柴田 勝家の走馬灯のセトリは考えておいてを読みましたよ
この本は何がすごいってこの表題作のタイトルの秀逸さじゃないかと、僕は思ってます。
と言う話はさておき、短編集なのですが、1篇ずつ全然色が違って面白い。
表題作の設定に関しては確かに近いうちに実現しそうとか思うわけですが、それ以外は結構荒唐無稽(賛辞です)
中でも「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」に関しては宗教というミームの動きを虫になぞらえるという、この人の頭ってどうなってるんでしょうね?という一編。
今Amazonでほんの紹介を見て知ったのですが、この本
祝・柴田勝家(武将)生誕500周年 文化人類学、SF、バーチャルアイドル――《信仰》をテーマに繋がる柴田勝家の真骨頂。「クランツマンの秘仏」ほか全7篇の短篇集
なんだってよ。
万城目 学の八月の御所グラウンドを読みましたよ
万城目氏っぽい京都の大学生の日常を描いた話。
万城目氏の小説を読んだ人はご存知だと思いますが、この本でもただの日常ではなくなぜか不思議な現象が起こったり、不思議な人と知り合ったりするのです。
この本が今までとちょっと違うのは不思議な出来事が実在の人物によって起こされているところでしょうか?
そういえば前に知人と話しているときに"万城目学とか森見登美彦を読んでると京都で大学時代を過ごさなかったことを後悔するよね"という話で盛り上がりました。
本当そう思う。
眉村 卓の静かな終末を読みましたよ
主に60年代に書かれた眉村卓のショートショート集。
ベースがSFなので、未来物語的なものも多かったりして、その未来が今からすると過去(2000年前)だったり、そんな本です。
僕がこれすごいと思った掌編は、仕事熱心な社員が事故にあったり、病気になるたびに機械に体を変えていってバリバリ働くわけですが、最後に脳を変えた時点で、人事上ロボット扱いになってしまう、というなんとも切ないけど当たり前な話の「忠実な社員」
数十年前新作として読んでいたSFの答え合わせができる時代って面白いですよね。
米澤穂信の冬期限定ボンボンショコラ事件を読みましたよ。
これ、小市民シリーズというシリーズなのですが、毎回タイトルがすごい。そしてタイトルの割に物騒な事件が多い。
と言う話はさておき、シリーズの初期から匂わせていた主人公二人が小市民的な暮らしをするに至った原因となる事件と、現在の事件がパラで語られるので最初、え?どういうこと?となるのですが、だんだん収束していく感じが気持ちいい。
小沢健二 '24ツアー Monochromatiqueを見にグランキューブ大阪に行ってきましたよ
小沢健二がソロデビューした頃に何回かチケットを取ろうとしたのですがもちろん取れず。2010年くらいからライブを再開した後もいつの間にかチケットが発売されていたりして結局行けなかったのが、やっとチケット販売のニュースを入手して取れました。
とは言え東京公演は外れたので大阪公演。
フライヤー、ポスターにある通り「ひみつ小道具」を入場時に受け取る、と思ったら実は結構大きな缶のバッグ。
中身は
・ネクタイ
・ホイッスル
・UFO型の紙(ホイッスルのミュート)
・耳栓
・歌詞カード
どんなものかは「小沢健二 ひみつ道具」で画像検索してみてください。
席につくと"開演までにホイッスルの組み立てをすませてくださ―い"という案内が、しかしこれホイッスルをみんなで演奏するという新しい趣向のためのミュートだったので何が起こるかわからずワクワクします。
で、この日のセットリストはこの辺を( https://www.livefans.jp/events/1628410 )
ライブが始まって早くも2曲目で「天使たちのシーン」を演奏。"あー、30年前酔っ払ってよく聞いてたなぁ"とどうでも良い思い出で泣きそうになりました。
でもそんな感傷にいつまでも浸っている余裕もなく、"ホイッスル!"という号令がかかってホイッスルを吹くというなんだかよくわからない状況。(これ何も説明がなく会場を見たらおかしな宗教団体だと思うはず)
そしてライブ中特にすごいと思ったのは
・小沢健二に照明があたらない
歌うときも、ギターソロのときも照明が当たらないのです。他の人には当たるのに!
