ロンドン・プラハ古書店めぐり ロンドン編(長文)

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じっくり書くと1週間ぐらい平気で書き続けてしまいそう。
業務に差し障りがありますので、できるだけ手短にと思ったのですが、
結局、長くなりました。
推敲の時間がないので、書きなぐり状態です。
乱文にて失礼します。ご興味とお時間のある方は、どうぞ。
文字が小さくて読みにくい場合、ウインドウズでしたら
「表示」のところをクリック。フォントを大きくしてごらんになれるかと存じます。


●4月20日(木曜)

乱気流で飛行機が揺れまくるが、朝早かったので爆睡。
隣の席には、バーミンガムで電子工学を学んでいる女子学生(日本人)。
咳がすごく出たので、うるさかったことと思う。申し訳なかった。
15時半、ロンドン ヒースロー空港着。
ロンドンに行ったのは、おそらく15年ぶり?ぐらい。
前回は、美術館、ポートベロー、カムデンマーケット、
バース、ストラットフォード・アポン・エイボンなど旅してからパリへ移動。
途中で友人らと合流。古書店とはまったく無縁の旅だった。

ロンドンに到着したものの、長時間の飛行機でへとへとである。
電車の窓から、家々に煙突がにょきにょき建っていること、
バックヤードが見えるのが印象的。
葉桜、エニシダというのか? 黄色い花の群生が見える。
前に訪れたのは冬だった。
明るいロンドン! まったく印象が異なる。

45分でEarl's Court着。
地図を片手に、ホテルへようやくたどりつく。
部屋は301号室。日本でいう1階はグランドフロアなので、
301号というと実質4階にあたる。
安宿なのでエレベーターはなく、階段が狭い。
読書用にたくさん本を持っていったので持ち上げるのが難儀。
はあはあー。途中で何度か休まないとのぼりきれない。息が切れる。

セーフティーボックスを使わせてもらおうとしたら、
5ポンドと聞かされてビックリ。
ロンドン通の友人に「物価が高いけどビックリしないでね」と
言われていたが、早速、洗礼を受けた。
ひとり旅だと、お金をとられたら、お手上げ。
預けるのをやめて、パスポート、帰りの航空券、
現金をつねに持ち歩く決意を固める。
しかし、ずっとずっと貴重品を肌身離さず持っているって、緊張して疲れる。
地下鉄、乗り換えで方向を間違える。また間違える。さっそく珍道中だ。

もう古書店はどこも閉まっている時間。
新刊の大型書店「Foyles」は確か9時までやっているので、そこへ向かう。
旅に出たら、まず新刊書店で情報収集。
地図や古書店情報の本を購入する。


●4月21日(金曜)

駅近くのマクドナルドにPCがあって、
1ポンドで1時間まで使える(1週間以内有効)。
その後、ネットカフェ2軒も使ったが、だいたい30分1ポンド。
どこの店でも、ソフトを使えば日本語は読めるが、
日本語を打ち込むことはできない。
ローマ字を使って、家に無事を報告する。

朝9時半ごろ開いている古書店はなかなかない。
歩いていける距離に休日は終日営業、
平日は朝9時半から10時半のみ営業という古書店が
あるようなので、立ち寄ってみることにした。
早めに行って待つ。9時半を回っても10分たっても店の人が来ない。
もう帰ろうかと思ったころ、店の店主らしき女性がやってきて
「電車が遅れてしまって~」みたいなことを何度も言う。

↓写真はいずれも、クリックすると大きくなります。

どこの古書店でも、たいてい"Children's Book"コーナーがある。
1849年の古いグリム、挿絵を描いているのがだれか聞いてみた。
「ドイツ語なので、わかりません」と言われる。
その場に居合わせた男性客に聞いてみてくれるが、やはりわからないそう。
別のグリム挿画本も薦められるが、初志貫徹で、ドイツ語版を購入。
ほかにもう1冊。額縁に入った絵も買う。
3点購入。
何冊も値段を見たので、古書の値段の相場を知ることができた。
良いものは高いなあ、というのが率直な印象。

