プラハ古書店めぐり

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プラハで宿泊したのは、中心部から地下鉄、
さらにバスを乗り継いだところにあるホテル。
プラハ4という地域です。
団地が多い郊外。

地下鉄の駅を降りて、バスはどれなのかキョロキョロおろおろ。
ようやく見つけて、大きな荷物をひきずってバスに乗りこみます。
すると、すぐさま、近くにいたおばさんがチェコ語で何か聞いてきます。
一緒にいた息子さんは英語ができました。
「どこへ行くんですか?」「停留所であと3つ!」「次!」
「あのホテルですよ」と面倒を見てくれます。
ロンドンでも地下鉄の乗り換えや道に迷っているとすぐだれか助けてくれますが、
プラハの人も親切。

ホテルの裏手に数分歩いただけで素敵な渓谷が。
静寂の中に、川のせせらぎ、鳥のさえずり・・・。
犬と、あるいは、赤ちゃんと散歩する人と、ときどきすれ違いました。

(写真はクリックすると大きくしてごらんになれます)

ホテルから渓谷を抜けて、郵便局まで歩いて15分から20分ほど。
あちらこちらで、花が咲き乱れていました。

前にプラハを訪れたのは、2004年秋。
そのときは紅葉がみごとでした。
今回はタンポポや桜が咲き、新緑と陽射しが大変美しい季節。
日中は汗ばむほどの陽気で、初夏を感じさせました。

↓郵便局前の広場。

大きくしてごらんになるとわかりますか。
団地のベランダにイスを置いて、くつろげるようにしているお宅も多かったです。
次の写真、右手のほうで犬が2匹、のぞいています。

次の写真はよくわからないと思いますが、ねこを飼っているお宅。
ねこがいたので見ていたところ、じーっと鳥を狙っていました。
私に気づいたねこが逃げ込んだのが1階のこの部屋。
壁の一角に穴をあけてあり、ねこが上り下りしやすいように台が置いてあります。
どんな人が住んでいるんでしょう。

プラハは市のセンター部に宿泊するのもよいですが、
ちょっと郊外に滞在するのもお薦め。
地下鉄やバス、トラムが整備されているので便利だし、
人々の暮しに触れられるようで、楽しい。
市の中心より、ホテル代はずっと安いです。
ロンドンと同じぐらい出せば、何十倍も広い部屋に泊まれます。
リビング、ベッドルームと2ルーム、いずれもゆったり。
ひとりで泊まるには、ムダすぎるぐらい広かった。

難点は、団体客が多くて、朝食のときテーブルの争奪戦が激しかったこと。
郵便局が遠かったこと。
絵本をめいっぱい詰めた大箱20キロ以上を
アップダウンの道を経て運んだときは
なんで古本屋になったのだろうかと泣きそう。
キャリーがあってもしんどいしんどい。
郊外の郵便局には、外国人など来ないのでしょう。
送るための用紙にはチェコ語とスロヴァキア語(らしきもの)しか書いてありません。
郵便局員さんはまったく英語を話さず。用紙を書くのに一苦労。

今回は、プラハに2泊。
まわった古書店は6軒。
初めて入った古書店が2軒。そのうち1軒は、ここ↓
道を間違えて、偶然見つけた店。
アドルフ・ボーン、ヘレナ・ズマトリーコヴァ、トゥルンカほか。
本の状態が極めて良く、値段は手ごろ。
会計をしたら、1冊ずつPC入力。
もらったレシートには書名、値段がきちんと打ち出されていました。
在庫管理がこれほどしっかりしている店は、プラハで初めて。

本のストックは、丈夫なバナナの箱に入れて置かれていました。
天井と並行に渡した板の上に箱が山積み。
さらに、書棚の下にも置かれていました。
店の人は感じがよく、きちんとした良い店。また行きたい。

今回は、おなじみの作家ばかりでなく、
アート色の強いイカした絵本もいろいろ購入。
チェコ絵本の世界は、とめどなく幅広く、奥行きが深いようです。

一昨年も行ったヨゼフの店へ行ってみました。
店の前は、このような公園↓
花が咲き乱れて、なんて美しい。

「前に来たとき、アドルフ・ザブランスキーを買いました」と言うと、
「ザブランスキー! そこに原画がありますよ」と店主さん。
壁に貼ってありました。

値段を聞いてみたら、すぐさま購入できる額ではないので、ちょっと考え込む。
「写真を撮っていいですか」と聞いたらOK。
高いところに貼ってあったので、背の低い私が撮影に苦心。
どうにか撮影したのが次の写真。

店に遊びにきていた店主の友達が
見るに見かねたのか、撮影を手伝ってくれることに。
ヨゼフは彼のことを" tall man"と、おかしそうに紹介。
身長2メートル近く?
Mr.tall manが近くから撮影してくれたのが、次の写真。
私が撮影したよりは、ずっと近寄れているでしょう?

