奈良美智

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Photo by Mongo

飲んで書いております。
読みにくい点、意味不明な点が多々ある可能性は
最初からお断りしておきます。

映画「NARA:奈良美智との旅の記録」を観る。
下高井戸シネマにて。

台風接近。
倉庫に近寄るが、買ったばかりの除湿機を下ろすのが精一杯。
倉庫に収めようと思う本が、万一、暴風に晒されたらと思うと
車から降ろすに降ろせない。
そんな折、ついにパソコンが立ち上がらなくなった。
ハードディスクが読み取れない
…何度、立ち上げても英文。
無常に同じ文句が出るのみ…。
パソコンのことをまかせている家人にやってみてもらうが、
状況は変わらず。
何度も何度もトライしてもらうが、状況に変化は起こらず、
「ダメだね、これは」と言い放たれる。

「NARA:奈良美智との旅の記録」
下高井戸シネマでの最終回が今晩9時25分からだという。
家人があれこれいじって、奇跡的に、
文字どおり奇跡的に起動した。
「パソコンを再度、見られるかどうかわからないよ。
これで切ったら最後かもね。いいんだよね?」と確認される。
パソコンに通じている家人がそこまで言うのだから、よほどなのだ。
が、OAの恩恵をさんざん蒙っている身であるにもかかわらず、
そのことによって敗北、生活が変わるのは心情的にイヤなのだ。
どんなにパソコンが再起動不能だと言われても、
映画館に奈良美智を観にいきたかった。

映画が終わって通常すぐには何か言わない家人が、
家に戻ってきて、飲んで飲んで、
何時間もたって、ようやく口を開く。
昨晩に続き奈良美智のムービーを二度観た見た家人が
思い出したのは
“ピアノが愛した女。SUPER FOLK SONG 矢野顕子”だという。
初めて観た私も、上演中、実はそう思っていた。

“ピアノが愛した女。SUPER FOLK SONG"は、
私がかつて歌声において苦手だった矢野顕子の
良さに目覚めたムービーなのだ。
本人がもっとも見せたくないのではなかったのではないのか、
製作過程でもがいている絵柄など…、どうなのさ、と思うのだ。
それでも公表しようと勇気を持つに至ったいきさつ。
直接的にスクリーンに現れないかもしれないが、
もっとも大事な部分は、そこなんじゃないか。
本当に大事なことは、
言葉にしにくい、音にもしにくい、映像にもしにくい、
しにくいしにくいしにくい「そこ」なのではないか。
で、そこを形にする人でないと一段階、先に進めないのではないか…。

アーティストでもそう。ブログを書く人でもそうなのだが、
皆さん、もっと自分を出せばいいのではないか。
どんどん出せばいいのではないか。
どんなに出したところで、文字にしにくい「そこ」は
めったには出せようはずがなし。
「そこ」と葛藤し続けてきた文学者たち、アーティストたちが
今の時代、どのように扱われているのか、どのように評価されているのか…、
など考えると鬱が入ってくるのだが。

韓国の人たちが、奈良美智さんの絵を見て、
涙したり、笑ったり、口をあけて、眺めいっていた。
そんな画像が次から次へとスクリーンで映し出された。
日本人はドライだ。
家人に言わせれば「日本人が変わったらしい。
昔は、韓国の人のように笑ったり、泣いたり、怒ったりと
感情表現が素直だったらしいよ」とのこと。
良い悪いは別として、日本人は同じ作品を観ていても、
ほとんどその場に立ち尽くすのみである。泣けない。笑えない。
ドライなのか? ドライを装っているのか?
そうだとしたら、ドライを装うのは、それほどいいことなのか。
ブログでも同じである。
別に、いいじゃないですか。
ダメな自分を公表するのはそんなに良くないことですか。
破綻を恐れすぎているのではないか。
気持ちとして、イメージをつくっていく過程として
人として当然かもしれないが、
それほど失って怖いものなど、あるのだろうかとも思う。
いや、私だって、本当に書いてはいけないことは書いていませんよ。
でもねえ…。もうちょっと書いても大丈夫ですよ、たぶんね。

「NARA:奈良美智との旅の記録」
を家人が二度目に観ながら思い出したのは、先にあげた矢野顕子、
そして、ジョー・ストラマーなのだという。
で、深夜の今、我が家ではジョー・ストラマーが流れている。
よいねえ、私の希望としては
日本語がはっきり聞こえるロックで、
魂の叫びと言えるものを聴きたいのだ。
スクリーンに出し切っていない奈良美智の希望・迷い…。
もどかしさとともに、希望を抱きたいとも思いつつ、
そんなことを感じている。

誤解されると困るので書くが、奈良美智を私は愛しています。
映画もよかった。
村上春樹、くるり、奈良美智、ふちがみとふなと、あたりは
何かあっても、たぶん嫌いにはならないでしょう。
八方美人、優柔不断、情緒不安定だと言われ続けてきた
私が、30年、いやもっとかーかけてようやくここまでブログに書けるとは。
不思議な世の中であります。
台風接近。どうか、お互い無事でありますように。

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