10月22日、組合に加入しました

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東京都古書籍商業共同組合に加入いたしました。
面接を受け、加入を承認するというハガキをいただきました。
10月22日、古書会館の事務所で出資金や共済金などをおさめ、
レクチャーを受けました。
組合員の名札をつくってもらいました。
もうこれで古書会館で日々開催されている交換会(いわゆる市場)に参加できるのです。
いったん事が進んでみれば、かつて入るべきか否か悩んでいたことは夢のよう。
あっという間に古書組合の組合員になってしまいました。
自分でも信じられないような気分。

この夏から古書店の方々に相談させていただき、
加入に関しては、さまざまなご意見をいただきました。

多くいただいた声をまとめると、次のような感じ。

*交換会に参加できても、欲しい本を入手できるとは限らない。
自分が欲しい本は、他店も欲しいことが多い。
とくに絵本は交換会に出る量自体が少ない。
たまたま、人気の本が出ると、
だれもが名前を知っているような強豪店がたくさん入札する。
どんどん値段が上がってしまって、手が届かないだろう。
(ちなみにロシア絵本がまとまって出たときは、
どんどん値上がりして、皆が驚くほどの高値になったそうです)
他店が欲しいと思わなくても、自分が欲しいと思う本を見出せるのかどうか。

*売るために交換会に参加するならいいかもしれない。
自分の店に不必要でも、他店で必要な本・雑誌はたくさんある。
交換しあう。…だから「交換会」と言うのでしょうね。

*月曜の中央市には、地方から集まる人も多いが、
遠い人は通うのが大変な面もあるだろう。
交通費もかかるだろう。
神保町の古書店からは、古書会館が近い。
自転車で、あるいは極端にいえば“サンダルばきの”歩きででも
気軽に交換会に参加できる。 
本を山ほど買ったら、台車をガラガラ転がして、すぐさま店に運べる。
交換会は、買い入れ(買取)があまりない神保町の古書店のための
ものだと、とある神保町の店の人から言われたほど。
本を持ってきたり、持って帰ったりも楽ではないだろう。
宅配や出入りの運送会社も使えるが、お金はかかるだろう。
(大量のときは、赤帽で配送の手もある。
環八より内側なら3850円ぐらい? 
遠いともっと割り増しになるはず)
車で来るとなると、駐車場の確保、駐車代ともにバカにならないだろう。

*交換会を利用していない組合員も大勢いる。
また、組合そのものとあまりつながりを持たないでおこうとする人も大勢いる。
「うちは市場は使っていない。
組合とかかわりを持たないでいても
催事に出ないかというお誘いをもらう」
「組合に入ると、組合関係の飲み会が増えるから、
飲むのが好きな人にはいいかも」という声も耳にした。
組合とつながりを持たずにおこうと思うのならば、
お金を払って組合員で居続ける必要があるのか?
どうやら、
ネットの「日本の古本屋」を利用したいから、
組合関連の情報が入ってくるから(店舗であれば万引きに注意、など
FAXが回ってきたりするらしい)
…など、何らかのメリットを感じているためらしい。
よくわからないのですが、
組合員でいるメリットは案外いろいろあるのではないか、というのが私の推測。

*いちばん大きいのは、組合に入ると連帯感が深まること。
組合に加盟している他店さんと話をさせてもらう機会が増える。
さまざまな店の先輩たちと接する機会があり、勉強になることも多いだろう。
(実際、交換会に通ってすぐ、先輩書店さんにいろいろ教えていただきました。
尊敬している神保町の書店さん、あの街のあの書店さん…
いきなり「新人です」と紹介していただき、ご挨拶したときはドキドキの連続でした)

*組合に加入すると、最初、新人はまず班長をやることになるだろう。
これは、組合の皆様に名前と顔を覚えていただき、
新人が皆様とつながりを持つ機会でもある。
しかしながら、あれやこれや組合の仕事が増えるであろうことは確実。

*用が増えるばかりでなく、
最初の出資金以外に毎月、組合費、共済費がかかる。
「大丈夫?」と書店さんから聞かれました。
 
 その他いろいろご意見をいただきました。

 で、私なりの結論。

 仕入れルートはいろいろ確保していきたい。
 また、当店に不要な本を必要としてくださる店にお譲りできるなら
 望ましいと思う。
 
 交換会に欲しい本が出るか出ないかは、そのときときでまったく違う。
 通い続けてみないと、わからない。
 また、その店が欲しいものが何かによって、ニーズは異なるようだ。
 だったら、実際に入って通い続けてみて、自分が欲しいものが出てくるのかどうか、
 自分の目で確かめてみるしかないかもしれない。
 
 何よりも、代表的な店が集うような交換会に集まる本を
 目にしてみたい! 交換会に行ってみたい!
 どんな本がどんなふうに集まってくるのか?
 交換会でどのように本がやりとりされているのか?
 見てみたい!(案外、この好奇心がいちばん大きかったりする)
 
 オンライン古書店も組合への加入を認められるようになったこの機会に
 入ってみるのもいいのではないだろうか?