Tall manの正体は、マリオネットのアーティストらしいです。
名刺をもらったので、
帰国してウェブサイトを見てみたら,、
かなりアーティスティックなマリオネットでした。おもしろい。
このウェブサイト、英文もありますので、ぜひ見てみてください。
彼の幼少時の写真がまた、いい感じ。

ザブランスキーのリトグラフのポスターがあるから、
ぜひ見てほしいと案内されたのはアトリエ。
ふたり乗ればもういっぱいの木製エレベーターでガタゴトと
店がある建物の最上階へ。
ガラスの扉を開くと、何世帯かで共同で使っているフロアー。
ヨゼフのアトリエにはベランダがついています。
眺めがいいのがご自慢でした。

リトグラフのポスターは私の身長ほどの大判。
なるほど素敵です。
なんでも、出版社のイベントか何かのときのものらしい。
「出版社」という英単語が思い出せず、苦心していたヨゼフ。
「すばらしい。だけど、原画のほうが好きかな」と言ったら、
「店にあるもの以外にも自宅にあるので、
明日持ってきますよ。
店は11時から18時までだから絶対来なさいね」と。
メモ用紙に「11」と書いてくれたのですが、
チェコ人の数字の書きかた、日本人とちょっと違うのです。
とくにクセがあるのが「1」「4」「7」など。
「Eleven o’clock?」と念押ししたら、
「11」「12」「13」「14」「15」「16」「17」「18」と数字をすべて
わざわざメモ用紙に書き付けて豪快に笑っていました。
とにかくひょうきん。愉快な人です。

商売上手のヨゼフに薦められて、あれこれ買った一部が、次の写真。
下にある2冊のうち、右が店頭で見つけて高かったけれども
思い切って買った本。
「同じ作家の本ですよ」と薦められたのが左。
上・左は「ザブランスキーの作品集だよ。これはすばらしいから」と
薦められて購入。
ひとつ好きだとわかると、次から次へと関連の本を出してきて
本当に薦め上手です。やり手だなあ。
その本のおかげで、ザブランスキーが絵本ばかりでなく、
共産政権時代、プロパガンダ色が強いポスターを描いていたことを知りました。

プラハ最終日、以前にも行った
ねこが店番をする古本屋へ。
女店主によるショーウインドウのディスプレイがかわいい。
店内には、手前のほうには古レコードもたくさん売っていて、
ジャズがかかっています。

奥のほうにはアート本。レジ脇には絵本が。
すでに1箱、郵送ズミで送料が安くないことを承知していたので、
もう手荷物にできる量しか買わないつもりでした。
ところが、棚を見始めたら、前回同様、欲しい絵本が次々に…。
クヴィエタ・パツォウスカーを見ていたら、
「こっちにもたくさんありますよ」と箱ごとどさりと出してきて、
あらあら、パツォウスカーがたくさん。
私はオタ・ヤネチェクが好きなので聞くと、即座に何冊か出してみせます。
ほかにも、彼女の趣味の良さが伝わって来るようなセレクト。
思わず、どうやって仕入れているのか知りたくて
「だれかから買ったのですか(買い取ったんですか、と聞きたかった)」と聞いてしまう。

わあああ、買います買いますー。
送れるかどうか聞くと
「郵便局があります。トラムで1駅です」と
私の地図を開いて、場所を書き込んでくれます。
自分で送ってきてくださいっていうことです。
店の奥からごそごそ探し出してきたのは、
ペナペナの箱(下の写真にうつっています)。
厚紙を切ってフタを作って、
日本では信じられないほどささっ、ぱぱっと本を詰めこんでいました。

