2005年12月23日

岡崎武志堂、品川へ!

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12月25日、品川インターシティ「第5回 フリマでミニミニ古本市」に
我らが岡崎武志さん出品の古本がやってきます。
段ボール1箱分ではありますが、中身は濃いです。
どんな本があるのか、当日までのお楽しみ。ぜひみにきてください!
さらさらっと看板を描いてくださいましたよ(上のイラスト)。

さて、岡崎邸ですが、
外観は、女性が声をあげて喜びそうなかわいらしく素敵なお宅。
玄関ポートにはテラコッタの鉢がいくつも。

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階段をとんとんとんとんと下りていくと、
広々とした地下書庫があります。
ここが、岡崎武志さんが日夜、原稿書きで"格闘"している書斎。
言うまでもなく、本・本・本・本・本・本・本・本…………。
正直に言いますが、そのへんの古書店より広い。
あのへんの古書店より本が多く、
そのへんの古書店よりずっとおもしろい。
それはそうです。
岡崎さんが20年以上、日々歩いては入魂の思いで
蒐集してきた本たちなのです。
「何冊ぐらいあるんですか」と飽きるほど聞かれたそうですが、
そのたびに「2万冊です」と答えるとか。

机の脇にはテレビ、壁際にはベッド。
あかりとりの窓辺にビールか何か? 酒類の空き瓶。
ソファーの後ろには、骨董の戸棚を利用した書棚。
書棚は1つ1つ異なるものを必要に応じて、どんどん買い足していった感じ。
奥のほうには、向かい合わせどうしの書棚と書棚に板を渡した臨時棚(?)。
ティッシュの空き箱を利用した文庫入れがきれいに積み重ねられ、
「おはよう奥さん」の取材で撮影させていただきたい一角も。
棚の中は、ジャンル別に整理されています。
あちらは病気もの、そちらはソイナミ本…
(岡崎さん命名。「そういえば、いつも、ならんでいたのを、みた」本のこと。
黒柳徹子、タモリ、たこ八郎…ソイナミ本が2棚ほど占めていたような?)。
階段脇には大型のビジュアル本(書棚の上には、
入りきらなくなった本を立てて入れた段ボール箱がのせられていました)。
本棚一面ベージュに染まった中公文庫づくし棚。
おもしろい本だったのに、出版してじき著作権の問題で
絶版となってしまった幻の文庫…。
各ジャンルごとの内容密度が濃いこと濃いこと・・・。

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↑少年少女世界推理文学全集
アルセーヌ・ルパンの冒険(あかね書房)。
若かりしころの和田誠がイラストを手がけています。
横尾忠則、黒田征太郎らが手がけた挿画本を含む、豪華な全集です。

紀行コーナーには岡崎さんの著書に出てくる古い巴里本がズラリ。
戸塚文子、カラーブックスなどとともに
林芙美子の「三等旅行記」(昭和8年 改造社)も鎮座していました。

見せていただいた昭和初期あたり(?)の広告を集めた本、
書名を失念。しまった。悔やんでいます…。
欲しくて欲しくて、自力でどうにかして探し出せないものかと思ったのに。
ふだんだったらこっそり書名をメモするのに、今日は緊張の極地でした。
そんなときに限ってぐぅぐぅ鳴る私の腹。まぬけすぎます。
すっとんきょうな質問しかできない自分。もっと本のこと聞けよ。
大学教授の前に出された小学生なみです。

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↑ねこも居心地よさそうな、地下書斎でありました。

なぜだか、自分が何者なのか明らかにせよと
問いかけを突きつけられているような気持ちになりました。
なぜなのだろう?
岡崎さんの棚は、1冊1冊の温度が大変熱いように思いました。
日月堂さんが「現場がいちばんおもしろい」と話していました。
所持者なきあと、本の整理に立ち会う古書店主の気分とは
いかなるものだろうかと思いますが、
人が時間とエネルギーとお金を費やして集めた本たちというのは、
やはり迫力があります。
私は買取で、とあるご年配の方のお宅に伺ったことがありますが、
そのときは、きれいな全集類が多く、
こぎれいなインテリアの一部といった印象を受けました。
むしろ、つい最近でいえば、市場で買った束に混じっていた古い図録
1冊1冊にチケットや新聞の切り抜きがはさまっていたほうがリアルで、熱く感じられました。
おそらく同じ人が美術が好きで、
あちらこちらの美術展に通ってはこつこつ買い集めたのだろうと推測されたので。
週末ごとに美術館に通っては、
図録を書棚に加えていった思い、
その人の生きざまが伝わってくるように思えてなりませんでした。

岡崎さんの書斎にある本は1冊1冊に生命が宿っているように思いました。
1冊1冊、岡崎さんが蒐集していった思い、本への愛情、
そして、本1冊1冊の命(著者や編集者の魂)が活気づき、ひしめいている感じ。
物質としての本の列でなく、本の形をした有機体のような。
「ここで格闘しているわけですよ」とパソコンに向かう岡崎さん。
疲れたらテレビを眺めたり、書棚と書棚の間を縫うようにして
本の書き手たちと会話している光景が目に浮かぶようでした。
「本はいいよね〜。1つ知ると、また次、また次と
どんどんどんどん知りたいことが見つかって、
どんどんどんどん深いほうへいけるものね」
日夜、自分が買い集めてきた本たちと会話をしていらっしゃるのだろうなあ。
本を書いた先人たちとも会話しているのかもしれないなあ。
…と勝手に想像する私。

岡崎さんは、カッコいいなあ。
人生そのものに対する真摯な姿勢が一貫しているように思います。
「本は読むのもいいけど、
本を書くのもいいからね」
「自分の本を出すというのが大きいね。実に大きい」
果して、私はどうなんだろう。
自分、何をやっているんだろうなあ…。
どうやって生きていこうかなあ…。

お嬢さんの好奇心いっぱい、
曇りのない瞳がまぶしかったです。
若かりしころ、岡崎少年もそんな瞳をしていたことでしょう。

帰りに、旅猫雑貨店さんと一緒にブックステーション武蔵野店で古本物色。
マックでこの先のことなど語り合って帰途につく。

というわけで、岡崎武志堂より古書が品川にやってきます!
女性好みの本もずいぶん意識的に選んでくださったようです。
岡崎夫人の手作りブックカバーは、レトロなプリントの布地を
斬新な色あわせでキルティング加工。
しおり紐の先に、ちょこんとビーズがついています。
本の厚さにあわせて調節でき、裏地もしっかりのつくり。
どの柄を選ぼうか、私も買うつもりで今からワクワクしています。

投稿者 tomoko : 2005年12月23日 01:35 | トラックバック
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