日本を出る時点では、ロンドンの郊外を回るか、
あるいは、ユーロスターでパリに行くのもいいかも、と思っていた。
が、パリも物価は安くないだろう。
プラハにも行きたかったが、ぎりぎりに手配したので、
日本で手ごろな値段のチケットがとれなかった。
ロンドンとプラハ両方に行ける航空会社もあるのだが、
混みすぎていて、キャンセル待ちにさえできなかった。

そこで、Earl's Courtに戻って旅行代理店へ。
プラハ行きのチケットがとれるかどうか相談する。
ホテルつきでなくてもいいと言ってみたら、
ホテル込みでないと飛行機代が高くなるそう。やむなくホテルもとってもらう。
プラハ中心部のホテルはどこも満杯。ま
ったく土地勘がない郊外に宿泊することになった。Prague4という地域。
ロンドンープラハの飛行機往復とホテル2泊で5万5千円ぐらい。
安くない。が、日本から渡欧する移動時間の長さを考えると、
そうしばしば来られるわけではない。お金を使ってでも行きたいところに行きたい。

最初は、BGMにのせて鼻歌まじりに作業していた女性社員だったが、
PCの動きが遅くて遅くて、うめき始める。頭を抱え込む。
ようやく万事完了となったのは、昼ごろ。

腹ごしらえをして、まず向かったのは、
当店がお世話になっているNさんお薦めの地域・店。
いちばん目当てだった店は昼食休憩だかで閉まっていたので、
すぐ近くのRare Booksの店へ。

ねこ本コーナーがあったので、1冊購入。
お客様から探しものを頼まれていたのであるかどうか聞いてみると、
店の女性がすぐPCで調べてくれた。が、ない。
私が探したいものを聞くと、やはりPCの画面で検索してくれる。
あるにはあったが、何十ポンドから何百ポンドもする。
やはり良いものは高いのだ。
「あっちに児童書が多い店がありますよ。行ってみたら」と薦めてもらう。

その「児童書が多い店」というのが、Nさんお薦めの古書店。
店の男性、ものすごい風邪ひき。
クシャミを連発していて、とてもつらそう。
話しかけることさえ躊躇してしまう。

が、Nさんにすばらしいウィリアム・ニコルソンを
見せてもらったので、あるかどうか尋ねてみる。
ガラスケースをあけて出してくれたのは"The Book Of Blokes"。
なんと、ウィリアム・ニコルソンのサイン入り!
値段は450ポンド。とてもではないが手が届く値段…ではない。
「探している本とは違いますか」と笑顔で言われる。
ペール・カストールを聞くと、PCで在庫を調べて
「ああ! 日本の美術館にまとめて売りました」と。
美術館の名前を聞いてビックリ。
Nさんが以前、勤務していた美術館だった。

ロンドンの古書店は、こちらから何か言わない限り、
結構、放っておいてくれるので、1冊1冊、棚のはじからはじまで見ていく。
欲しいと思っていたMargaret Tarrantが何冊か見つかった。
さすだなあ。
古い時代のねこ絵本、ビリビンも1冊見つけたので購入。
5冊購入で、合計2万円近く。
はあー、良いものがたくさんあるけれど、やっぱり安くないなあ。
が、トラベラーズ・チェックで払えるか聞いたら、どこかに電話して確認し、
笑顔で受け取ってくれた。釣り銭も普通にくれた。
私が行った中でチェックが使えたのは、唯一、この店だけ。

未練がましく、サイン入りニコルソン本をもう一度見せてもらう。
タイトルをきちんとメモする。
「下級層の人たちをスケッチした本だと思います、たぶん」と説明してもらった。
図々しくも写真撮影が可能かどうかと頼んでみる。OKだった。
イスの上に本をのせて撮影しようとしたら、
サイン入りのページをきちんと撮りやすいように抑えて手伝ってくれた。