古いチャペック、古いトゥルンカは、同じ本でも
年代の違う版、出版社の違うものを何冊か揃えていました。
値段が違う理由については、この出版社は~年になくなったからと
印刷物を調べながら明解に説明。

プラハで人気の絵本作家と、日本で人気の絵本作家と
多少異なるようですね。
ヤン・クドゥラーチェクは新刊が新刊書店にずらりと飾られていましたが、
今回、古書店では見つけられませんでした。
パレチェクは1冊だけ。
ミルコ・ハナークにいたっては、今回はまったく見ませんでした。
女店主に聞いてみたのですが、
私の発音が悪いせいかどうか、彼女はよく知らないようでした。

「もう手持ちがポンドしかないのだけど、ポンドで支払えますか」と聞くと
銀行で両替してくればいいとのこと。
結局、トラムで銀行まで行って両替して戻ったのでした。
そして、箱詰めしてもらった絵本に
新たに買った絵本を加えて、徒歩とトラムで郵便局へ運びました。
はあ、本は重い。しんどー。汗だっくだく。

1箱送り終えて戻ると、心配そうに店の前で待っていた店主。
私の戻るのが遅いと思ったのか、
食事に行きたかったのか、用があったのか、ちょっと悪かったかな。
ねこの絵入り名刺を渡して「ねこ、大好き」と言うと、
商売ヌキと思われる笑顔でにっこり。受けたようでよかったです。
繁華街からちょっと離れているのですが、
客足が途絶える時間は少なく、はやっているようでした。さすが!

空港へ運ぶ荷物の重さに
一昨年立ち寄った店1軒は断念。

「明日来なさいね」と言われていたので、またヨゼフの店へ。
ザブランスキーの原画を3枚、見せてもらう。
1枚は絵本の表紙だが、入稿前の何段階か前のもの?
迷った末、3枚のうちもっとも大きな原画を1枚購入。
少年、そして、清流を泳ぐ魚、水辺のカワセミなど、
ひじょうに丁寧に描かれています。
裏にラフ・スケッチがあり、
ねこの絵柄があったのも気に入って。

ヨゼフはチャペック本のコレクターでもあり、
来年、展覧会があるので日本に行くと話していました。
"ハイ、ヨゼフってメールくださいね"と別れ際に言うヨゼフ。

ああ、もう空港に行かなくちゃ。
ところが、雨。原画が濡れたら大変!
重い荷物に苦戦しながら急いで店に戻ると、
大きなビニール袋があいにく切れているという。
店にあった最大の袋を切ってつなぎあわせてテープどめして
持たせてくれたのでした。
雨の中、地下鉄で空港へ。
その晩にはロンドン着。

予約していたつもりの安宿にたどりついたら
部屋がとれていないと言われて、
やむなく、アールズコートの線路づたいのホテルをしらみつぶしに探す。
線路沿いならあいているのでは、というヨミのもと。

相変わらずの珍道中でしたが、
ロンドンもプラハも良いところ。
季節が異なると、景色がまったく違う。
同じ店でも、二度目に行くと、商品がまったく違う。
何度も通って、いろいろ買ってこそ、店の人との距離も近くなる気がします。
帰ってきてしばらくたった今、むしょうに懐かしい。
ぜひまた行きたいです。

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うわぁぁ~ザブランスキーの原画を見られる本屋さん、なんてステキなんでしょうか!
写真からも、原画のすばらしさが伝わってきますね。
鉛筆書きと思われる文字も原画ならでは。
それに、海ねこさんの撮られた写真1枚1枚も、雰囲気があって見応えあります。
本の写真なんて、他にはどんな本があるのだろうと、つい横までのぞき込んでしまうくらい、そそられます。
猫の写真もいいですね。毛並みとか顔の形は、やはり洋猫。かわいい~!
ああ、私もプラハに行きたくなってきましたよ。

ミワちん&居ぬさんが作ってくれた名刺が
チェコに渡りました。
渡したら、海ねこちゃんの絵を見て
店主さん、楽しそうにニッコリしてましたよ。
個展まであとちょっと?
楽しみにしています!

そうそう、しおり、ぼちぼちまたお願いしなくちゃ。
春らしいイラストと色で、お客様に喜んでいただいてます。まだ手にしていない人もぜひ実物をゲットしてくださいね(あら、宣伝)。

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