハラカミ「yanokami」ライブのため、
恵比寿リキッド・ルームへ。
締め切り仕事があったが、家族からの「もうチケット買っちゃったから」
「タイムリミットがあるほうが、かえって仕事が進むでしょ」
いう声もあり。

スタンディング・ライブには、
かつて良い印象だったためしがない。
身長152センチほどの自分が、
身長180セントの人と同じチケット代ってないんじゃない。
遠い昔、渋谷の巨大ライブハウスで
大きな柱のかげでむくれながらカシオペアを聴いた体験から始まり。
フジロックでスタンディングも悪くないと思ったが、
地下に人ぎゅうぎゅうの状況とか、いまだに得意じゃない。
今回は、レイ・ハラカミ、99%見えず。
矢野顕子の頭の上のほうが、ときどき人と人の狭間からちらりと見えた。
あまりの大盛況ぶりに貧血で倒れる女性客、続出。
出口間際の壁にもたれかかっていたら、
目の前で、女性がバタンと倒れこむのに遭遇した。
「大丈夫ですか」と声をかけたら「・・・・・出口、どこ?」と聞かれた、
これがすべてライブ中の出来事。

「ラーメンたべたい」ジャズバージョンのソロが秀逸でした。
一箇所ミストーンかもと思ったけれども、
いや、テンションなんだろうと即思い直した。
矢野顕子はなかなかジャジーな人だと、
先日のブルーノート東京から思い続けている。

6年間を過ごした恵比寿西をそぞろ歩き。
すっかりさまがわりしていた。
よく買いにいったピーコック隣の酒屋がなくなっていた。
米屋もなくなっていた。
わが家で飲み明かして、朝方買いにいくと
出来立ての豆腐がうまかった豆腐屋さんには
病気のためご迷惑をおかけします、と貼紙がされていた。

しばしば朝まで飲んでは
「雑誌のあるべき姿とは」
「どうしたら企画を通せるか」など青臭い話をしていた
居酒屋「たつや」は健在。
つくねの味がまったく変わっていない。
変わらないところがあるというのは、いいもんだな。

朝方、蚊が大発生。
明け方から羽音に起こされてすっかり寝不足。
市場に行けず、買うことができなかったとある作家の書簡を
譲ってほしいと、徳尾書店と股旅堂にすがりつく夢を見る。
寝不足だったためか、
汗だくで午睡をむさぼってしまった。
深川に行きたかったが、家人ひとり出ていった。
午睡むさぼるぐらいだったら行けばよかったかな。

こうして書いている今も、蚊が顔にまとわりついてくる。
殺生はなるべくしたくないが(といいつつ、つくねとか食べちゃうけど)、
蚊に刺されているところを正視するほどは達観できず。

夜になっても蝉がかしましかったこの界隈でも、
蝉より虫の声がまさる季節へと。
季節が移りゆくかのようです。

たまには、詩でも。
「童謡集」という名ではあるのですが。

「幸福」
世界はこんなに物で一ぱいなのだから
われらは王さまのやうに幸福な筈だ。
ーーロバアト・ルウイス・スティイヴンスンーー
(諸国童謡集より 竹友藻風・訳)

「エルフの声」
誰が呼ぶ? 誰が呼ぶ? 誰?
あなたが呼んだのか?あなたかーー
わたしが呼ぶ。わたしが呼ぶ。わたし!
わたしの飛ぶところへついておいで。--
何処へ? ああ、何処へ? ああ、何処へ?
地の上か空の中へか?ーー
おまへが来る処にわたしはゐない!
おまへが飛ぶ処には、居なくなってる、--
止まれ! ああ、止まれ! ああ止まれ!
かはい子鬼(エルフ)よ、止まつて遊べ!
何処に居るのか教へてくれーー
ハ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ!
ーーイリアナア・ファアジォンーー
(諸国童謡集より 竹友藻風・訳)