「風邪、お大事に」といって店を出たら、後ろから声をかけてきた。
「日本の女性誌にうちが掲載されているんです」と見せてくれる。
最近取材を受けたのだという。

良い店だった。また行けばきっとぜんぜん違う本と出合えるのだろう。
彼が風邪ひきでなければ、
地下の書庫も見てみたかった。いつかまた行きたい。

地下鉄の乗り換えにようやく慣れてきたかと思ったら、
ロンドンの地下鉄、すぐ遅れたり、突然とまったり。
いつかテロがあったし、結構怖い。
車内放送が聞き取れないので、大丈かどうか、
周囲の人の表情を観察。
またか、といううんざり顔だが、緊迫感はない。
とくに事件ではなさそうだなと内心ほっとする。

次は、海ねこのお客様で、買取でもお世話になり、
渡欧前、ロンドン情報をたくさん下さったSさんお薦めの店へ。
Highgateという郊外にある児童書の古書店へ。
郊外へ行くと、緑が濃く空気が違う。空が広い。
トイレに行きたくてカフェに入ったら、窓の外で野生のリスが駆け回っていた。

児童書の古書店へたどりつくと、ビックリ。
先客は、日本人の女性だった。
こんなところに日本人が。
向こうも同じ気持ちだったと思う。
彼女が絵本を見ていたので、
先に、ねこ本、ネイチャー本コーナーを物色する。

絵本も見ていくと、欲しいものがあれこれ見つかる。
しかし、送料が高いので、自分でどうしても欲しいものは別として、
仕入れに使えないものは心を鬼にして買わない方針。
基本的に、新しく、今でも手に入りそうなものは買わない。
物色している間、お客さんが入れ替わり立ち替りやってくる。

ねこのオーランドものが何冊かあった。
人気シリーズだけあって、
現在流通していないものがたくさんたくさん出ていたのだろう。
さほど古くなさそうだが、20ポンド30ポンド40ポンドと、
かなり高めに値つけしてある。
文系女子ふう店主さんに絶版なのかと確認。
「たぶんそうだと思います。念のため、調べてみます」とPCで検索してくれる。
オーランドは印刷がきれいなものを1冊だけ購入。
ほかに、1950年代の絵本、チャールズ・キーピング2冊ほか5冊購入。

レジ脇に店というか彼女のコレクションとでもいうべき古い、
よさそうな本がたくさんあった。
が、そこにたどりつく前に予算オーバー。
もう閉店時間だったのでレジ脇はあまり見られず。
今度また行く機会があったら、レジ脇こそきちんと見せてもらおうと思った。

店主さんとは、さして言葉をかわしていないが、
目と目があっただけでシンパシーを感じた。
かなり広い店。さほど整理されていないが、
それでもよくあれほどの量の本を管理して、うまく切り盛りしていると思う。
気持ちのいい店だった。

朝から動いた初日だけで古本をン万円分、買ってしまった。
古くて良い絵本がきちんとした値つけで売られているようだ。
日本だったら、かなり貴重な絵本・児童書でも、
イタミがあるととたんに値段が下がってしまう。
古書修復の技術があまり広まっていないこともあるだろうが、
ヘタしたら簡単に廃棄処分になってしまう。
ロンドンの古書店では、たとえ破れていても穴があっても、
ビニールなど保護材を使って相応の値段で売られている。

「この国の人々の、古いものに美を見る審美眼と、
それを守る手間を惜しまない意志と余裕に驚くのだろう」
(「英国オックスフォードで学ぶということ」より)

21日の古書店めぐり 4軒 14冊+絵1枚、購入


●4月22日(土曜)

2泊したホテルをチェックアウト。
近くのさらに安いホテルへ移動することにして、
デポジットとしてはじめの1泊分を支払う。
2泊したホテルは、ネットで予約できた中ではもっとも安いランク。
安いと言っても1泊1万円以上もした。
移動先は、1泊25ポンド。
ホテル前に「25ポンド」と目立つように書かれ、人寄せしていた。

