向井さんと瀬戸さん

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通常と異なる市場になっているため、
出かける機会が激減している。
夜昼逆転して、生活のペースがおかしくなる。
歩いていない。まずいな。
やることはいくらでもあるので、
ひとり家にこもって仕事をしているが、
無性にだれかと口を聞きたくなる。
ふだんは億劫なのに、外へ出る仕事がしたくなる。

立派なものでなくていい、
薄手のから始めればいいと思いつつ
自家目録に取り掛かっているが、早くも行き詰まりを感じる。
たやすくない…。その6文字である。
ただ並べていけばいいのか? そうではないだろう。構成が難しい。
こんなのでいいのか? だれひとり見向きもしないのでは?
もっと人をひきつけるものが必要じゃないか? 
かえって店のマイナス・イメージになるのでは? すぐ不安になる。
何百冊、何千冊と掲載するのであれば、
目録専用の置き場を確保しなければならない、
もっと充実した目録にするため
本を集めたら一体いくら軍資金がかかるんや? 
赤字か? 回収できるんか? 
だれに配るの? こんな目録、見てもらえるんだろうか? などなど。
道は険しい。半年、1年はかかることだろう。

月の輪さん、石神井さん、港やさん、日月堂さん、徳尾さん…
皆さん、この壁をどうやって乗り越えて目録の完成まで
こぎつけているのか。
気が遠くなるようだ。
市場での先輩たちーーマジな視線を思い出す。

で。
登山が近づいてきたことだし、
天気が安定していれば、高尾山にのぼってみようかと
家のものと相談している。

もうひとつ。この週末は池袋に行きたい。
ちょうど同じ時期、鬼子母神のお祭りとか。

メルマガ「早稲田古本村通信 第3回外市 大特集号」が
届いていた。
向井透史さんの文章がよい。
久々、素直に心へ届いてくる文章と出会った。
心のたけがよく出ている。
古書展が苦手だった瀬戸さんが
今日にいたった経過に"ドラマ"を感じる。
外市を楽しくも懸命にやっている気持ちが伝わってくる。

読んでみます?
ご本人が「転載? いいっすよ、どんどんどうぞ」
とおっしゃるのではないかと勝手に信じて
以下、転載させていただきます。

挟み込み以下の7行、まったくの蛇足ながら。
瀬戸さんたちもいろいろ考えているようだが、
とりあえず出来ることとして、
旅猫さんがつくっているマップみたいに、
「わめぞ うまい店ガイドマップ」(クーポンつき?)を
「外市」で配布したらいいかもと思った。
やってるのかな、そういうの、すでに?
もとい、向井さんの文章です。↓
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■■「外市」宣言 改訂版■■ 古書現世・向井透史

 思えば会場である古書往来座店主の瀬戸さんと初めて会ったのは、
2006年の2月だった。その月の終わりに池袋のジュンク堂で岡崎武志
さんと坪内祐三さんのトークショーがあり、そこに知人が数人聞きに
行っているということで、みんなで飲みましょうということになった。
その時、少し前に知り合いになった、「編集会議」の古本屋紹介連載
の筆者で、フリペ「buku」編集長でもあるライターの北條さんが
「誘いたい人がいるんですけど」という話になった。それが瀬戸さん
だった。その後、北條さんから瀬戸さんが飲み会参加に緊張していると
聞いた。知っている人がいない飲み会なので、心配しているという。
そこで、2月中旬に開催されたサンシャインの古本市に行った帰り、
往来座に挨拶をしに行こうと、こちらも少し緊張して店に向かった。
そして初めて瀬戸さんと会った。随分と大きな店で驚いたのだが、店主
である彼が自分より年下だということでもまた驚いた。まだ三十代前半
なのだ。真面目な人だな、というのが第一印象だった。そして当日の
飲み会でも、なんとも言えない味のある瀬戸さんの風情に一発でファン
になってしまった。どちらかといえば「新宿」に行くことが多かった
自分が、用事を「池袋」で済ますようになったのはこのころである。

 その年10月の早稲田青空古本祭が終わったころ、ちょっとした用事
で往来座へ行くと、急遽自分の誕生日を祝う会を開催してくれるという。
往来座のみんなと鬼子母神横の「魚河岸亭」へ行った。その席で、往来
座外の均一があまり売れない、という話になった。あれだけのスペース
を使ってるのに、もったいない気がする、と瀬戸さんは話した。そこで、
以前からやりたいと思っていた案を話した。古本屋の店頭、もしくは中
で小さな古本市を開催するというものである。それを、その均一スペース
でできないだろうか。ちょうど早稲田の催事、BIGBOXの古本市が
終わる、という話が出始めたころだった。そういう不安な毎日に考えて
いた「次の古本市」。交渉事に嫌気がさしていた自分は、気軽な古本市
が欲しかった。以前と違いネット告知が比較的容易になった現在、広い
店先があれば、「店」そのものが「会場」となれないか、と思っていた
のだ。

