こどものとも

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5月6日。
なぜだかダルくて、夕方まで調子が出ない。
ブックバザール総会の予定だったが、延期になったそう。
私としては助かった。

そばとそば湯で元気になる。
清算など済ませて、玉川高島屋「ぐりとぐらのともだちあつまれ!」
福音館書店「こどものとも」絵本の世界展へ。
「私は日本の子どもたちに色の少ない簡素な美しさを知ってほしい」
という赤羽末吉さんの言葉、墨絵的要素を盛り込んだ「かさじぞう」がよかった。

日本の昔話、児童書の類がなかなか売れないとは
周囲からも、よく聞こえてくる声。
売れ行きを考えると、当店の商品も、
どうしても翻訳ものに偏りがち。
その点、「こどものとも」は世界各国のお話ーー
欧米からアジアからマイノリティーの人々の民話までまんべんなく取り上げ、
日本の昔話も大事に扱ってきたところがすごいと思う。
大人の偏見・先入観をとっぱらえば、
子どもにとっておもしろいものってたくさんたくさんあるのだろう。
そこをわかっている大人が手抜きをせずに
夢中でこしらえてきたさまに打たれる。

「昔話には知恵のエッセンスのようなもの、
美の珠玉のようなものがあって、子どもには
それがよくわかっておもしろいのだから、
一国の財宝として、それをみがきあげて残していくことが大切なのです」(瀬田貞二)

松居直さんはじめ、編集者たちが
さまざまな作家・画家・識者の声をきちんと取り入れてきたさまが
誌面によく反映されていると思う。
はじめのうち、なかなか売れなかったらしい。
幼稚園関係者からは「子どもの本って赤っぽいでしょう」と言われたとか。
なにしろ創刊号の表紙は、シックな黒ベース。
勇気ある大人たちがいたものである。
社内でも、採算がとれないので休刊を迫る声もあったらしい。
それでも、なんとか続けようと踏ん張ってきて、今日に至っている。
大人たちが「なんだこれ?」と首をかしげるようなアーティスティックな作品も
積極的に絵本化し、子どもたちの人気を獲得。

そんな「こどものとも」づくりの姿勢にひかれて
一流の作家・画家たちがふるって参加。
皆が全力で子どものための一流の本を作ろう! と精魂を傾けてきた。
それは、子どもたちのためだけでなく、
とりもなおさず、自分たちのためでもあったのでしょう。
大正・昭和の絵本・児童書に見られるような
志の高さが感じられるので、好きです。

会場には、「ぐりとぐら」の歌がリピートで鳴り響いていました。
ぐりとぐらの原型は、「母の友」63年6月号に掲載された
「たまご」という3ページのお話。
「ぐりとぐらとすみれちゃん」のラフスケッチが展示され、
「うさぎ、小<くま≒すみれ≒きつね りす≒ぐりとぐら」など
大きさの微妙な変更を書き込んだ山脇百合子さんの鉛筆書きが。
キメ細やかな心づかい、精魂使い果たすほどの努力が裏にあってこそ、
質の高い絵本となって結実しているのでしょう。

スズキコージさんのライブペインティングによる絵に
引き寄せられ、しばし見入りました。

帰りにブックオフで買物。
目録にのせられそうな本がブックオフにあるわけがないと
思ったら、たまたま1冊発見。雨が降ってきました。

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