さて、宿が決まったところで、
ロンドンのビクトリア・ステーションへ。
ここから1時間ほどかけて、Sさんから情報をいただいた郊外の町へ。
サセックス州のLewes(ルイス)というところへ出かける。
Sさんから石井桃子著「児童文学の旅」を薦めていただいたので、
早速読んだのだが、石井さんが若いころ旅した街でもある。
エリナー・ファージョンの小説の舞台。
ルーマー・ゴッデンもサセックス州生まれだし、
アーサー・ランサム作品にも登場するサセックス州である。
陽光あふれ、南国といった感じ。
人は穏やか。いかにも妖精でもいそうな、素敵な街である。
坂道が多く、川が流れている。
私が行った中では岐阜の高山とどこか似ている。
海が近いので、川辺に海鳥がかなりいた。

ルイスでのんびり本でも読みたい。
インフォメーションで、ホテルを聞くが、
ひとりだとチャージがかかってかえって高くつくと言われてしまう。うーん。
子供向けの本がたくさんある店があると聞いたのですが」と
拙い英語で質問したところ、
「ああ、あそこね」とインフォメーションのおばちゃまが親切に地図を出して教えてくれた。
ところが、行ってみたら、あれ、ちょっと違うみたい。
確かに児童書ばかりの専門店だが、新刊ばかりの店だった。

思い浮かんだ英単語で
「Old Bookはありますか」という質問の仕方をしたら、
店員の女性がしばらく考えた末
「こういうのですか」と見せてきたのは、ピーター・ラビットのシリーズ。
「そうではなくて、アンティークの本が欲しいのです」と言うと
「ああー!」と合点がいった様子。
とても親切。いやな顔ひとつせずに、
地図を指差しながら古書店の場所を説明してくれる。
私が目指したかった古書店は、
ハイストリートのまったく逆側、30分から1時間ほど歩いたところにあるという。
歩きに歩いたが、おかげで、
ルイスの街にある古書店4軒、すべてきちんと見ることができた。

骨董の店などが多い。土曜なので、人々が街に繰り出して楽しんでいる。
ぶらぶら歩きながら、最初に遭遇したのは、
軍記、戦記ものの古書店。
この店にChidren's Bookがあるとは、普通だったら思わない。
が、ショーウインドウに絵本が飾ってあったので、
入ってみたら、ねこ本コーナーがあり、
Chidren's Bookもかなり置いてあった。
古いパフィンブック2冊を含む3冊購入。

トーマスクックに立ち寄る。
現金が少なくなってきたので、トラベラーズチェックを現金に換えたい。
手数料ゼロで換えてくれた。
ロンドンの街中でトラベラーズチェックを現金にしたいと頼んだら、
郵便局では50ポンド分の換金に3ポンド、チャージがかかると言われたのだ。

坂道をのぼってくだって、さらにのぼってくだって…、
途中でトイレと食事休憩。
さらに歩いて歩いて、たどりついたのは
15世紀の建物をそのまま使っているという古書店。
児童書がたくさんあると、Sさんから教えていただいた店だ。

店内には、本がぎっしり積重ねてある。
「本をとるときは必ず店主に声をかけて断ってください」と、
ベタベタと何箇所もに注意書きが貼ってある。
児童書、確かにあるにはあった。
が、想像していたほどなかった。
それに、想像していたような欲しいものがあまりなかった。
だれか絵本・児童書好きがさんざん買い尽くしたあとに
行ったのかもしれない。
せっかくここまで来たのだし、ぜひとも何か探し出したい。必死に探す。

私が、下のほうにある本をそーっとそっととろうとしていたら、
本の山が崩れてしまった。
チック・コリア似の店主さん、つかつかっと来て
「店主に声をかけて断ってください」の貼紙を指差す。す、すみません!
怖い人かと思ったが、3冊、買いたいと差し出すと、にっこり。
1冊1冊、見ながら"Good Job"と言ってくれた。
たいした意味はないのだろう。
「おお、まあまあ、いいやつを選んだね」ぐらいの軽いニュアンス?
(英語のニュアンスまでよくわからないので)

店主さんの後ろにはってあるねこの写真を指して
「あなたのねこですか」と聞くと
満面の笑顔になり
「おお、そうだよ。ねこはいいねー、
ラブリーでファンタスティックだ」
とペラペラしゃべり始める。