「空想」
あゝ、
わたしはいつもみんなから、
馬鹿にばつかりされてゐる。・・・・・・
いつそ阿弗利加(あふりか)へでも逃げださう・・・・・・、
そこにはおいしいバナゝが熟し、
子供を象に乗らしてくれる。
ノルドカープの岬まで
辿りついたら黒ん坊(くろんぼ・原文ママ)に、
すつかり化けて弓と矢と、
駱駝を必ず手に入れる。
そしてもうそこを離れない、
家へも決して帰るまい!
構ふものかい!
あゝだけど、四月の柳祭りには、
市場へ行かなきやつまらんな!
それにあの新しいスケートも、
置いて行くのは惜しいなあ。
といつてノルドケープには、
スケート場もないだらう・・・・・・
母さんや、猫の仔や、弟も、
置いて行つては可愛さう・・・・・・
いや止めた、一層じつとしてゐよう・・・・・・
ーーモラーフスカヤ女史ーー
(露西亜童謡集より 米川正夫・訳)

「自由の鳥」
空を飛ぶ鳥は、心配も知らず、
いとなみも知らないで、
永久にすむ自分の巣さへ、
齷齪(あくせく)つくることもせぬ。

長い夜を枝に寝ねて・・・・・・
紅い陽が東に昇るときーー
神さまのお聲に目をさまし
羽ばたきをして唄ひだす。

粧(よそほ)ひを凝らした春も過ぎ、
焼けつくような夏もゆけばーー
晩秋は霧と雨とを、
地の上へ持つてくる。

人は淋しく悲しむが・・・・・・
小鳥は遥か海を越え
暖い國を目ざしつゝ、
春来るまでと飛んで行く・・・・・・
ーープーシュキンーー
(露西亜童謡集より 米川正夫・訳)

大正15年「世界童話大系」(尚文社 非売品)
第十六巻、世界童謡集(上)諸国童謡集(翻訳篇 竹友藻風・訳)
第十七巻、世界童謡集(下)独逸童謡集(茅野蕭々・訳)、
仏蘭西童謡集(西條八十・訳)、露西亜童謡集(米川正夫・訳)、支那童謡集(青木正兒・訳)
(序文・茅野蕭々 仏蘭西童謡集はしがき・西條八十 露西亜童謡の特質・米川正夫)

活字、イラストが美しい各巻800ページ超。

17巻には「安彦と俊彦に パパより」とされた序文に以下の文章。
「去年の秋、神田の古本屋を漫渉してゐる中に
珍しく古風な装丁と挿絵の入つたイギリスの童謡集に出会はした。
出版年月は記されてゐないが、出版所はロンドンのフレデリック・ワァンで
表題には“Mother Goose's Nursery Rhymes,Tales and Jingle”とあり、
「はしがき」に・・・・・・(海ねこ注・中略)記されて居り、
多少の注釈が入って居る。
予はこの書物の年代を知りたいと思つてゐたが、
其後リイナ・エックスタインの「童謡の比較研究」
“Comparative Studies Of Nursery Rhymes”の中に
著名な童謡集の書目を挙げてあるのを見て、
これが一八九〇年に出版せられたものであることを知つた。
「諸国童謡集」を編む時に予が参照した
最も古い英國の童謡集はこの書物である。
注釈なども今は時代おくれになつたものがあるかも知らないけれども、
読みながら興味を惹いたものだけを附記の中へ附加へて置いた」
(序 より 竹友藻風)

お買い上げありがとうございます。
いつかまた逢おう。

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コメント(2)

あー僕もヤノカミに行っておりました。人が多くてめまいがしそうだったのですがいたのですね。”ラーメン食べたい”は恵比寿なので是非聞きたかったのでうれしかったですよ。僕。
今会社が恵比寿西なのであのあたり良く徘徊してますよ。いろいろ便利なんですけどね。ランチが高いのが玉に瑕って所ですかね?

ちなみに帰りはよってこ屋でラーメン食って帰りましたよ。

あ、おまえさんも!
スタンディングは好きじゃないといってからいないかな、と話してたんですよ。
恵比寿西なんですってねー。その話題もしたところでしたよ。
ホント「ラーメン食べたい」よかったスね。
ラーメン食べたくなるのもわかります、へへ。

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