 といって、「どうせすぐ辞めると思った」と言われたくはない。
 入るからには、組合員のひとりとしてしっかりやりたい。
 組合の一員としての意識を持って、組合のこともやっていくべきなのだろう。

 また、組合のための時間・費用が増えるので、
 ペイできるよう、自分の店をさらに充実させていく努力が必要。
 いってみれば、古書店としてもっと頑張ろう、
 良い本、他店のことをたくさん見てもっともっと勉強しなければ、という
 自分の中での決意の表れ…?(そう大げさなものじゃないですが)

「交換会に参加できるからといって、
瞬く間にすばらしい本が仕入れられるというような甘い望みは持っておりません。
ですが、加入してみて、さまざまな方と出会い、
さまざまな体験を積んでみようというのが自分なりの結論です。
海ねこのパワーアップになり、
いつか古書店業界にも貢献していけたらという壮大な夢のもと」と当日書いています。

「古書会館で西秋書店さんに声をかけていただく。
萬羽軒に挨拶。地元でいろいろ相談させていただいた円居へ。
夜、発送。新着本、休みます。」ということで、22日は終わりました。

組合のことをブログにどこまで書いていいのか
ちょっとよくわかりません。
ただ、組合の中のことはあまりにも知られていない。
先日「散歩の達人」に交換会のイラストレポートがあり、
大変興味深く読んだものです。
組合に加入しようかどうしようか迷っているオンライン古書店の人も
結構いるのではないでしょうか。
私も、だれに聞けばいいのか、だれに相談していいのか、
最初のうち、よくわからずに悩みました。
古書わらべさんの組合加入物語も真剣に読みました。
古書会館の木の扉の向こうは、組合員のみ出入りできる
ある意味、閉鎖的ともいえる世界です。
(地下、2階の催事スペースは一般の方も入れます)
当店の開始時期の日記は、オンライン古書店を始めてみたい方から
参考になったといっていただきました。
今回は、リクエストをいただきましたので。
また、自分でも新たに始めたことを記録しておいて、
あとで読み返すと初心に戻る契機になるかもと思って。
組合員として本当に新人中の新人、ひよっこの私ですが、
書いてよさそうな範囲内で、
また、私に理解できる範囲内で少しずつ書いてみようと思います。

では、初の交換会(中央市会)2度目(東京資料会)のことは
追ってまた。

なにぶん新人ゆえ、あれやこれや間違いもあるかもしれません。
どうぞお許しください。

新人のうちは知らないことをどんどん質問できる時期。
今のうちに、いろいろ聞いて覚えていかなくちゃ。

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コメント(8)

海ねこさん、さすが、書くのが早いっ!
ありがとうございます。
きっと、読みたい人がたくさんいると思います。
海ねこさんのこれからを、熱く注目しております。
がんばって!

まずは観察&経験だと思ってます。
おもしろがってはいるようなのでよいかな、と。
見守っていただけているようでありがたいことです。

どうなることやら…。
不安の塊ですが、
ひよっこなりに、どうにかやっていきます。
ぴよぴよ。

オンライン古書店を続けて2年半。
やはりどうにか続けていくためには、
仕入れのルートを強化していくしかないのかも。
扱いジャンルを広げていく努力も。
ああ、大変です。
けれど、苦心も楽しいです(半分は本音)。
お客様にあきれられないように
心して努めてまいります。

海ねこさん、こんにちは。寅の子文庫は駆け出し日記を目を皿のようにして読み、古物商を取りました。組合加入のお話にはとても関心があります。古本屋として生業を立てていくには避けて通れない問題と、思っています、いつも足元を明るく照らしてくれて有難う!

海ねこさん、こんにちは。組合加入ですか。私の方は色々考えつつも何にもできずにぼんやりしがちです。でもどんどん行動していくことが大切ですよね。う~ん。

コメントありがとうございます。
なんだか、場違いなところに迷い込んだ
スットンキョウ娘といった気分です。
自分以上に、周囲はそう見ているのだろうと
いう気がしています。
頭がよくないので、行動して感じ取ってみないと
わからないのかもしれません。
しかし、古書店って大変ですよね。
日々、悩みの塊です。お客様、周囲の皆さんに
助けていただいております。
生計を立てるとなると本当に真剣勝負ですよね。

遅れながら、おめでとうございます。
そして、扉のこちら側にようこそ!(笑
市場でお会いすることもあるかと思いますが、よろしくお願い致します。

わらべさん、こんにちは。
明日は中央市ですね。
扉の向こうでお会いできたときは
先輩、よろしくお願いします。

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