 現在、古書会館などをのぞいて、古本市は受難の時代ではないだろう
か。新宿伊勢丹の古本市打ち切りは衝撃的だった。あれだけの売り上げ
を出し続け、三十年ほど続いてきた古本市も、ブランド戦略の前にあっ
けなく切られた。他にも他催事との天秤にかけられてできなくなったり
もあるのだという。そうじゃなくても、場所を借りるというのは大変な
ことで、制約は多いし、経費だって売り上げの2割3割は当たり前だ。
品物集めも大変だ。以前ほど簡単に本を集められなくなった。市場に出
品される本も少ないし、一般の古本市で売るような本を1000冊近く
集めるのは本当に大変だ。古本市にあわせて発行される目録なんかで数
百万円売るような古書店と違って、小さな古本屋は現場で売れてなんぼ
だ。でも本が無いから店から抜いたりして、それで店が開店休業状態に
なったりする。そういう本末転倒状態におちいったりもする。妥協して
同じ本を使いまわして、売っていても面白くなかったりもする。

実は、そんなことから瀬戸さんは古本市というものが嫌いなのだと後で
知った。話は彼の独立前、修業時代に遡る。店長があまりいなくて、店
内をまかされていた彼は真面目に店の棚を作った。いろいろと考えて棚
を作った。毎日の積み重ねであるそんな棚を、一瞬で壊してしまうのは
いつも古本市という存在だった。前述のように、店主に棚からごっそり
本を抜かれて棚は壊れる。きっと、真面目な瀬戸さんにとって、自分の
心そのものが抜かれるようにつらかったに違いない。そんな瀬戸さんに、
彼の店で古本市をやろうなんて言ってるのだから、自分はなんと非常識
なのか、と思う。でも、自分だって思いは同じなのだ。自分は「店」の
ために「古本市」をやりたいと思ったのだから。別に「古本市」という
のはどこかへ行ってやる必要がないと思うのだ。実際店舗が売れている
店というのは、店の中に「古本市」的な要素があるのである。「いい本」
というよりは「買いやすい本」がたくさんあるという状況である。とは
言っても口で言うのは簡単だが、それはそれで量もいるし、手間だって
大変である。だから気軽にそのような状況を作るために、その部分は他
の店に頼む。当たり前なのだが、人が来れば店も売れる。自分の店だか
ら、制約はほとんどない。結局は、店にくる「きっかけ」作り。それが
店舗内古本市なのである。

 話変わって。退屈男君のブログ「退屈男と本と街」というのは本当に
いい名前だと思う。彼は街を歩く。本だけではなくて、街のあれこれを
刻みながら歩く。「本」とは関係ない景色を歩き、「本」に関係なさそ
うな人たちとすれちがう。その先に本屋がある。「街」はやっぱり「雑」
がいい。だから自分は「ヘイ・オン・ワイ」のような本屋だらけの街に
は興味がない。何かこう、「ざらつき」が無い。イメージとして、心地
よすぎるのだ。路上とつながった、普通の街角に古本を集めたい。もし
かしたらそれが「古本市」だと気づかない通行人がいるような、そんな
古本市がやりたい。実は往来座の「往来」にはそんなイメージがあるこ
とを瀬戸さんに聞いた。彼には大事にしている言葉がある。HPのトッ
プにある言葉だ。「本は本棚のつづき、本棚は本屋のつづき、本屋は
往来のつづき」。本の中に街はあり、街の中に本はある。「本」にも
「街」にも無限の可能性があるような気がしてくる。これは大学時代の
恩師の言葉だそうだ。
 それから、かつてあたりまえだった道端での立ち読みの姿。今はコン
ビニのガラスの向こうだったり、大書店はビルの中だ。小さい書店の前
で、雑誌を立ち読みしている人たちの風景。そのような、街の中に本が
普通にある風景を、もう一度みたい。店の内と外がきっちりつながって
いる、その場所で外市をやりたい。

 外市のキャッチフレーズは「外、行く?」である。お客さんが気軽に
人を誘って来られるような、そんなイメージで作った言葉だ。でも、実
はそれだけではない。売る側、つまり自分や参加者に向けての言葉でも
あるのだ。たとえば。自分も、思うように店を運営できない。いまだ親
父が社長であり、自分は雇われ店主みたいなものなのだ。だから、流さ
れたまま毎日を送ってしまう時もある。妥協になにも感じなくなってし
まう時もある。でも、言い訳ばっかりしてふてくされていても、何も変
わらない。そんな時、外市が具体的に目の前に現れた。「古本業界」と
か「早稲田」とかのしがらみがない古本市が目の前に現れた。もう15
年以上古本屋をやっているが、もう一度、ゼロから積み上げていける機
会をもらったような気がする。自分が立っている狭い枠の外へ行けるよ
うな気がする。古本市が嫌いだった瀬戸さんは、自分の店でその古本市
をやることを決めた。新しいお客さんや同業者とのつながりに賭けて、
彼は一番最初に「外」へ出た。

