書き文字の妙

| コメント(3)

暮しの手帖、子どものころ母の実家に行くとたくさん
本棚にあったので、愛読していました。
今からもうン十年前のことです。
なんだか、とっても正しい雑誌に見えて、
子ども心にも、大人になったら暮しの手帖を購読したいと思っていました。
ヘンな子ども…?

すでにこちらでご紹介している何冊かの表紙をアップにして見比べみても、
なんて素敵なイラスト、なんて素敵な書き文字かと思います。
すべて花森安治さんの手によるものです。
よく見るとおわかりのとおり、
「 年 月 日 第3種郵便物認可」の小さな活字が入っている場所が
1冊1冊、異なります。すべて装丁の一部なんですね。

以前、自分用に購入した村山知義の「演劇的自叙伝」を
こちらで紹介しましたが、
暮しの手帖同様、やはり書名の書き文字を含めて装丁が美しかったです。
ちょっと前の時代の本って、装丁だけでもほれ込んで持っていたくなるような
素敵なものがたくさんあります。
時代とともにすべてが移り変わっていく中で、
古い本や雑誌の装丁など、失われつつある美しいもの、かわいいものに、
愛着を感じる今日このごろです。

私が編集の仕事を始めたころーー今から20年も前ですが、
出版社の裏手に書き文字屋さんのお宅がありました。
本業は画家で、「××先生」とお呼びしていました。
雑誌の書き文字は、アルバイトだったようです。
4ページぐらいの記事でも
「このスペースに書き文字をお願いします」とお願いすると、
翌日には丁寧に書いておいてくれました。
レイアウター(デザイナー)も写植のサイズをはからなくていいから楽なのかどうか(?)
何かと言うと「ここは書き文字」と多用したがりました。

ところが、しだいに写植に変わり、書き文字は古臭い、ダサイというイメージに変わっていました。
週刊誌の事件簿のタイトルとかバタくさーいイメージに感じられ、
写植のほうがスッキリしてカッコいい感じで。
写植屋さんはどんなに変形スペースでも、写植を上手に切り貼りして
デザインして配置してくれました。
そうして、いつしか書き文字屋さんへ通うことは減っていきました。
今ではDTPが主流になり、肉筆による書き文字といったら逆に贅沢なイメージかも。
歌は世につれ、本も世につれ、なんですね。

コメント(3)

今のデザイナーは書き文字というかレタリングが出来ない子が多いんですよ.
なんというかDTP世代だなーって感じだけど.
簡単なレタリングは中学校で習った気がするんだけど,そういうのも出来ないみたいで,ロゴなんか作るとありもののフォントから作るから変にきれいというか.
せっかくデザイナーなのにちょっともったいないなーって感じです.グラフィックデザインは手で書いても面白いのに.

おっさんみたいなコメントで申し訳ない(笑)

文字をデザインするって、
きっととても楽しい仕事だと思うのにね。
もったいないですよね。
若いデザイナーや編集者に
「花森安治の仕事」(酒井寛)を読んでみてほしいです。

おっと、私こそ、うるさいおばさんみたいな
コメントで申し訳ない(笑)。

コメントする

2012年4月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のコメント

アーカイブ