せっかく遠くまで来たので、
石井桃子さんも若かりしころのぼったというルイス城を探索。

受付に荷物を預かってもらう。
石段をのぼってのぼってお城の上へ。
青空。花が咲き乱れ、美しい光景が眼下に広がる。
近辺の庭でトランポリンを楽しむ子供たちが見える。
戦続きだった時代、お城で周囲を警戒して
見張っていた人たちの苦心たるや、いかにと思った。

駅に戻る途中、古書店2店をのぞく。
ボタニカル・アートが壁に貼られ、アート本が充実した店で、
ランドルフ・カルデコットの大変古い大型絵本を発見。
間違いではないかと思うぐらい、手ごろな値段で入手することができた。
ああ、やっぱり郊外に来てよかったーと思う。
さっきの古書店にもくまのルパートが、
各時代のさまざまな本、揃っていた。
ここにも1冊あり、手ごろな値段だったので、買っておく。

もう1軒でも、やはりルパート1冊購入。

古書で荷物が重くてならないが、宿が見つからない。
歩いて歩いて空き室があるかどうか聞いてまわるがダメ。
ロンドンに帰ることにした。

ルイスからの車窓には、草地に馬や牛がいて、
いかにもイギリスらしい光景。
電車賃が安くないので日帰りするには惜しいが、行ってよかった。

1泊、地方に宿泊するつもりだったが、
25ポンドのホテルに戻って、部屋があるかどうか尋ねる。
大丈夫とのことで、部屋のキーをもらう。
最初のホテルも狭くて、ベッド以外に居場所はほとんどなかったが、
今度は線路沿い。
地下鉄が地上に出るところで、音がものすごい。

古いし、狭いし、貧乏学生みたいな気分。
天井が高い点、線路なので窓の外に空間があるのは救い。
宿と食事を切り詰めてでも本代に回したいので、
安宿でも、やむをえない。
たとえ監獄のような宿であっても、
カギをかけて部屋にこもればプライバシーは保てる。
住めば都、だと自分に言い聞かせる。

しかし、25ポンドのクラスだとシャンプーすらないんだなあ。
最初のホテルで使わなかったシャンプーを持ってくればよかった。
以後、帰国まで毎日、石鹸でシャンプーする日々となった。

22日の古書店めぐり 4軒 10冊


●4月23日(日曜)

日曜は、普通の古書店はたいてい休みだ。
そのかわり、ウィークエンドのみ営業という店が多少ある。
昨夜、書店・古書店のガイドブックを見ながら、
日曜オープンのところのみピックアップしておいた。

それらのうち、ウィークエンドのマーケットもあるので、
ついでに見るといいと書かれていた郊外の町へ。
まったく知らない町である。

駅からどう行けばいいのか、まったくわからない。
駅前にあった地図を見ても、よくわからない。
雨の中、30分近く歩いてみたが、
それらしい建物がまったくないので断念して帰ろうとした。

が、一度、駅近くまで戻って、駅前の地図を見直したら、
これかなと思うところが見つかった。再度、歩きに歩いて行ってみる。

マーケットそのものは正直、かなりしょぼかった。
閑古鳥が鳴いているが、だれも気にしていない感じ。
が、ここにある古書店は捨てたものではなかった。

私が選んだものを見て、男性店主さん、
「これはどう?」「こういうのもありますよ」と、
店内のあちらこちらから持ってきてくれる。
ウォルター・クレインがすばらしかった。が、200ポンドである。
貧乏店に即決できる値段ではない。
この店主さんは、なかなかのやり手と見た。
古いピクシーブックを3冊、古いペール・カストール、妖精の大型本を購入。
ポンドの所持金が尽きてきたので、
トラベラーズチェックで払えるか聞いたら、カード払いならOKとのこと。

外は雨。大きなビニール袋がないからと、他店に調達しにいく店主さん。
雨が強まってきたので、口をテープでふさいでほしいと戻ると、
他店にテープを借りにいって丁寧に対応してくれた。