 この外市、経費は大棚を使うプロで数千円、他は数百円だ。「この
古本市を開催することによる集客」をもって参加費とさせてもらった。
出品量も自由だ。棚にあわせて量を決めるのではなく、出したい量に
あわせて、棚を決める。自分を表現することに何がベストか、という
ことを一番にしたいのだ。店番に来られなくても参加できるようにし
たい。とにかく無理なく参加できる場を作りたかった。不安なく参加
できる場を作りたかった。実際、プロの古本屋でも古本市をやりたい
けど量がとか、人手がとか、いろんな理由で参加できず「外」へ行け
ない人も多いと思う。そういう人、いまだ出会っていないけど同じよ
うなことを思っている人が気軽に参加できる場であってほしい。今ま
でと違う自分を表現できる場であってほしい。不満だらけの自分の枠
の「外」へ行ける場であってほしい。だから「外、行く?」なのだ。

晴れでも雨でも、空の下で本を見て、少しでも来てくれた人にいつも
と違う「外」を感じていただければと思っています。では最後に。
「外、行く?」。

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古書往来座 外市 明日7日初日。午前11時開始です。雨天決行!
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「外、行く?」
第3回 古書往来座外市~わめぞ七夕、外に願いを!~

■日時
7月7日(土)~8日(日) 

7日⇒11:00~20:00(往来座も同様)
8日⇒11:00~17:00(往来座は22:00まで)

■雨天決行! 一部は店内に移動します。

■会場
古書往来座 外スペース(池袋ジュンク堂から徒歩3分)
東京都豊島区南池袋3丁目8-1ニックハイム南池袋1階
http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/

■参加者

▼メインゲスト(大棚使用約200冊出品)
”古本ソムリエ”山本善行 http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/

山本善行(やまもと・よしゆき)
1956年、大阪市生まれ。古本エッセイスト。「エルマガジン」にて「天声
善語」を連載中。著書に「古本泣き笑い日記」(青弓社)、「関西赤貧
古本道」(新潮新書)。


▼わめぞ古本屋軍団(大棚使用約200冊出品)
古書往来座(雑司が谷)http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/
古書現世(早稲田)http://d.hatena.ne.jp/sedoro/
立石書店(早稲田)http://d.hatena.ne.jp/tate-ishi/

■わめぞオールスター(小棚 or 一箱)
m.r.factory 武藤良子(雑司が谷)
http://www.geocities.co.jp/Milano-Aoyama/5403/
旅猫雑貨店(雑司が谷)http://www.tabineko.jp/
リコシェ(雑司が谷)http://www.ricochet-books.net/
ブックギャラリーポポタム(目白)http://popotame.m78.com/shop/
琉璃屋コレクション(目白) 版画製作・展覧会企画
退屈男(名誉わめぞ民)http://taikutujin.exblog.jp/

■スペシャルゲスト(一箱 or 小棚)
岡崎武志堂 http://d.hatena.ne.jp/okatake/
蟲文庫(岡山) http://homepage3.nifty.com/mushi-b/
嫌記箱(塩山芳明)http://www.linkclub.or.jp/~mangaya/
臼水社(白水社有志)http://www.hakusuisha.co.jp/
ハルミン古書センター(浅生ハルミン)http://kikitodd.exblog.jp/
文壇高円寺(荻原魚雷) http://gyorai.blogspot.com/
「朝」(外市アマチュアチャンピオン)
北條一浩(「buku」編集長)http://www.c-buku.net/aboutbuku/index.html
貝の小鳥 http://www.asahi-net.or.jp/~sf2a-iin/92.html
美篶堂 http://www.misuzudo-b.com/
伴健人商店(晩鮭亭)http://d.hatena.ne.jp/vanjacketei/
ふぉっくす舎 http://d.hatena.ne.jp/foxsya/

他、往来座お客様オールスターズ

▼まだ残席ございます! よろしくお願いいたします。

■ワメトークvol.2 『古本暮らし』刊行記念
「三重県人!~わたしたちが東京に来るまで~」

荻原魚雷さんの『古本暮らし』(晶文社)の刊行を記念いたしまして、
トークショーを開催します。お相手は人気イラストレーターの”猫ストー
カー”浅生ハルミンさん。お二人の共通点、それは三重県出身! 三重とは?、
不良との戦い、地方での古本体験から東京に出てくるまでのエピソードを交え
て語っていただきます。

荻原魚雷(ライター)×浅生ハルミン(イラストレーター)
司会・向井透史(古書現世)

■日時
7月8日(日) 14:00~16:00(開場1:30)
■会場
上り屋敷会館2階座敷 東京都豊島区西池袋2-2-15 
地図はコチラです。→http://f.hatena.ne.jp/wamezo/20070413174217
■参加料 600円
■定員 40名

■予約方法
予約・問い合わせは古書往来座が受けます。電話・メール・FAXのいずれか
で、お名前、参加人数をご記入の上、お申し込みください。

◎古書往来座 営業時間11:00~22:00
TEL&FAX 03-5951-3939
ouraiza@kosho.ne.jp

※当日、参加希望の方は、外市会場で直接、もしくは往来座に電話にて座席
の有無をご確認ください。事前に定員に達した場合は「わめぞブログ」にて
お知らせいたします。 http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

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