・ずっとうさぎの帽子を被ってる
ずっと被ってた
・お客さんがちゃんとしつけられている
立って!座って!笛吹いて!みたいな指示に従順に従うお客さん達
初めてライブを見るアーティストなので、これらのどこまでが演出・お約束なのかわかりませんが衝撃。
そして後半はスチャダラパーも登場して、ゲストというより、ジョイントコンサートの趣。(しつこいようだが、スチャダラパーの皆さんには照明が当たる)
アンコールにはメドレーなんかもあって2時間半を超える演奏でお腹いっぱいでした。
ベスト的な選曲だったので。よく知ってて楽しいんだけどずーっとテンション高いのでそうじゃないライブも見たいかも。
と思ったらLIFE(アルバム)の再現ライブやると聞いてびっくり。
Into The Space <Version 2> 矢野顕子の歌とピアノで宇宙へ行こう。を見に行きました。
昨年も「矢野顕子の歌とピアノで宇宙へ行こう」と言うコンサートがあって「君に会いたいんだ、とても」というCDの発売にあわせて行われたので、単発なんだろうなぁと漠然と思っておりましたが、なんと2回目がありました。
セットリストはこちらとか(http://jkism.com/ay/pages/l_kat24.html)
コンサートタイトル通り宇宙に関する曲てんこ盛りでお送りされました。
冒頭の頭のキラキラ星のアレンジから始まって、アンコール最後の野口聡一さんの朗読に合わせたピアノ演奏まで、通常のライブでやる曲がほとんど無いという割り切り、これが矢野顕子の自由さという気がする内容。(本人も"「春咲小紅」もやらないのに来てくれてありがとう"と語っていた)
途中2曲リズムマシンを使う曲でうまくいかなかったアクシデントはありましたが、演奏自体はアクシデントが全然気にならないというか気にさせない良い演奏。その曲の後に"私も昔はこう言った機械に習熟していたんですけど、あの頃はまだ大きくて...今は小さくなったけどその分文字も小さくなって"と話していました。
矢野さんのコンサートは他のアーティストに比べるとお約束が少ないほうだと思うのですが、それでも高い頻度で演奏される曲とかあり、こういうコンセプチュアルなコンサートだとそれもなくて新鮮に聴けるというのか良いですよね。
ちなみに会場は昨年に引き続き大手町三井ホール。日本橋にも三井ホールがあって仕事でそこには何回か行っているのでぼーっとしているとそっちに行ってしまいそうになる僕です。
氷室冴子の海がきこえるⅡ アイがあるからを読みましたよ。
先日「海がきこえる」を読んだので続編を。
順調に成長していってるなぁという感じの内容なんですが、内容もちゃんとヘビーな方向に向かっていて、僕が氷室冴子好きな所が全面に出ていて好き。
本人もあとがきで"文庫化したときに時代が変わっていてびっくり"的なことを書いていますが、そこからさらに20年以上経っているわけで、特に携帯電話のない時代ならではの連絡が本当おもしろい。
ifの世界線 改変歴史SFアンソロジーを読みましたよ。
世界線という言葉がパラレルワールドの他世界を示す用語としていつのまにか定着していてまだ馴染んでいない僕なのですが、それはさておきそんな歴史改変ものを集めたアンソロジー。
中でももし60年代にSNSがあったら、という設定の「パニック―一九六五年のSNS」は、僕もたまに"SNSって行動にそんなに影響があるんだっけ?"と思ったりするんですが、この話は技術的な実現性の話さておき"あーこうなっちゃうんだろうなぁ"とその辺の書き込みが面白い。
それと怖かったのが「二〇〇〇一周目のジャンヌ」ジャンヌ・ダルクがシミュレーションの対象になると言う話。確かにシミュレーションってこういうことなのか、と。
やのとあがつま Japan Tour 2024を見にビルボードライブ横浜へ。
なんだかんだと結構見ているやのとあがつまさん。
セットリストはこちらとか見ていただけると( http://jkism.com/ay/pages/l_ya24.html#0425 )
2階(建物的には3階)のカウンターから見下ろす感じで見ていたんですが、この席は演者の動きが足元までよく見えて面白いので"どうしても近くで見たい!"というのでなければおすすめ。
今回「稲すり節(奄美民謡)」バックトラックがツボでした。
後はやっぱりお二人のリズム感ですよね。二人だけの演奏もバックトラックが入った演奏も出てくる音楽のリズム感に違いがないところがやっぱりすごいんですよ。バックトラックによりかかってないと言うか。
というわけで2ヶ月のうちに3回もビルボードライブ横浜に行きましたが、やっぱり三鷹から遠い...
写真はAsteroid and Butterfly
米澤 穂信の儚い羊たちの祝宴を読みましたよ。
話の時代がいつ頃なのか明確には書いていない(と思う)のですが、おそらく大正~昭和初期だと思って読んでいるのですが、時代が持つ暗さと、ミステリーという舞台なのですが、なぜかコミカルな話に仕上がっているのがさすが米澤穂信ですよね。
短編集なのですが、全編に出てくる「バベルの会」という謎の読書サークルもなんでこんなに変な人ばかり集まってしまうのか、という気がする。
最後の表題作もその「バベルの会」をメインにした話で"なに!?"という終わり方が好き。