日曜に開店している店ーーー
ピカデリーにヴィンテージ雑誌の古書店があるらしい。
迷った末に、カムデンタウンへ。
骨董の家具があるエリアの間に、古書が多少ある。

最初に入った店で、チャップブックのような
小さな小さなシンデレラなど3冊セットを薦められた。
欲しい。が、ビニールをあけて中を見たら、
3冊のうち2冊はクレヨンの色塗りがすごい。
店主さんが「オークションに出したらすぐ売れてしまうよ」とのたまう。
値札は37.50ポンドとなっていたが
「33ポンドでいい」というので、じゃあ買いますと言ったら、
どうやら1冊33ポンドらしい。
3冊で33ポンドかと勘違いしていた。
こういうときはキッパリやめておくに限る。

ひじょうに古いポップアップと、くまのルパートが交互に出てくる古書を
出してきた。大変すばらしい。
「750ポンドだけれど、まけるよ」と店主さん。
背がすべてとれていなければ多少考えたと思うが、
残念ながらやめておく。

カムデンタウンの別の店で、1冊購入。
ここでは"オリジナル・プリント"と書いた絵がたくさん売られていた。
犬、ねこ、子ども、昆虫…などとジャンルごとに分けて箱に入っている。
ねこのものを何枚か選んだ中から、値段を考えて1枚だけ購入。
頼みもしないのに安くしてくれた。
店主さんに「オリジナル・プリント」というのは何かと聞くと、
壊れた本をバラして売っているのだという。
なるほど、本は壊れても、そのまま捨てたりはしない。
バラして使えるところだけでも再活用する。
さすがイギリスである。

カムデンタウンから歩いて5分ほどの古書店が日曜営業なので行ってみる。
店頭の雨に濡れるか濡れないかぎりぎりのところに、
児童書が乱暴に積み重ねられている。
一目見てわかるほど、本の状態がきびしい。
Children's Bookはどこにあるのかと聞くと、
「店頭に3箱ありますよ。あと、店内にも少しあります」と。
いちばん下の段に多少あったが、
Chldren's Bookに力を入れていないことは一目瞭然。
状態もいまひとつ。欲しいものは見つけられなかった。

歩き疲れた。本を抱え持ったまま、
地下鉄の乗り換えに耐える元気がない。
地下鉄の乗り換えはひじょうに歩くので、
よく路線図を見て、できるだけ乗り換え回数を減らすのがポイントらしい。
ピカデリーに立ち寄らず、わが貧乏宿に戻ることにした。

23日の古書店めぐり 2店 6冊+絵1枚


24日は朝6時起きで、ヒースロー空港からプラハへ。
結局、長くなってしまいました。
続きはまたそのうち書きたいと思います。
明日があるので、もう寝ないと。
長々と乱文失礼しました。

Sさん、情報をいろいろありがとうございました。
ひとりでもさほど孤独を感じずにいられたのは、Sさんのおかげです。
Nさん、役立つ情報をありがとうございました。
次回はぜひパリに行きたいと思います。
メールを書きたいと思いつつ、まずはお礼を!

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コメント(2)

無事のご帰還を喜んでいます。
成果もまずまずだったみたいですね。骨休めのはずが結局「買い出し」の旅になってしまったのは、よかったのかどうか。サセックスにまで足を運んだと聞いて驚きました。ニコルソンのThe Book of Blokesはサイン入りでなければもっと安価で手に入るはず。表紙は何色でした?(色違いが数種あるのです)
プラハ行きのご報告も楽しみですね。

沼辺さん、ありがとうございます。
ニコルソン、水色だったかな。
あまりうまく撮れませんでしたが、
のちほど写真を掲載しましょう。
イラストのタッチと同じ線で署名が入っていたので、
ニコルソンがそこに生きているかのように感じました。

沼辺さんがいらっしゃったら、
知識と教養で、さぞかしたくさん良い本を
お探しになれたことと思います。
おかげさまで楽しんできました。
買えなくても、手にとって見られたのが
とても楽しかったですし、勉強になりました。
同じ本でも、古い時代の版は
印刷や紙の感じがぜんぜん違うので。
再版されている本を見てピンとこなかった本でも、
ひき付けられる連続でした。

お金がもっとあればもっと良かったです(笑)。
あとで書きますが、最終日、
ロンドンで買った本を送ったところ、
送料が高くて泣きそうになりました。

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